「CONST-MAG」に金杉建設株式会社様の導入事例記事を公開
2020年5月11日

FC製品とICT機器をフルに揃えて完全内製化 i-Con対応に留まらない幅広いICT活用を推進

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TREND-COREによる3Dモデルを多彩に活用 プレゼンや打合せ、計画から3Dプリントにも

埼玉県春日部市の金杉建設は70年余の歴史と実績を持つ地域密着型の建設会社。老舗ながら進取の気性に富んだ実力派として、地域の建設業界を牽引しています。i-Constructionの取組みもあえて外注せずに、ICTツールをハード&ソフトとも自社でフルにラインナップして社員たち自身がこれを幅広く活用しています。今回はi-Conに関わる取組みとその中核となっているTREND-COREの活用について、同社i-Con推進室の小俣室長に伺います。

ICT現場対応はフル装備&直施工で

           

i-Con工事への取組みの現状は?             
小俣氏

ICT活用工事の件数自体が大きく増えたこともあり、それはもはや私たちにとって珍しいものではありません。実際、国交省や県発注の工事で日常的に取り組んでいます。特に国交省発注工事はほぼ全てICT工事という感じですね。そこでの当社の取組みの特徴を挙げると、外注を使わず内製化している点でしょうか。ICT建機はじめ各種の機器、ソフトウェアも全て自社で保有し、これを社員自身が駆使してICT施工を行います。外注するのは、重機のキャリブレーションくらいですね。他は基本的に全て内製しています。

          TREND-COREなどFC製品による作業

           

ICT機器やソフトは揃えておられる?             
小俣氏

そうですね。MC搭載のブルドーザーにバックホウ、3Dレーザースキャナーにドローン。3Dスキャナーやドローンはプロ仕様の本格的なものです。ソフトはEX-TREND武蔵にTREND-COREとTREND-POINT、そしてTREND-FIELD。さらにTREND-CORE VRも使っており、これらFC製品が当社のICT施工の基本となっています。他社製品も試しましたが、総じて福井コンピュータ製品が最も使いやすく現場にフィットするんですよ。

           

充実した装備や内製化の狙いは?             
小俣氏

基本なんでも「自分たちでやろう!」という社風なんです。ICTに関しても「自分たちでできるのでは?」という雰囲気が常にあり、トップもそういう取組みに積極的なので新しい機器やソフトも購入しやすいんです。そして自社保有すると「あれにも使おう」「こういう使い方も試そう!」と応用が広がり、技術やノウハウがどんどん蓄積されるのがポイントです。たとえば国交省のICT工事は堤防工事が多いですが、作業は渇水期の11~6月なので、3Dレーザースキャナーも1年の半分しか使えません。しかし、自社所有となると「年間通じて使おう」と皆が知恵を絞るのでアイデアも生まれます。たとえば動態測量。通常はTSやレベルで1点を測りますが、レーザースキャナーで面データを採ると、どんな変状を来しているか一目で分かるんですよ。

          TREND-COREによる施工手順の検討

社員のICTスキルも向上したでしょうね             
小俣氏

3次元設計データが作れるとか、3Dレーザースキャナーで測量ができるとか、ウチの現場監督の1/3ほどは何かしらできますね。教育の仕方は新しく導入した機器やソフトはまず私がひと通り使ってみて操作法を習得し、その上で個別に教授していくようにしています。面白いのは、私が使って見せている所を「生徒」の若い社員がスマホで動画に撮ること。その動画を後で何度も見直しながら勉強するんだそうです。さらに、そうやって操作を学んだ若手は、次回、先生役として別の現場へ派遣しています。やはり教える側に回ることになると誰でも覚えますからね(笑)

           

ソフト教育で重視しているのは?             
小俣氏

やはりTREND-COREですね。社員にはまず「TREND-COREで設計を組む」ことを勧めています。なぜならそれができるようになれば、ICTの多様な活用・応用のベースとなる3Dモデルデータを、スムーズかつスピーディに作ることができるからです。

TREND-COREデータの多彩な活用

           

3Dモデルデータを幅広く活用していますね             
小俣氏

当初はプレゼン用途が中心でしたが、やがてTREND-COREで作った現場モデルで仮設計画の検討や変更を行ったり、打合せに使うようになりました。また、現場での近隣説明や施工検討会、あるいは技術発表会等の資料に使ったり……3Dによる説明は理解しやすく、伝えやすいので非常に効果的です。さらに近年は3Dプリントも多用しています。

           

社用の3Dプリンターがあるのですか             
小俣氏

1年半前に導入しました。一番よく使うのは、複雑なコンクリート躯体工事の現場ですね。たとえば橋の橋脚など図面にすると断面ばかり何枚も必要で、打合せや説明会では大変な数になってしまいます。しかし、3Dプリントした模型が一つあれば、「どういう構造物なのか」一発で伝わる。実際、そういう現場では構造物を3Dプリントしておいて、現場事務所に置いておくんです。するとすぐに打合せに入れるし、参加者の理解も非常に早い。一般の方や発注者の方も「なるほどこうなるのか」とすぐ理解して打合せがとてもスムーズです。しかも「新しい技術を使っている信頼できる会社だ!」と思ってくださるのです。

          TREND-COREデータから3Dプリントした橋脚の模型

           

3Dモデルの模型が大量に残りそうですね             
小俣氏

実はほとんど残りません。発注者の方にお見せすると、決まって「検査が終ったらください」と言われてしまって……。「事務所の入り口に飾りたい!」なんて頼まれたら断れませんよ。本当にTREND-COREデータで3Dプリントできて良かったと思います。

           

すでにICTの域を超えた活用法ですね             
小俣氏

そういえば私も、TREND-COREで3Dモデルを作ることで工事内容の理解が深まる場合がありますね。複雑な躯体工事の設計で断面ばかり見ていて、頭の中ではそれなりに絵にできているつもりでも、TREND-COREで3Dモデルを描いてみると「ここってこうなってたんだ!」と気付くことがしばしば。複雑な躯体を理解する上でも役立ちます。

ICT&FC製品は評定点アップの決め手

           

ICTのメリットは他にもありますか             
小俣氏

最終的には工事評点の点数アップを目指しているので、たとえば評点で高得点をいただくことが一番のメリットです。実際、i-Con現場か否かに関係なくICTの活用は非常に有効な手段ですし、TREND-COREなどFC製品群はきわめて効果的なツールだと思っています。たとえば以前、埼玉県の下水工事の現場でタンクの工事がありました。そこはICT活用現場ではなかったのですが、躯体工事だったので「3Dを活用して評点アップを狙いませんか?」と担当の社員に提案。まず複雑な鉄筋をTREND-COREで描いてみました。そして、配筋を決めたりしたら役所の方に非常に高評価をいただいて。さらにVRで鉄筋の結束作業をシミュレートして確認したり、杭のズレ等を3D設計データと点群データで比較するなど、さまざまな技術的チャレンジを重ねました。結果、工事評定は90点を超え、埼玉県の知事表彰までいただきました。

           

対外的にもICTに強い会社と印象づけましたね             
小俣氏

その影響でしょうか。近年、当社は新卒採用にも成功しており、今年も5人ほど新卒者が入社する予定です。うち1人は女性だし外国人の方もいます。すでに若い外国人女性が私の下でTREND-COREを使っており、すでに貴重な戦力となっています。

           

今後のお取組みのご予定は?             
小俣氏

実は最近、マルチビーム測深システムを搭載したラジコンボートを導入しました。川を掘る仕事が増えると予想しているので、音響測深機で水中の点群を採れるこのシステムで水中の出来形や起工測量に使う計画です。ドローン測量や3Dスキャンしたデータと水中測量したデータをTREND-POINTで合せて、モデル化してみたいですね。

※役職などは2020年春、取材当時のものです。

詳しくは、福井コンピュータのウェブサイトで。

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