「ScanX」で礒部組が点群分類を自動化、発注者ともシェア! スマホLiDARによる3D施工管理も視野に(ローカスブルー)
2022年8月23日

高知・奈半利町の地方ゼネコン、礒部組はローカスブルーのオンライン点群処理ソフトウェア「ScanX(スキャン・エックス)」を導入し、効果を上げている。現場の点群データから地表面を自動的に取り出す、点群データを発注者とオンライン(クラウド)共有するといった活用によって、起工測量や施工管理を効率化した。今後はiPhoneやiPadのLiDARによる点群計測とScanXを組み合わせて、施工管理を3D化することも視野に入れている。

オンライン点群処理ソフトウェア「ScanX」にアップロードされた点群データで現場の状況を3Dで把握する礒部組の施工管理技術者

オンライン点群処理ソフトウェア「ScanX」にアップロードされた点群データで現場の状況を3Dで把握する礒部組の施工管理技術者

 地表面の点群取り出しを自動化

礒部組 常務取締役 宮内 保人 氏

礒部組
常務取締役
宮内 保人 氏

「ScanXのおかげで、点群データから地表面を取り出す作業が自動化でき、起工測量の効率が大幅にアップしました」と語るのは、礒部組(本社:高知県安芸郡奈半利町)の常務取締役 宮内保人氏だ。

ScanXとは、3Dレーザースキャナーや写真測量から生成された、点群データの様々な処理を行うオンライン(クラウド)型ソフトウェア(アプリ)だ。ローカスブルー(本社:東京都渋谷区)が2020年9月にリリースして以来、急速にユーザーが増えている。機能や使いやすさが評価され、2021年度には、国土交通省の「i-Construction大賞」で国土交通大臣賞を受賞した。

これまで、数十GBという大容量の点群処理を行うためには、ハイスペックなパソコンと高価な専用ソフトが必要で、100万円以上の投資が必要だった。しかし、ScanXはインターネット回線と普通のPC、ウェブブラウザーだけで使えて、最も安いプランは月額3万円未満という低価格で使えるのだ。

そして最も注目されているのは、点群の自動分類機能だ。現場で計測した点群データには、樹木や草、建物、クルマなどが写り込んでいるが、ScanXは独自のアルゴリズムによって点群を自動的に分類してくれるのだ。

もとの点群データ

樹木や建物、地表面などの点群を自動分類したところ

起工測量では地表面の点群だけを取り出してすぐに使える

「当社では起工測量の時など、点群データから地表面だけを取り出しています。以前は手作業で行っていたので、長時間かかっていましたが、今はScanXが自動的に行ってくれるので、地表面を取り出す作業のスピードは数十倍も速くなりました」(宮内氏)という。

 点群ならテレワークでも現場状況が把握できる

礒部組 技術課長 ICT施工推進チーム長 元久 卓 氏

礒部組
技術課長 ICT施工推進チーム長
元久 卓 氏

礒部組ではこのほか、ScanXのクラウドアプリとしての強みを生かして、発注者との現場情報共有にも活用している。

その1つは、発注者への報告業務だ。ある道路工事では、他の現場からの残土を受け入れ、盛り土に活用した。以前は、毎月、残土の山の断面図を作成し、報告書にまとめていたので、手間ひまがかかっていた。

「今は残土の点群データをScanXにアップし、発注者とオンライン共有する方式に切り替えたので報告業務もかなり効率化されました。3Dの点群データは現場の状況がわかりやすく、画面上で残土量の計測も行えます」と礒部組 技術課長 ICT施工推進チーム長の元久卓氏は説明する。

もう1つは維持管理業務での活用だ。道路や橋梁などの異常箇所を発見したときに、その状況をiPhoneやiPadのLiDAR機能で点群計測し、ScanXで処理。そのデータをグループウェア「サイボウズ」で社内共有しているのだ。

「点群データは、画面上でくるくる回転させて、いろいろな角度から確認できるので、テレワークでも現場の状況がよくわかります」と元久氏は、「移動のムダ削減効果」について語る。

ウェブブラウザー上でリアルタイムに点群データを工事関係者間で共有できるのもScanXの強みだ

ウェブブラウザー上でリアルタイムに点群データを工事関係者間で共有できるのもScanXの強みだ

 自社の生産性向上のために点群を活用する

高知・奈半利町に本社を置く礒部組は、社員18人。知事許可の特定建設業で、県や市町村の工事の元請けがメインとなっている。ただし国の工事は受注していない。

「当社が3Dモデルや点群の活用に取り組むのは、国土交通省のi-Construction施策に対応するためではなく、自社の生産性向上のためです」と宮内氏は言う。

同社は10年ほど前、地元説明会や現場作業員との打ち合わせなどで、3Dモデルを使うと理解度が格段に違うことを実感し、その重要性を認識した。

以来、3Dデザインソフトや墨出し用のトータルステーション、GNSS(全地球測位システム)などを駆使し、道路や砂防ダムなどの構造物を3Dモデルで表現し、施工計画などに活用してきた。

2019年には3Dレーザースキャナーや土木工事用の3DCADソフト、点群処理ソフトも導入し、現在ではすべての工事で、起工測量を3DレーザースキャナーやRTK-GNSS搭載型ドローン(無人機)で行うまでになった。そして2020年9月、ScanXをリリースと同時に導入した。

礒部組は起工測量には必ず、3Dレーザースキャナーで現場の点群計測を行う

礒部組は起工測量には必ず、3Dレーザースキャナーで現場の点群計測を行う

現場で計測した点群データに、ボックスカルバートや仮設ステージの3Dモデルを重ねた例

現場で計測した点群データに、ボックスカルバートや仮設ステージの3Dモデルを重ねた例

3Dモデルでの施工検討は工事関係者間のコミュニケーションにも欠かせない

3Dモデルでの施工検討は工事関係者間のコミュニケーションにも欠かせない

「現場で計測した点群データはまず、ScanXの点群自動機能で地表面を取り出します。その後、3DCADや他の点群処理ソフトで図面の作成や土量計算などを行っています」と元久氏は説明する。

 スマホLiDARで社内の点群活用力を強化

現在、3Dモデルや点群の処理は、宮内氏と元久氏の2人で行っている。最近、考えているのはiPhoneやiPadのLiDAR機能による点群計測と、ScanXによる点群データの共有によって3Dを活用する社員を増やすことだ。

「ScanXはクラウドアプリなので、高価なハードやソフトは必要なく、多くの社員が使うことができます。図面と既設構造物が異なるとか、想定外の埋設物が出てきた場合など、問題が発生した現場をスマホのLiDARで点群計測し、それをScanXにアップして社内で共有し、オンラインで問題解決を行うといった方法です」(元久氏)。

iPadで地下構造物の外観を計測中の元久氏(左)と計測した点群データ(右)

iPadで地下構造物の外観を計測中の元久氏(左)と計測した点群データ(右)

iPhoneで地下構造物の内部階段を計測中の宮内氏(左)と計測した点群データ(右)

iPhoneで地下構造物の内部階段を計測中の宮内氏(左)と計測した点群データ(右)

ScanXで2つの点群データをクラウド上で合成したもの

ScanXで2つの点群データをクラウド上で合成したもの

 最新版も月額3万円以下で利用可能に

スマホLiDARユーザーなどのニーズに対応するため、ローカスブルーは2022年6月、新バージョン「ScanX Ver.2.0」をリリースした。

データセキュリティに配慮しながらクラウドによる点群データのオンライン共有をスムーズに行うため、「共有リンク」の発行機能を一新しより便利にしたほか、管理セキュリティーを高めるために点群データやフォルダごとにアクセス権限を管理者、編集者、閲覧者に分けられるようにした。

こうしたクラウドによる点群データ共有機能は、現場に行かなくても現場の状況がオンラインでわかるので、移動のムダをなくす効果が期待できる。スマホLiDARの機動力とも相まって、点群データの全員活用によるさらなる生産性向上を後押ししてくれそうだ。

点群の自動分類機能やデータ共有機能などが進化した「ScanX Ver.2.0」

点群の自動分類機能やデータ共有機能などが進化した「ScanX Ver.2.0」

Ver.2.0ではレンダリングエンジンを一新し、国際的に広く使われている「セシウム」を導入した。点群データの自動分類やノイズ除去の性能を向上させたので、現場で点群を計測してウェブブラウザー上にアップするだけで、手作業による点群処理は大幅に自動化される。

このほか、国土交通省の土木工事施工管理基準や規格に準拠した出来形帳票の自動作成機能も新たに搭載した。今後、帳票機能は順次、追加していく予定だ。

●ScanX Ver.2.0の機能一覧 ※(新)は新機能
ユーザー管理機能(新)、点群の自動分類(新)、ベースマップ、データダウンロード、計測ツール(距離、面積、体積等)、ビュークリップ、座標変換、ノイズ再除去、点群合成、重複点群除去、点の間引き、地表面の再分類、植生・建物の再分類、欠損補間、手動分類補正、TINメッシュ生成、等高線生成、出来形帳票出力(新)

これまで、点群データを処理するためには、大容量のメモリーや高性能のCPU、グラフィックボードを搭載したワークステーションや、専用ソフトが必要で100万円を軽く超える設備投資が必要だった。

一方、ScanXは高機能にもかかわらず、最も安いベーシックプランは月額3万円を切る低価格で使える。点群を活用する業務が増えれば、「プロ」や「エンタープライズ」に切り替えていくだけで対応でき、すべて経費に算入できるので節税の点でも有効だ。

ScanXの各プランの内容と月額利用料。追加IDは編集者が月額5000円、閲覧者が同300円で用意できる

ScanXの各プランの内容と月額利用料。追加IDは編集者が月額5000円、閲覧者が同300円で用意できる

ローカスブルーでは現在、Ver.2.0の14日間無料体験キャンペーンを行っている。(資料請求・無料体験のお申し込みはこちら

点群データを本格的に活用するユーザーはもちろん、スマホLiDARで初めて点群計測を行い始めたユーザーも、点群処理の生産性を高めるScanXを使ってみてはいかがだろうか。

【問い合わせ】
ローカスブルー株式会社
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-3-9 ヒューリック渋谷1丁目ビル 617号室
TEL 050-1742-3040
WEB scanx.jp/ja
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