ZMPの自動走行テクノロジー開発を支えるPTC Creo×ThinkStation
2014年1月7日

ThinkStation完全検証 ~ZMPの自動走行テクノロジー開発を支えるPTC Creo×ThinkStation
 
株式会社ZMPは、ロボット技術をベースにした自動走行テクノロジ開発をリードしているテクノロジー・ベンチャーだ。PTC Creoを利用した3Dでの設計と解析、シミュレーションを開発現場に投入、2011年からThinkStationの利用を開始し、設計開発の効率化を進めている。最新の自動走行テクノロジーの現場を取材した。

車の自動走行を陰で支えるZMPの先進テクノロジー

ZMPのRoboCarR HVは、自動走行のシステムが組み込み、ステアリングホイールから手をはなしていても必要に応じて自動で曲がる
ZMPのRoboCar® HVは、自動走行のシステムが組み込み、
ステアリングホイールから手をはなしていても
必要に応じて自動で曲がる

今、車の最新技術と言えば、新しい動力源ともに車の自動走行技術が注目されている。本当に何もせずに車が勝手に動いて、止まって、曲がってくれるものから、今、普及しているように衝突回避、車線トレース、速度調整という部分だけを自動化して運転者の疲労軽減や安全の強化を図るものまである。

いずれにしても、道路上のさまざまな物を認識し、対処方法を考え、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作に反映するという技術の根幹は同じ。その中でも自動走行技術を開発、実際の車両に装着した開発用プラットフォームまで提供し、業界をリードしているのがZMPだ。

そのZMPでは、自動走行の開発用プラットフォームとして RoboCar®シリーズを提供している。実車に自動走行に関する様々なパーツが備えられており、ZMPオリジナルの制御コントローラを搭載、自動操舵、自動ブレーキを実現するオリジナルパーツを多数装備している。

歩行者を検知し、自動でクルマが右によけた
歩行者を検知し、自動でクルマが右によけた
自動走行でも、他のクルマと同様の速度までしっかり加速する
自動走行でも、他のクルマと同様の速度までしっかり加速する
カーブも自然に曲がる
カーブも自然に曲がる

機械設計はPTC Creoで設計時間も短縮、シミュレーションで信頼性を高める

RoboCarR HVの車内の様子
RoboCar® HVの車内の様子

自動走行技術と言えば、センサーやカメラ映像の解析など、制御のためのコンピューター処理を最初に想像しがちだが、それに並んで重要な技術がある。コンピューター処理の結果を、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作に反映するためのメカニズムだ。

どんなにカメラからの分析力が進化して優れていたとしても、ブレーキを操作するためのメカニズムが不安定であったり、耐久性が低かったりすれば、安全な自動走行はありえない。自動車の走行は近所に買い物に行くといった短時間のものもあれば、丸一日高速道路を走行して旅行に行くこともあるので、長時間にわたって正常に動作する機械設計は絶対に必要なのだ。

ZMPでは、PTC Creoを利用してモーター、油圧シリンダー、ソレノイドバルブといいったアクセル、ブレーキ、ステアリングを動かすパーツそのものや、それをクルマに取り付けるためのブラケットを設計している。あわせて、PTC Creoで熱伝導解析、応力解析を行い、実際に自動車に装着した際の様子を数値でシミュレーション、信頼性や耐久性を高めている。

ZMPの篠原氏は「PTC Creoには“スケルトンモデル”という概念が機能としてあり、アッセンブリに簡単に組み込めることから、それを利用したアッセンブリが組みやすくなっている」と高く評価している。

さらに篠原氏は「ボルトやナットなどを配置するのにパターン機能が強力で、これを利用してアッセンブリを組めばボルト・ナットの抜けがなく、アッセンブリを作る時間も圧倒的に短縮できた」と実際のメリットを語っている。

助手席の液晶モニターが目立っているが、見えないところにも自動走行のためのメカニズムが多数装備される
助手席の液晶モニターが目立っているが、見えないところにも自動走行のためのメカニズムが多数装備される
後部座席には、障害物の検知などの様子が表示されている
後部座席には、障害物の検知などの様子が表示されている
デモ走行を行ったRoboCarR HV。トヨタ・プリウスがベースだ
デモ走行を行ったRoboCar® HV。トヨタ・プリウスがベースだ

Pro/ENGINEERからPTC Creoへのアップグレードにも、ThinkStationのパワーと安定性が有効

株式会社ゼットエムピー 技術開発部 篠原隆 氏
株式会社ゼットエムピー 技術開発部 篠原隆 氏

ZMPでは2011年にThinkStationシリーズのE30とC20xを導入した。そのうちThinkStation C20xはインテル® Xeon® プロセッサー X5647を2個搭載するデュアルプロセッサー仕様。

一連の設計には膨大な計算処理が発生するためワークステーションにも強力なパワーが不可欠。篠原氏によれば、ThinkStation C20xにはPTC Creoでシミュレーションなど解析作業といった負荷の高い作業を任せても、安定した動作を実現しているという。それまで使っていたPCに比べ、大幅なパフォーマンスのアップを実感、処理時間も圧倒的に短いという評価もいただいた。

ZMPではThinkStation C20xとE30を利用している
ZMPではThinkStation C20x(左)とE30(右)を利用している

これまで2年間の長期にわたって利用していただいているが、それまでのPCよりも動作が安定しているとともに、計算処理だけでなく描画性能もアップしているため、作業時のストレスも少なくなっているとのことだ。

それに合わせてモニターの大型化を実施、PTC Creoを使った際に、モデルとモデルツリーを同時に並べて表示できるため、快適性もアップした。

また、使用するソフトウェアも以前のPro/ENGINEERから、PTC Creoにアップグレードし、インターフェースの違いに戸惑うこともあったが、頻繁に使う機能へのアクセスがしやすくなり、作業時間の短縮につながった。なお、PTC Creoにアップグレードする際、マシンスペックなど動作環境に注意する必要があるが、ZMPで使用中のThinkStationシリーズでは全く問題がなかったそうだ。

続きは、レノボ・ジャパンのウェブサイトで。

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