ThinkStation完全検証 ~3次元モデラーRhinocerosを使いこなす
2013年7月29日

ThinkStation完全検証LABO ~3次元モデラーRhinocerosを使いこなす。ThinkStation + Quadro K2000はベストな選択か?
3次元モデラーのソフトウェアとして、その世界では知らない人がいないくらい有名で、多くの人に使われているRhinoceros(ライノセラス、通称:ライノ)。他の3Dソフトウェアと比較して低価格であるだけでなく、求められるハードウェアの敷居が低いのもRhinocerosの特徴だ。

しかし、本格的に活用するとなれば話は別。設計するものによってはハイスペックなハードウェアを用意しなければできない作業もあり、実用に耐える動作のスムースさを求めるためにもそれなりのスペックが必要になる。

そこで、Rhinocerosの国内代理店である株式会社アプリクラフトの女井氏と斎藤氏に、最新バージョンRhinoceros 5に最適なハードウェアは何か、最新Kepler世代Quadroグラフィックスを搭載したThinkStationでのベンチマークを実施していただき、おすすめのスペックを探っていただいた。

株式会社アプリクラフト 代表取締役 女井誠司氏(右)とテクニカルサポート部 部長 Rhinocerosトレーニングディレクター 斉藤兼彦氏(左) Rhinoceros(ライノセラス)
株式会社アプリクラフト 代表取締役 女井誠司氏(右)と
テクニカルサポート部 部長 Rhinocerosトレーニングディレクター斉藤兼彦氏(左)
Rhinoceros(ライノセラス)
 

ジュエリーデザインから自動車、船舶まで ライノセラスで3次元モデリング

最初に、Rhinocerosの紹介をしておこう。自動車などの外板に美しい曲線を手軽に生成するソフトウェアとしては唯一の存在のソフトウェア。NURBS曲線にも対応する。そのため、デザイン業界では広く使われている。

Rhinocerosで扱うベジエ曲線が自動車業界が発祥の理論だけに自動車のボディ外板のデザイン設計として利用はもちろんのこと、船舶、航空機、さらには複雑な曲面を繰り返し多用した意匠設計が求められる建築分野での利用も進んでいる。

従来、この分野の設計では特殊なソフトエンジニアが高度な計算を行うプログラムを組んで実現していたが、RhinocerosではGrasshopperというグラフィカル・アルゴリズム・エディターを使えばGUIでフレンドリーに操作できることによって、ブロック図を組み上げていくように、アルゴリズミックなデザインを誰もができるようになった。

ユーザーも大企業のデザイナーだけでなく、小規模の設計事務所やフリーランスのデザイナー、学生までと幅広い。比較的安価なソフトウェアと安価なハードウェアで動作することから、大企業でもすべてのデザイナーに行き渡らせることも容易。今までは絵コンテでデザインをしていたデザイナーがRhinocerosに乗り換えるということもある。

自動車のエクステリアデザインでも使われるRhinoceros
自動車のエクステリアデザインでも使われるRhinoceros
(データ提供:Jorge Biosca氏 http://www.jorgebiosca.com/

その結果、Rhinocerosを使って設計された物のジャンルは幅広くなり、例にあげた乗り物や建築だけでなく、家電製品をはじめ生活用品や食品の容器、さらにジュエリーデザインといった分野まで広がっている。メーカーや大手デザイン事務所は使っているデザインソフトを公にすることはないが、最近決まった建築物のスタイルを見ても、デザイナーの成り立ちも含めRhinocerosの活用が想像される物件が多いそうだ。

最新バージョン5では64ビット対応、さらに複雑な設計に対応

最新バージョンである2012年秋に登場したバージョン5ではネイティブで64ビットOSに対応しているため、ソフトウェアから大容量のメモリーを扱うことができ、メモリーが多ければ多いほど複雑なデータの読み込みが可能になった。現在は8GB以上を推奨にしているのもそのためだ。

もともとハードウェアを選ばないと言われたRhinocerosだが、それは作業内容に応じて柔軟に対応できるということ。現在、3Dプリンターの普及という大きな流れがあり、それに応じて3Dスキャンなど一気に複雑な処理が要求されるようになった。そのため高性能なハードウェアを用いれば、それに見合ったメリット出てくるという。

例えば、3Dスキャンで点群計測をすれば1つのデータ容量が一気に拡大する。これはメモリー容量がなければ扱うことすらできないため、必然的に大容量メモリーが必要になる。

最新バージョンではGPUの処理性能を使い、GPUパイプの反射を見ても、GPU処理をオンした右側がより形状に正確に描画している様子がわかる。
最新バージョンではGPUの処理性能を使い、
GPUパイプの反射を見ても、GPU処理をオンした
右側がより形状に正確に描画している様子がわかる。

また、建築設計の分野では、大規模案件が増えるともに、マテリアルを貼り付けることやリアルタイムにレンダリング処理をしリアルタイムに動かして形を作っていく方法に変わってきた。そのため、ストレスなく複雑な3Dをリアル表示できる高性能グラフィックボードが必要となってくる。

新バージョンではグラフィックの処理が変わったこともあり、最新・高性能グラフィックボードであれば、その性能が活かされ、より高速で描画できるようになっている。

一方、現在のCPUの処理能力はかなり高く、いずれのCPUを選んでも一概に快適に動作する。しかし、見合った性能のCPUを用意しておけば作業が複雑になった場合でも快適さを維持して作業が進められる。CPUの差は同時に比較しなければあまり気にならないかもしれないが、一度速いもので作業に慣れると、元の状態の作業効率の悪さが目についてくるという。

続きは、レノボジャパンのウェブサイトで。

 

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