IHIインフラスクエア滋賀工場で検証! 施工中の床版の仕上がりを“その場で可視化”するDXsite XR(ミラリスタ)
2026年4月1日

橋のコンクリート床版は、施工中にいかに平坦に作り込むかが品質を左右する。床版の平坦性は後工程で確認されることが多いが、これを施工段階で確認することが出来れば有用なものとなる。こうした考えから、施工中に表面の凹凸を“その場で見ながら調整する”ことを目的に開発されたのが、ミラリスタの「DXsite XR」だ。今回、IHIインフラスクエア(※)滋賀工場では、実用に向けて、まず硬化後のコンクリート床版でその効果を検証した。

IHIインフラスクエア滋賀工場で「DXsite XR」を検証する同社の小林崇氏

IHIインフラスクエア滋賀工場で「DXsite XR」を検証する同社の小林崇氏

  ヒートマップを“現場で使える情報”に変える

「従来は、誤差のある箇所を現場で特定するのに手間がかかっていました。施工中にこれをその場で把握できれば作業性が上がり、仕上がりが作業員の技量に寄ることもなくなります」

こう語るのは、株式会社IHIインフラスクエア 橋梁技術本部 研究開発部 研究開発グループ主査の小林崇氏だ。

これまで床版の平坦性の確認では、ヒートマップで誤差の大小を把握できても、その位置を現場で特定するには、床版端部から距離を測るなどの手間が必要だった。品質確認のたびに、現場では位置出しの作業が発生していたのである。

DXsite XRは、この課題に対し、iPad越しにヒートマップを現物の床版に重ねて表示する。これにより、誤差のある箇所を現場空間上で直感的に把握できるようになる。

重要なのは、この仕組みが単なる可視化ではなく、施工中にその場で判断・調整を行うための情報入手手段となり得る点だ。

タブレット上に表示したヒートマップ

タブレット上に表示したヒートマップ

ヒートマップの各部分が、現物のどの箇所なのかを特定するのは手間がかかっていた

ヒートマップの各部分が、現物のどの箇所なのかを特定するのは手間がかかっていた

  DXscanとDXsite XRが担う役割

建設現場では、3Dレーザースキャナーやトータルステーションによる面計測やヒートマップ化は既に一般的になりつつある。しかし、その結果が現場での施工に十分に活かされているとは限らない。

千代田測器が展開する「DXsiteシリーズ」は、こうした計測データをクラウド上で管理・共有するシステムである。

この中で、面計測とヒートマップ作成を担うのが「DXscan」、そのデータを現地で可視化するのが「DXsite XR」だ。

現場の様々なデータをDXsiteシリーズの全体像。ここに「DXsite XR」が加わった

現場の様々なデータをDXsiteシリーズの全体像。ここに「DXsite XR」が加わった

千代田測器 取締役 営業統括本部長の平原幸男氏はこう説明する。「DXscanで“測る”“色分けする”ところまではできていました。DXsite XRは、その結果を現場で即座に使える形にする仕組みです。計測結果が画面の中だけで終わらず、現物と結びつくことで、判断のスピードが変わります」

  “施工中の活用”を見据えて事前検証

本来DXsite XRは、施工中に計測結果を即座に現場へフィードバックし、その場で調整を行うことを想定している。今回の検証では、その実現性を確認するため、再現性の高い環境として、コンクリート打設後に硬化した床版を用いて評価を行った。段ボールや板を用いて疑似的に凹凸を再現し、ヒートマップデータを作成している。

床版上を点群機能付きトータルステーションでスキャンする作業(左)。そのデータをヒートマップ化する「DXscan」(右)

床版上を点群機能付きトータルステーションでスキャンする作業(左)。そのデータをヒートマップ化する「DXscan」(右)

iPadによるヒートマップと現場との位置合わせ作業(左)。位置合わせが完了したヒートマップデータ(右)

iPadによるヒートマップと現場との位置合わせ作業(左)。位置合わせが完了したヒートマップデータ(右)

DXsite XRは床版の微小な高低差を可視化できるようになる ※画面の表示は疑似的に凹凸を再現したもの

DXsite XRは床版の微小な高低差を可視化できるようになる ※画面の表示は疑似的に凹凸を再現したもの

  品質を“その場で作り込む”可能性

床版の許容高低差は数ミリメートルのレベルであり、肉眼での判別は容易ではない。DXsite XRは、こうした微小な差異を視覚的に把握できる形で現場に提示する。その意味で、この技術は人間の知覚を補完し、現場での判断を支援する“超人化ツール”と言っても過言ではない。

ただし、その価値は単に見えることにとどまらない。重要なのは、その情報を施工中に活用し、その場で調整できる可能性を持つ点にある。

リアルタイムに計測、作成したヒートマップをコンクリート打設中に見ながら、平坦性をその場で確認する

リアルタイムに計測、作成したヒートマップをコンクリート打設中に見ながら、平坦性をその場で確認する

DXscanには、施工中の床版面をリアルタイムに計測し、その結果をDXsite XRで即座に表示する機能が備わっている。これにより、コンクリート打設中に表面の凹凸を確認しながら、その場で仕上げを調整することが可能となる。

IHIインフラスクエア滋賀工場の上野工場長は次のように語る。「施工中に状態を確認できれば、作業員の技量に寄ることなくその場で品質を作り込める可能性があります。施工プロセスの中で品質を安定させていくことが重要です」

今回の実証に協力していただいたIHIインフラスクエア滋賀工場長の上野氏(左)と小林氏(右)

今回の実証に協力していただいたIHIインフラスクエア滋賀工場長の上野氏(左)と小林氏(右)

  施工プロセスに組み込まれる可視化技術へ

ミラリスタの代表取締役、金野幸治氏はDXsite XRの特徴についてこう語る。「DXsite XRの強みは、図面や数値を読み解くのではなく、情報を現場空間に重ねた瞬間に“どこか”が分かる点です。特に建設現場のように対象が大きく、位置特定に手間がかかる領域では、施工中の判断を支援するツールとして有効だと考えています」

床版に限らず、舗装や造成、基礎天端など、面の管理が求められるさまざまな現場においても、同様の活用が期待される。今回のIHIインフラスクエア滋賀工場での検証は、ヒートマップを“後から確認する情報”ではなく、“施工中に活用する情報”へと変える可能性を示した。

DXscanが面を計測し、DXsite XRがそれを現場に重ねる。その連携により、計測データは施工プロセスの中に直接組み込まれていく。品質管理は「確認するもの」から「作り込むもの」へ――。DXsite XRは、その変化を現場で実現するための一つのアプローチと言えるだろう。

今回の検証実験に参加した3社のメンバー


今回の検証実験に参加した3社のメンバー

※IHIインフラスクエアは、2026年4月1日にIHIインフラシステムから社名変更したものです。

 【問い合わせ】
【DXsite XR販売元】
千代田測器株式会社
〒110-0015
東京都台東区東上野1-1-11 HEHビル
TEL:03-3833-2016 FAX:03-3835-9273
URL:http://www.chiyodasokki.co.jp/

【DXsite XR開発元】
株式会社ミラリスタ
〒141-0032
東京都品川区大崎1丁目20-16 小林ビル502
WEBサイト https://mirarista.com/

(Visited 1 times, 62 visits today)

Translate »