「スタラボ」に見谷組の導入事例記事を公開
2021年3月8日

施工からBIM運用する。ユニークさを徹底的に追求

 (株)見谷組(みたにぐみ)は、1923年に創業、2023年に100周年を迎える福井を拠点として活動している総合建設会社だ。建設実績も教育・文化・公共施設から医療・福祉施設、オフィスビル・商業施設、マンションや一般住宅など多岐にわたり施工している。また木造大断面工法、鉄骨造の建築製品(システム建築)、BIMやドローンなど様々な取り組みを行っている。施工時のデジタル化を先行して実施するべくBIMソフト「GLOOBE」を2015年に導入している。

1/1の精度でこだわりのBIMモデルを作成する

 BIMは設計から施工へと工程に準じて運用するのが一般的だが、見谷組では「施工の途中段階で徹底活用するという特殊な使い方をしている」(橋本哲氏: 建築部工事課係長)。曖昧な可能性の追求からBIM運用を始めると、効果が具現化しにくく、組織のモチベーションも上がらないと考え、BIMの運用効果を見える化し、実利を追求できる施工段階から開始した。
具体的には、設計からのBIM運用は実験的な段階であるため、施工へのデータ連動を行わず、施工に特化したBIMモデルを構築している。その際も、対象建物全体のBIMモデルではなく、特に納まりが複雑な、施工の難易度が高い部分のBIMモデルを作成している。自社で作成した足場の3 次元モデルを用いて敷地に足場を組み、その際にはクレーンも設置するなど仮設計画にも援用している。空撮写真と合成することで、リアルな未来の工事状況をイメージできる。【図1】数量拾いに関してはコンクリート数量に限定して利用しているが、それだけでも効果は明らかだ。

「GLOOBE」の契約ライセンスは4台で、年齢層は20歳代から60歳代と幅広い8名の施工担当が運用している。共に2 次元CADには慣れ親しんだ世代だが、「建築情報のデジタル化は共通していてもBIMモデルの作成は難しいうえに非常に疲れる」(橋本氏)とBIMソフトの特性も明らかにしている。
施工段階で活用するためには、極論すれば1/1の精度でBIMモデルを作成する必要がある。BIMモデル作成に手間はかかるが、実物と同じ3 次元建物モデルを作成しなければ、施工には援用できないからだ。ここでも「Build twice,first virtual,then real」(二度建てる、最初はバーチャルで、そしてリアルで建てる)が実践されている。

【図1】施工計画パース

ベテラン技術者でもBIMモデルによる見える化は評価

 1/1 のBIMモデルの作成に際しては、外部から支援する動きも顕著となっている。鉄骨工事に関しては、鉄骨ファブリケーターが1/1の詳細な3次元モデルをIFC ファイル形式でメール添付してくれるため、その3 次元モデルを「GLOOBE」側で再現、統合して利用している。【図2】
一方で、施工担当者間でのコミュニケーションには施工図が必須との悩ましい課題も残っている。現状では「GLOOBE」からは施工図の出力は行わず、2次元CADで描いている。その際の2次元CADと「GLOOBE」との関係もユニークだ。最初に2次元CADで施工図を描き、その情報に基づき「GLOOBE」でBIM モデルを作成していく。その後、BIMモデルを活用し詳細で精緻な納まりを確認、施工図に反映、訂正するという手法だ。「ベテラン技術者でもBIMモデルによる見える化は評価している」(橋本氏)が、施工図の必要性は残っているため、BIMモデルと施工図の関係をいかにしてデジタル連動させるのかは課題だ。
福井コンピュータアーキテクト(株)では2020年11月18日に「GLOOBE 2021」をリリースした。「GLOOBE2021」には施工BIMとして「GLOOBE Construction」も含まれており、施工図に特化した「J-BIM施工図CAD2021」もリリースされた。GLOOBE Constructionに躯体データをダイレクトに連携できるため「今後も様々なことにチャレンジしていきたい」(橋本氏)とのことだ。

【図2】SRC施工モデル

【会誌「日事連」2021年1月号より転載】

詳しくは、福井コンピュータアーキテクトのウェブサイトで。

(Visited 1 times, 1 visits today)
関連記事
Translate »