【現場がよくわかる】工事写真の撮り方と整理方法
2020年7月27日

現場監督となり、初現場での業務は書類整理から墨出し、そして工事写真撮影となります。
この工事写真は、重要な仕事の一つとなります。

建設産業はIT化が他の産業と比べて遅れており、労働人口減少の流れから、一人あたりの生産性向上が急務となっています。

そのような背景の中で、建設現場での業務を効率化させるため、今回は工事写真に視野を当てて工事写真の業務に関してご紹介させて頂きます。

業務効率化のため、生産性向上のために是非参考にしてみてください。

工事写真とは?

工事写真とは、一般に工事の全期間にわたり撮影されたものであり、各段階における施工 状況や施工経過等を記録するものです。
検査や施工管理の際に工事完成後では見えない箇所の確認手段に用いられる他、出来形、 出来高あるいは品質等の確認に用いられています。

工事写真が撮影される目的は以下の通りです。

・工事工程記録
・使用材料の確認
・品質管理の確認
・維持保全のための資料
・問題解決のための資料

撮影を行うことで、工事が適切に行われた証拠として残るようになります。
例えば、鉄筋工事はコンクリートが流し込まれてしまうと確認が出来なくなってしまいます。施工状況の確認ができるのは写真のみとなる為、写真が重要となっていきます。こういった隠ぺい部の確認を行う為に工事写真を撮影することは大切です。

工事写真の撮り方の基本とは

工事写真は経験が浅い人や各現場の一番下の人が主に撮ることが多い業務となります。
実際に全工程を撮影していくことで現場が理解できるようになるという背景もありますが、撮影自体は大切な業務であり、撮り方で判断が付かなくなってしまいます。
その為、撮り方を把握しておく必要があります。
基本は写真と写真にある工事黒板を見ただけで5W1Hの情報が汲み取れる写真である必要があり、写真の構図なども注意することが必要となります。

基本は以下の通りです。

・撮影前の使用機材の確認。
・5W1Hの情報が汲み取れる写真にする為の構図決め。
・黒板や添尺の内容が読み取れるように撮影。
・ゴミや不要なものは写らないように撮影。

ただ撮影を行うという訳ではなく、伝えるという目的の為に工事写真を撮影していく必要があります。

撮影計画

工事写真を撮る上で、写真を撮るタイミングというのが重要となります。
例えば、コンクリート打設前には配筋検査があり、配筋写真を撮る必要があります。
配筋写真が無いことで、コンクリート打設後に本当に鉄筋が問題なく、組まれていたのかわからず、確認作業の時間を使ってしまい工期が伸びてしまう可能性もあります。
そうならないよう撮影計画書を作成し、写真の撮り忘れ、漏れが発生しないように計画を立てます。

5W1H

工事写真撮影の際は、撮影計画書が重要となります。
撮影計画書には明確に撮るタイミングを定めて作成されています。
また見ただけで5W1Hの情報が汲み取れる写真である必要があります。

具体的に以下の通りです。

Who 誰が (請負業者・立会者)
When  いつ (時期・施工前後)
Where どこで (工事場所・部位)
What  何を (工事名・工事種目・分類)
Why なぜ/何の為に (工事目的・規格・寸法)
How どのように (施工状況・施工方法)

写真の内容のみで上記を網羅することは難しく、補えない情報も存在しているので追加で必要事項を記載した黒板や添尺などの補足情報を追記することでわかりやすくしています。

公共工事の注意点

公共工事だと国民の税金が使われる場合もある為、工事写真に関しては撮る項目を公共建築工事標準仕様書に記載され細分化されています。税金がどう使われているのか詳細を把握する為に工事写真が重要視されます。
その為、公共工事の注意点としては、画像編集を行った写真を提出することが出来ません。
明度変更やトリミングといったような簡易な編集もNGとなります。
公共工事の写真を撮影する場合はそのままのデータでの使用となるので更に注意をして撮影を行う必要があります。

工事写真の撮り方がわかる本

工事写真の撮り方がわかる内容はいくつかあります。
工事写真の撮り方は実際撮らないとわからない部分も勿論ありますが、撮る前に前提知識として撮り方がわかる本がいくつか出版されています。
工事写真を撮ったことがないけど、これから撮るという方にオススメの本をいくつか紹介します。
他にも多くありますが、標準仕様書の変化などで改訂版を出版することがありますので、その時の最新の内容で買うように心がけてください。

工事写真の撮り方 建築編」 出版社: 地域開発研究所; 改訂第2版 (1998/11/1) . 建設大臣官房官庁営繕部 (監修)

▶営繕工事写真撮影要領の制定により、国土交通省大臣官房官庁営繕部の監修を受けて発行されています。国、地方公共団体などの公共建築工事以外にも一般の建築工事にも活用できるように作成された内容となります。初めて建築工事の写真を撮る人に対して技術的参考図書としても幅広く使用される一冊となります。

土木工事写真の撮り方 改訂版」 出版社: 地域開発研究所; 改訂版 (2001/7/1).地域開発研究所 (著, 編集)

▶土木工事の施工状況の記録や明視できない出来形確認の資料等となる工事写真の撮影に関する目的、要領等を実例写真をもとに見易く編集しています。共通仕様書に準拠された内容です。初めて撮る人に対しての技術的参考図書として使用される一冊となります。

最高の工事写真の撮り方 増補改訂版」出版社: エクスナレッジ; 増補改訂版 (2015/10/2). 野 裕 (著, 写真)

▶工事写真に造詣の深い著者 中野 裕 が、カメラの基本知識から悪条件の現場での撮影テクニックといった実践的な内容から、公共工事で欠かすことのできない「国土交通省デジタル写真情報基準」まで、幅広い工事写真の技術と知識を写真や図を豊富に掲載して解説した内容になります。デジタルカメラを使用している人はカメラの基礎知識もある為参考になります。
カメラの基礎から学べる為、よりいい工事写真の撮り方を学べる1冊となります。

工事写真を楽にする方法

工事写真は撮り方もあり、実際に作業を行っていくのは大変ですが楽にする方法がいくつかあります。
あくまで一例ですので他にもあります。
以下の通りです。

・スマホorタブレットの利用
・工事写真専用アプリの利用
・オンラインストレージの利用

工事写真は着工から竣工まで、必要となる業務内容となります。
負担を軽減可能な手段の一つとして、工事写真業務の一部の現状を考えるのもオススメとなります。

スマホ or タブレットの利用

工事写真を撮る場合、今まではデジタルカメラを使用がメインだったと思われます。
それをスマホ・タブレットに変えることで利点があります。

・スマホ所持者が多い為、追加で導入コストが掛からない。
・アプリが使用できる。
・電子黒板使用によって前もって作成ができ、当日は1人で撮影を行うことも容易になる。
・デジカメよりコンパクトに持ち運びが可能。

スマホに関しては社内携帯がスマホの場合もある為、所持していることが多いです。
また持っていることにより電子黒板などの工事写真のアプリが使用できるというのが利点となります。
また、スマホ・タブレット使用に変えることでストレージアプリを使用することでPCへのデータ移行作業が無くなり、手間が減ります。
スマホの場合は撮影が行いずらい箇所でもデジカメと同様の解像度で撮影など行うことが可能となります。

専用アプリの利用

工事写真を撮る為の電子小黒板機能が付いたアプリがあります。
専用アプリを使用することで電子黒板の使用が可能になったり、写真整理が自動で仕分けられるなど利点があります。
また書類作成の連携が可能なアプリに関しては作成の手間を削減することが可能となります。
アプリによっては工事写真撮影のみであったり、WEBやソフトと連携して書類作成可能なアプリもあります。

アプリに関してはこちらの記事をご参照ください。

また公共工事で求められる電子納品も簡単に作成ができます。

オンラインストレージの利用

工事写真を撮る上で画像データは随時蓄積がされていきます。また現場や工事内容によっては数十枚の写真から数万枚の写真が必要となっていきます。
そんなデータをPCやUSBなどのローカルで保管をしていると、他者と共有が出来ないことや容量がすぐに無くなってしまいます。
また安全性に関してもローカルの場合で紛失してしまう恐れなどがあります。
そんな問題を解決するのが、オンラインストレージでの利用となります。
オンラインストレージを使用することによって、リアルタイムに他者に共有や確認をしてもらうことがなり、工事の進捗確認が便利となります。

以下が主に使用されているオンラインストレージになります。

・DropBox
・Box
・GoogleDrive
・OneDrive

各オンラインストレージによって使用権限がユーザーごとに異なったり、容量など様々な特徴があります。

お試しで使用して頂くことが可能なストレージなど幅広くありますので、まずはオンラインストレージをご利用頂き、写真整理の手間を軽減させてみてはいかがでしょうか。

まとめ

工事写真の目的から撮影での重要なポイントなどまとめてご案内させて頂きました。

デジタルカメラと実際の黒板で撮影していた状況からスマホ・タブレットと電子小黒板で工事写真を撮る状況へ変化しています。

またアプリやオンラインストレージなど様々な使用例があります。
選択肢が多くある、ツールの導入するのが面倒くさいなど思ってしまうこともあるかもしれませんが、人材不足が言われている建設業の中、1人でも負担が減らせることなど考えると、アプリやオンラインストレージに頼ったほうが効率的に管理できるかもしれません。
アプリ開発側に関してもオンラインストレージと連携を行っている企業も多い為導入もしやすいことがあります。

ツールの導入を考えている場合は、まず自社に必要な機能が何かを洗い出し、製品の比較や資料請求をすることをおすすめします。

詳しくはPhotoructionのウェブサイトで。

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