レーザースキャナーを使用してマディソン郡の橋を3Dドキュメント化

災害は、何世紀にも及ぶ歴史的、文化的遺産をたちどころに破壊します。ハリケーン、竜巻、地震などの自然災害、または放火や破壊行為のような人為的な脅威は、不幸にも現実に起こることなのです。3次元レーザースキャニングは建造物を3Dドキュメント化するための優れた手段であり、これらの潜在的な危険から私たちの歴史を永遠に守ることができます。
次に述べるプロジェクトは、アメリカ合衆国国立公園局の歴史工学技術記録部の主導による歴史的構造物の3Dドキュメント化の一例です。ミネソタ大学ダルース校の天然資源研究所では、連邦道路管理局から助成金を受け、アイオワ州マディソン郡の4つの橋を含む屋根付木造橋を3Dドキュメント化するためSightLine.LLCと契約を結びました。3Dドキュメント化することによってこれらの橋の今日の姿を保存し、将来何らかの不幸な状況が発生した場合には、それを再現することができます。
SightLine(www.sightlinescan.com)はウィスコンシン州ミルウォーキーを拠点とし、3Dレーザースキャニングや建造物などの現状を3Dドキュメント化するサービスを行っています。3Dドキュメンテーション、改修、改築、近代化、BIM(ビルディングインフォメーションモデル)のためにさまざまな建造物を文書化し、構造物の現状図面を作成することにおいて、多くの実績があります。
歴史遺産である屋根付橋は、ロバート・ジェームズ・ウォラーの小説『マディソン郡の橋』及び1995年の同名の映画で広く知られるようになりました。マディソン郡に存在していた屋根付橋のひとつが放火のために失われた後、後世にその記録を残すために、これらの橋梁を適切に3Dドキュメント化する努力がなされています。
このような屋根付橋はアメリカの歴史の重要な一部分です。これらの構造物の図面はたとえあったとしても少なく、また何かが起こると再現することは非常に困難になります。今日、歴史的に価値のある屋根付橋がまだ国内に数多く残っています。それらを維持する努力にもかかわらず、放置や破壊行為によって、もしくは修復に高いコストがかかるために、多くの橋が犠牲になっているのです。これらの橋梁の多くは既に失われたり、または永久に失われる脅威に晒されています。
「我々は、これらの屋根付橋を3Dドキュメント化し、歴史的遺産の保全に参加することを光栄に思っています」とSightLineの代表取締役社長ペニー・アンスティと副社長ウィリアム・クルーガーは声をそろえて言います。

■ プロジェクトの概要
今までは、建造物を3次元的に管理するため、巻尺で測り、写真を撮り、ノートに手書きするといった方法が用いられていました。経験から言えば、これらの方法には多くの問題があります。例えば、不正確な測定、誤った計算データ、不正確なデータや基本的な人為的エラーなどがよくおこります。
レーザースキャン技術のおかげでこれらの建造物は、迅速、正確、そしてコスト効果の高い方法で3Dドキュメント化することができます。SightLineは5日間かけて5つの屋根付木造橋をスキャンすることができました。当然ながら、スキャンの後にも多くの作業があり、データ処理、そして実際の図面を作成するための時間も必要になります。そのための準備として、レーザースキャンはたいへん効率的で精度の高いデータ収集方法と言えます。このようにしてプロジェクトでは最終的に、各橋の3次元仮想モデルが完成しました。
簡単に言えば、スキャナーは、レーザーレンジファインダ(光波測距儀)であり、毎秒10万回ほど(当時)のレーザービームを送信し、それが対象物にあたって跳ね返り、コンピューターにその点情報を記録します。これらの点は、正確なドキュメントを作成するための3D点群を形成し、それぞれの点は検出され、測定されます。素早く膨大なデータ量を集めることによって、レーザースキャンはその瞬間の建造物の状態を正確にキャプチャし、将来いつでも調査し確認することができるデータを生成します。

■ 過去を保存する技術を使用して
このプロジェクトの目標を達成するために、SightLineは、ファローレーザースキャナーを導入しました。ファローレーザースキャナーは、高速かつ正確であるだけでなく、携帯性に優れています。これによりSightLineは遠い場所でもスキャナーを持って出かけて行くことができます。レーザースキャンは、測定が難しいような環境でも、非常に効率的かつ効果的に3Dドキュメント化が行えます。
「このレーザースキャナーを使えば、すべての板の幅と厚さ、橋それぞれに固有のわずかな違いのすべてを得ることができます。また、ブリッジ内部の木目も、落書きでさえキャプチャすることができます」クルーガー氏は続けます。「ファローレーザースキャナーは、本当に素晴らしいツールです。」
レーザースキャナーは、測定対象物の環境も含め、設定は非常に簡単です。基本的にはスキャナーを設定するのみです。膨大な量のデータを収集するためには、この、高速で正確、そして手間のかからない方法というのは大変重要であり、そのデータは無期限に保存され、理由の如何に関わらずいつでも参照できるのです。
SightLineの主なサービスは、利用しやすい2Dや3Dの図面、バーチャルモデルを顧客に提供することです。FAROがプロジェクトを明確に理解できるような結果を迅速かつ正確に提供することで、顧客は潜在的な事故などを防ぐことができ、自信を持ってプロジェクトを推進することができるのです。
「写真を撮ることで視覚的なイメージは得られますが、本当に正確な測定値を得ることはできません。レーザースキャナーを使えばそれが可能なのです」とクルーガー氏は述べています。

■ 後世に伝えるためのスキャン
今まではあまりにも多くの情報と詳細を取得しなければならず、時間も数週間を要した作業を、SightLineはファローレーザースキャナーを用いてこれらの橋を3Dドキュメント化することにより、数時間で各橋への作業を完成させることができました。何年にもわたって価値のあるデータをわずか数日で収集できるといったように、将来のために環境を保管することがとても簡単にできるのです。
「収集される情報量は膨大で、従来の方法を使用する場合とは比べものになりません」アンスティさんは言います。「それが2D、3Dの図面やバーチャルモデルもしくは仮想の鳥瞰図であろうとも、いろいろな形で膨大な量のデータを取り込めます。ファローレーザースキャナーは、将来のために現在の環境を保存することにおいて最適なツールです。」
専門家は、SightLineとファローレーザースキャナーによって行われたスキャンは、橋が壊れたり破壊されたりしたときに修復または再建するためのガイドとして機能すると言います。
クルーガー氏は「これで、これらの橋に何が起ころうとも、再建することができるので安心です」と言い、アンスティさんは「我々が想像する以上に、この技術の可能性は無限です」と締めくくりました。
詳しくは、FAROのウェブサイトで。







