建設業界の成長に欠かせないレーザーによる実物キャプチャ
2022年1月17日

Freestyle 2 scanning in Mechanical room

ミシガン州のアパー半島からマイアミの都心部まで、ほぼすべての地域でポストコロナの建設ブームが続いています。

材木の材料費は昨年より260%も上昇し(2021年6月現在)、多くのサプライチェーンで物流の滞りが発生しています。しかし、連邦政府の景気刺激策が潤沢にあり、パンデミック対策費が急増していることから、エンジニアリングおよび建設業界では、プロジェクトの加速化と新規プロジェクトの獲得が盛んに行われています。

これは、業界の多くの人々が享受している夏の特需です。結局のところ16か月におよぶロックダウンや、ソーシャルディスタンス、マスクの着用などは非常に厳しいものでした。しかし今、テンプレに沿って経済が活気を呈す中(2021年第1四半期の米国GDP成長率は6.4パーセント)、ポストコロナの世界に適応し、それを最大限に活用することがこれまで以上に重要になっています。

ピッツバーグを拠点とするLimbach Holdings Inc.のような企業(全米に10の支店を持つ)にとっては、正確さや品質管理を損なうことなく、プロジェクトごとの費用を削減しつつ、効率性を高めることに専念することを意味します。HVAC、機械、電気、配管、制御システムの設計、設置、管理、サービス、メンテナンスを専門とする統合ビルシステムの上場企業であるLimbach Holdings社(NASDAQ: LMB)は、最近、3Dレーザースキャニング/実物キャプチャソリューションをビジネスモデルに組み込むことで、MEPワークフローの改善を図りました。

そのために、Limbach社は今年初めに、FARO Technologies Inc.からFARO® FocusS 350 Laser Scannersを2台購入し、SCENEソフトウェア、As-Built™ソフトウェア、ウェブシェアクラウドの3つのプログラムを組み合わせて、建築物の構造だけでなく、配管やHVACを含むプラントやMEPシステムの現場ドキュメンテーションに最適なソリューションを実現しました。ハードウェアとソフトウェアのソリューションを組み合わせることで、5億6,800万ドルの収益を上げている企業は、コストの合理化、ワークフローの効率化、プロジェクト完了の迅速化、そしておそらく最も重要なこととして、Covid-19に関連する継続的な安全衛生上の制約に対処すると同時に、斬新な方法で新規ビジネスを獲得できました。

「スキャナーのおかげで、これまでチームで1週間かけて行っていた現場での測定や記録などの作業を、1人のスタッフが数時間で行えるようになりました」と、Limbach社のナショナルVDCマネージャーであるマーク・ランバーソンCPDは言います。「これでスキャナーを使うと細部まで把握できるようになり、そのファイルを会社の全10支店で共有することで、仕事に最適な人材を活用できます」

ニューノーマルにおいて利益を得る

これには全国各地から優秀なメンバーを選ぶ必要がある、とランバーソン氏は説明します。コロナ後の経済状況では、企業はプロジェクトに参加するスタッフの数を最小限にし、従業員が仕事中に病気や怪我をした場合の影響を軽減しようとしています。このため、あるプロジェクトではオハイオ州に、別のプロジェクトではフロリダ州に最適なエンジニアを配置する可能性があります。3Dレーザースキャニングと実物キャプチャ技術は、そのようなスタッフの適切な配置を可能にします。

「新型コロナは、特に建設業のように労働集約的な組織に、ビジネスのある種のプロセスを再考することを求めています」と、過去10年間Limbach社の技術顧問を務めてきたFAROアプリケーションビジネス開発マネージャーのキップ・アイビー氏は付け加えます。「考えてみれば、特定の州では、特定の施設にはアクセスできないように制限を設けています。現在では、特定の企業でさえ、構造物や建物の中の特定ポイントに何人まで入れるかを決定する権限や権利を持っています。新型コロナをきっかけとして、企業は『いかにして人間同士の接触を減らし、現場に行かなければならない人の数を最小限にするか』を考えるようになりました」

新型コロナ特有の利点に加えて、実物キャプチャ技術は、その速度と精度の点で、従来の測定機器に対する大きな優位性を維持しています。Limbach社は、今年初めにデトロイトのダウンタウンにある食肉加工会社の3Dレーザースキャニングプロジェクトを完成させたことから、身をもってその優位性を理解しています。

サービス側の実物キャプチャコンポーネントを取り入れるという最初のステップを踏むことで、同社は現場を記録し、Revit®モデルを提供して、新しいかさばる機器が物理的なスペースに収まるかどうかを確認しました。このような記録と文書化は、100年前の物理的な構造物にオリジナルの設計図がない、デトロイトのような高齢化した都市の古い建物では特に重要です。新しい建物であっても、改築や増築により当初建設したものから大きく変更されている場合は同じです。

FAROのFocusスキャナーは、非常に詳細な情報を取得できるため(1回のスキャンにつき点群生成のための数百万のデータポイントをわずか数分で収集)、Limbach社は当該施設を記録できるだけでなく、以下のような様々な追加の顧客サービスを提供できます。

  • 新たに選択された機器の運送計画
  • 機器を建築サービスに接続するための最適な方法に関する補足的エンジニアリング文書
  • 現場に戻って続きのスキャンを実行し、デジタルツインプロセスを実装する機能。これにより、竣工した環境の固定単独スキャンが「生きた文書」に変換され、物理的な資産に変更が加えられた際にはそれに一致するように更新される
  • 工業化建設の効率を高めるためのオフサイトプレハブ向けの現場検証により、老朽化した施設の組立品を製作する際のリスクを軽減

自動化の魅力

新型コロナ以降の技術による健康と安全の向上の取り組みの一部は、月日が経つにつれて重要性が薄れていくだろうと否定的に結論付けるのは簡単です。しかしながら、マーク・ランバーソン氏は楽観的な見方をしています。新型コロナ後の経済は、一瞬の出来事ではありません。むしろ、新たな効率化や対象を絞った人員配置は持続されていくと考えられます。時間の節約とコストの削減は、パンデミック時に限ったことではありません。また、世界中で注目されているように、コロナの安全対策は、他の病気の発生や欠勤も激減させています。

このような理由から、ニューノーマルはこれからも続いていきます。これまで3人でやっていたことが1人でできるようになれば、自動化の可能性はさらに広がると考えられます。例えば、数百マイル、あるいは数千マイル離れた場所から遠隔操作されたドローンが、現在の現場では人間が一人で行うのと同じ作業を行えます。このような自律的あるいは半自律的な実物キャプチャこそが未来の姿です。

マーク・ランバーソン氏とLimbach Holdings Inc.は、このような未来を実現したいと考えています。

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