建設・建築系ユーザ活用事例に「教育シンポジウム2013」を追加
2014年4月15日

2013年8月23日(金)、東京・大手町サンケイプラザで「Vectorworks教育シンポジウム2013」が開催された。5回目となる今回はメインテーマに「デザインイノベーション」をかかげ、サポーズデザインオフィスの谷尻誠氏が「How to Think」と題する特別講演を行った。

開会に先立ち、エーアンドエーの内田和子代表取締役社長は、「めまぐるしく変化する社会の中で、CADが果たすべき役割は大きくなり、創造の原点であるデザイン教育でも、ますますイノベーションが求められている。当社もOASISを通じてVectorworksやシミュレーションソフトによる教育の革新に貢献していきたい」と、あいさつした。

このほかOASIS加盟校の教職員による講演や、今回で3年目を迎えたOASIS奨学金を受けた学生の研究成果発表、3Dプリンタで作成した建築模型や研究成果パネルの展示なども行われ、Vectorworksを活用する教育関係者や学生などで会場は活気に包まれた。


特別講演 サポーズデザインオフィス 建築家 谷尻 誠 氏

– How to Think –

Vectorworks教育シンポジウム2013のテーマは「デザインイノベーション」だが、私自身、どうすればイノベーションできるのかと、いつも考えている。

新しいものを作るのは難しい。その理由を考えた結果、世の中を「名前」というものが支配しているように感じた。つまり、名前がものの使い方や機能を拘束しているのだ。

例えば「コップ」をデザインしてほしいと頼まれると、ついついコップらしい形のものをデザインしてしまいがちだ。しかし、人々はコップという名前のものが生まれる前には両手で水をすくって飲んでいた。両手が使えないと困るので似た形のものを使うようになり、そのうち「コップ」という名前がつけられたのだろう。

そこでコップというものをデザインするよりも、どうしたら水を飲む機能を実現するものができるかと考えた方が新しいものを作れるのではないか。

コップの中に金魚を入れると「水槽」になるし、花を生けると「花びん」になる。電球をつければ「ランプシェード」になるし、植物を植えれば「植木鉢」になる。コップという名前がついているときは機能が1つに限定されるが、その名前を取り払ってみると機能が拡張されるのだ。

逆に名前をつけることも大事である。例えば引っ越し先にまだポストがないとき、段ボール箱に「ポスト」と書いておけば、郵便配達の人が郵便物を入れてくれるようになる。

建物でも「ダイニング」「リビング」「浴室」などと部屋ごとに名前がついていると、それぞれ用途が1つに限定された空間になってしまう。名前をつけたり取ったりすることで、ものの機能をコントロールできることに気がついた。

続き、PDF版のダウンロードはエーアンドエーのウェブサイトで。

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