BIM・VRクリエーターがクラウドで特注金具を作ってみた
建築インテリアにも使える「meviy」活用術(ミスミ)
2021年3月3日

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やVR(バーチャルリアリティー)分野で活躍する桑山優樹氏は、木製のインテリアボードに液晶ディスプレーを固定するためのステンレス製金具を3Dデザインソフト「Rhinoceros」で設計し、ミスミのオンライン機械部品調達サービス「meviy」で製作した。3Dモデルをアップするだけで、見積もりや納期、製作可能性などが即時その場でわかり、最短翌日から十数日後には完成した部品が送られてくる手軽さだ。

特注の板金部品を使って木製インテリアにスマートに固定された液晶ディスプレーと桑山優樹氏(左)。ミスミのmeviyで製作したステンレス製の金具。3分割のものを2組発注した(右)

   3Dモデルをクラウドにアップすると金具が届く

3Dモデルデータをクラウドにアップするだけで、特注の板金部品や切削部品が作れるミスミの「meviy」は製造業ではおなじみだが、建築分野でも活用が始まっている。

「木製インテリアに液晶ディスプレーを固定する金具が必要になり、ホームセンターなどを探したのですがなかなかいいものが見つかりませんでした。そこで金具もピッタリのものを独自で設計し、3Dモデルをミスミ meviyのクラウドにアップしたところ、こんなスマートなステンレス製金具が送られてきました」とBIM・VRクリエーターの桑山優樹氏は語る。

桑山氏の手元に届いたステンレス製金具。外観は美しく、曲げや穴開けなどの寸法も設計通りだった

三重県名張市内に事務所を構える桑山氏は、建築分野でBIMやVRなど3Dモデル制作を手がけるクリエーターだ。瓦職人として桑山瓦(本社:三重県名張市)の代表取締役も務める同氏は、金具を自作することもいとわない。

しかし、日ごろはオフィスでの業務に多忙を極めており、少数の金具を製作するために、わざわざ工房をたずねて発注する時間の余裕もない。

「その点、meviyなら金具製作の見積もりから納期の確認、発注までの作業をすべてオフィスにいながら行えます。今回、製作した部品のコストは9820円でしたが、従来のように工房と打ち合わせたり、依頼したりという『見えない人件費』が全くかからないため、妥当な金額だと思います」と桑山氏は満足そうだ。

   クラウドで板金・切削部品を製作できるmeviy

今回、金具の製作に利用したミスミのオンライン機械部品調達サービス「meviy(メヴィー)」とは、ユーザーがオリジナルな設計にもとづいて、特殊な板金部品や切削プレートなどを発注できるクラウドシステムだ。

板金部品や切削プレートを特注するときの手順は、(1)3DCADデータのアップロード→(2)見積もり条件の変更→(3)見積もり確定・型番発行→(4)注文と、わずか4つのステップで完了する。

「meviy」で板金部品をオンライン作成する手順

これまで製造業のユーザー向けに提供されてきたサービスだけあって、対応している3Dモデルの形式はACIS(.sat)、Parasolid(.X_T)、STEP(.step/ .stp)などが中心だ。

桑山氏は3Dデザインソフト「Rhinoceros」を使って金具の3Dモデルを作り、それを「sat形式」で保存して、meviyにアップロードした。

すると数秒でシステムが3Dモデルの形状解析を行った。

3Dモデルを「meviy」にアップロード中の画面

   気が済むまで何度も設計変更できる

「しかし、最初に設計した金具だと『曲げ加工時にパーツと金型が干渉するので作れない』というエラーが出てしまいました」と桑山氏は言う

当初、設計した金具の3Dモデル(左)とエラー表示(右)

そこで、指摘された問題点を解決するため、金具を3つのパーツに分けて設計した。すると今度はうまくいった。

「meviyのよいところは、オンラインマニュアルが詳しく、親切なところです。形状やサイズに問題があり、製作できない場合は、その場で原因と解決のヒントが示されるので、手戻りがありません」(桑山氏)。

設計変更して3つのパーツに分けた金具の3Dモデル(左)。3つの金具は製作可能となり、見積額と出荷日が表示された

3Dモデルをアップ後、材質や表面処理の仕様をプルダウンメニューで指定できる●

3Dモデルをアップし、製作可能なことがわかれば、金具の材質やメッキなどの表面処理の仕様を、プルダウン式のメニューで選べるようになっている。

「形状、穴開けの個数などを変えると、見積額や出荷日も変わってきます。担当者を相手に、何度もこうした細かいことをたずねるのは気が引けますが、meviyはコンピューターが相手なので、気が済むまで繰り返し検討できるがいいところですね」と桑山氏は語る。

   切削プレートもシミュレーションしてみた

meviyが提供するもう一つの部品は、厚板をエンドミルなどで削り出して作る切削プレートだ。

桑山氏は自らのイニシャル「K」を切り抜いた厚板プレートをその場で設計し、いったい、いくらで作れるのかをシミュレーションしてみた。

最初に作ったモデルは、100mm四方の厚さ1mmの鋼板を「K」という文字を、ゴシック体のフォント形状に切り抜いたものだった。

切削プレートの3Dモデルを作成中の桑山氏(左)。最初に設計したプレートの3Dモデル(右)

この3Dモデルをmeviyにアップしてみると、エラーが出てしまった。その原因は文字の角が直角になっており、回転式の刃で切削するエンドミルの半径が考慮されていなかったためだった。また、板厚が薄すぎるので4mm以上必要ということも指摘された。

そこで桑山氏は文字の角を丸くする「フィレット」を施して3Dモデルを修正するとともに板厚を5mmにして、再度、meviyにアップした。今度はうまくいったようだ。

材質を標準的な鋼板「SS400」にした場合の見積金額は4313円で、出荷日まで実働6日間ということだった。今度は材質をアルミニウム合金の「A6061」に変えてみると、見積金額は5905円、出荷日までは実働10日間かかることがわかった。

「K」の角にフィレットを入れてエンドミルで削れるように修正した3Dモデルをアップした結果。材質を「SS400」にしたとき、見積価格は4313円、出荷日まで実働6日間と表示された

今度は材質をアルミニウム合金の「A6061」に変えてみた。見積金額は5905円、出荷日まで実働10日間に変わった

「同じ機能を持つ金具の設計は、何十通りもありますが、設計を変えてはmeviyにアップすることで、実際に作れる設計なのか、見積もりや納期から作りやすさはどうかといったことを設計者自身が体験できます。設計者にとって、meviyは工場でのものつくりの感覚を鍛えてくれるツールでもあります」(桑山氏)。

   建築関係者にも無限の用途が

桑山氏がmeviyの存在を知ったのは、BIMを活用したコンピュテーショナルデザインや構造設計などを手がける建築設計事務所、ディックス (本社:名古屋市中区)の取締役 構造設計部部長の田村尚土氏からの情報提供だった。

ディックス 取締役、構造設計部部長の田村尚土氏

田村氏は五角形を組み合わせた直径2mの12面体ドームのオブジェを作る際、1寸の木材を接続する角部分の金具をmeviyで製作していたのだった。

こうした立体格子に使う金具には、正確な曲げ角度が求められる。そして、3Dソフトなしでは曲げ角度をはじき出すのも手間がかかる。その点、3Dモデルをアップすれば金具が作れるmeviyだと、設計から製作までをスピーディーに行えるのだった。

五角形を組み合わせた12面体ドームの3Dモデル(以下の資料、写真:田村尚土氏)

金具の3Dモデルを「meviy」にアップロードしたところ。見積価格は2190円、製作期間は3日間必要なことが即座にわかった

「meviy」から送られてきた20枚の金具。すき間なく積み重ねられた様子から、どれも正確な角度に曲げ加工されていることがうかがえる

ワークショップを開催して行った12面体ドームの組み立て作業

組み立て作業にAR(拡張現実)デバイスから見た3D完成予想図

MRデバイス「HoloLens2」を使って変形や応力などの構造解析も連携し、普段、見えない力を可視化した

設計通りに完成した12面体ドーム

建設業界は今、BIM/CIMやVRなどの3D設計技術の導入で、デジタルトランスフォーメーション(DX)が起こりつつある。その一つとして、建築物に使われる部材を工場製作するプレハブ化が注目されている。

「ミスミのmeviyは、建設業と製造業の間を橋渡しするクラウドサービスとして、今後、様々な特注部材の製作に活用されていきそうです」と、桑山氏は語った。

 【問い合わせ(アカウント作成、見積もり、サンプル無償提供など)】
 株式会社ミスミグループ本社
オンライン機械部品調達サービス「meviy」のウェブサイ https://meviy.misumi-ec.com/
担当者名:松村 メールアドレス: nobuyuki.5rxe.matsumura@misumi.co.jp
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