福知山市・門野組が5台のICT建機をフル稼働
2020年4月20日

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安全性・生産性・品質の向上をICT技術で掴む!

京都府福知山市の株式会社門野組様。35台のバックホウ、3台のドーザーを始め多数の建機を所有され、特に土工において数多くの実績を持ち、更には令和元年度で5年連続の工事成績優秀企業として表彰されている建設業者だ。 建機だけでなく、測量・設計・施工・検査に至る全ての工程でICTを活用しているという同社であるが、今回は河川改修工事現場での実例、特にICT建機を主軸に伺うことにした。

決め手は “後付け” の運用方法。

建機のICT化にトプコンのマシンコントロールシステム(以後MC)/マシンガイダンスシステム(以後MG)を採用された理由について「当社は建機を大量に持っていますので、まずICT建機のレンタルは避けたい。ICTシステムがビルトインされた建機の購入も考えましたが、システムの取り外しができないので、運用を考えるとわだかまりがあったのです。トプコンのシステムであれば自社機に取り付けできますし、付け替えも可能と聞きましたので導入を決断したのです」と同社代表取締役の門野繁(かどの しげる)様。 同社は京都府や国土交通省発注の業務が多い。今後の発注傾向としてICT施工が中心となるだろうと感じたこと、また現場の生産性の最大化に向け、建機だけでなく測量機、その他のシステムに関しても積極的にICT投資を行っている。

“付け替え” 運用を実践。マルチGNSSの効果も実感。

X-53x

それでは、今回の河川工事にどのような機器を使われているか、本工事の現場代理人である工事部の瀨田啓樹(せた ひろき)様に伺ったところ、「今回の河川工事には、マシンガイダンスシステム3D-MG GNSS ショベル 『X-53x』を搭載したバックホウを3.5台と、マシンコントロールの3D-MC GNSSマストレスドーザー 『3D-MCMAX』のICT建機を活用しています」。”3.5台”という、聞き慣れない数字について詳しく伺うと、1セットは0.45tクラスと0.7tクラスのバックホウへ、状況によりシステムを載せ替えているというのだ。だから3.5台。なるほど、門野社長が言われていた”付け替え”を、すでに実践していることになる。 GR-5

現場に設置している基準局にはGNSS受信機『GR-5』を使用し、バックホウの『X-53x』ともマルチGNSSに対応。このマルチGNSSの効果についても伺ってみたところ「GPS・GLONASS・BeiDouで、常時だいたい20基ほどの衛星信号を受信しています。精度は安定していますし、施工した箇所の高さ確認もしましたが、ズレがほぼ無いのでびっくりしています」と好印象だ。
また、盛土箇所では「『3D-MCMAX』が大活躍」と、瀨田様は続ける。「通常の敷均しで活用していますが、設定した巻出し厚の高さで排土板を自動制御してくれるので、施工効率を上げてくれています」。とにかくICT建機の活用は、現場の生産性向上に一役買っていることは明白のようだ。「MC/MG両方とも、どのようなシステムなのかをちゃんと理解して運用すれば若手社員でも熟練オペレータと同じように施工ができます。実のところ最初は半信半疑で丁張りを掛けて施工していましたが、今はむしろ丁張りが邪魔と感じることすらあります。ICT建機の活用は、事前の測量や丁張りを最小限で済ませることができるので、確実に生産性は向上できます」

3D-MCMAX

測量にGNSSを。検査にLN-100も活躍。

HiPer HR

“測量”という言葉が出てきたので、起工測量や出来高測量についても伺うことにしよう。「今までは主にトータルステーションを起工測量や出来高測量に使っていましたが、現在は取って代わってGNSS測量機『HiPer HR』を使用しています。初めのうちGNSS受信機はICT建機の基準局のための機材だと思っていましたが、実際に測量で使ってみると、考えがかわりましたね。視通を気にせず電源を入れれば、現場の何処に居てもすぐに作業が開始できます。しかも1人で。特に今回の現場は測量にトータルステーションを使ったなら2~3名で数日かかるくらい広い現場でしたが、たった1人でしかも数時間で終えることができています」と瀨田様。DS-200い

とはいえ全くトータルステーションを使わなくなったということではなく、やはり高さ精度が要求される場所にはイメージングロボティックトータルステーション『DS-200i』も使用中。また測量業務に対しては、今後を見据えてUAVなど点群データを取得する機材も導入済み。門野社長は、設計に関しても外注することなく社内で完結を目指しているらしい。「観測から解析までをこなす専任者を置き、建設現場の生産性向上を目指すi-Constructionの一環として、ドローンを使用した三次元測量、設計・施工計画を行うドローンIT事業部を立ち上げました。当社の業務だけでなく、点群データの作成代行も請け負えるようにして行きます」
LN-100

検査工程ではレイアウトナビゲーター『LN-100』が活躍しているらしい。建設システム社製アプリケーション「快測ナビ」と組み合わせて使われており、3次元設計データをインポートすることで、図面を見ながら簡単に杭打ちができるところが気に入っているという。ただし瀨田様は「簡単だからこそ注意する点もあります」と警鐘を鳴らす。「事前に取り込む図面の精査は絶対に必要です。図面の誤りに気が付かないと、作業が簡単なだけにどんどん進んでしまい、後で大変な思いをすることになります。この点に気を付ければ、『LN-100』は使い勝手が良いので若手社員に作業を任せることもできますし、生産性の向上へ役立つ機械だと思います」

安全や過積載ゼロを目指して。

この現場ではバケットスケール『LOADEX 100』も活用している。瀨田様に理由を伺うと「現場で出た土をダンプに積載する際、通常ならトラックスケールで計量します。ただし実際は過積載を避けるため、少なめに積むのが一般的です。そこで『LOADEX 100』を採用してみました。とはいえ最初から全面的に信頼していた訳ではありません。導入した当初は『LOADEX 100』で把握できた積載量とトラックスケールでの比較を行っていました。今では誤差範囲であると確証を得ましたので、自信を持って運用しています。またコンクリート端材などの積載時にも活用できるので重宝しています。帳票も出る仕組みになっているので、現場代理人としてはその日の運搬状況を”見える化”してくれるのでダンプの手配など段取り検討の材料として有効です」

ますますICT化を進める。

最後に門野社長へ今後の抱負を伺った。「バックホウのMGシステムの優位性は分かりましたが、やはりある程度の経験があってこそ活きるシステムです。バックホウのMCシステムが出たと伺ったので、どんな感じなのか一度見てみたいです。加えてドーザーの1台増設も検討しています。何と言ってもトプコンのシステムは”後付け”で”付け替え”ができる、柔軟に運用できますからね」

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代表取締役 門野繁 様
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工事部 瀨田啓樹 様

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