竹中工務店、ARESを本格導入! 8600台規模で図面管理・コラボを強化し建設DXを推進(Graebert Japan)
2025年9月11日

竹中工務店はGraebert Japan(グレバート ジャパン)(本社:東京都新宿区)が販売するDWG互換CAD「ARES」シリーズを本格的に導入し、現在、社内ではPC8600台にインストールして日常業務に使われるようになった。リーズナブルな料金であることはもちろん、建設業界の標準的CADである「AutoCAD」と操作方法や図面データの互角性が高く、クラウドやBIMとも対応し、今だけではなく将来の建設DXとの親和性が高いのがその理由だ。

竹中工務店では全社でPC8600台ものARESシリーズが活用されている

竹中工務店では全社でPC8600台ものARESシリーズが活用されている

第1部:竹中工務店がPC8600台にARESを導入した理由とは

400年以上の歴史を誇る竹中工務店(本社:大阪市中央区)が、CAD環境の刷新に選んだのは、Graebert社が開発する「ARESシリーズ」だった。

2019年に導入が始まったデスクトップ型2D CAD「ARES Commander」は、2021年には全社展開が決定された。

クラウド対応の「ARES Trinity」やオンラインCAD「ARES Kudo」といった連携ツールも併せて導入され、図面の作成・管理・共有を含む業務全体のデジタル化を後押ししている。

   慣れ親しんだ2D CADからの脱却に最適な選択

竹中工務店では、BIM推進が全社的な課題となっていた。建築業界全体が3Dモデリングへの移行を進める中で、従来から使用してきた2D CADとのギャップが現場や設計業務に影響を及ぼしていた。

「慣れ親しんだ2D CADからBIMへの切り替えがなかなか進まない中、BIMのメリットを生かしながら、2Dの作業もスムーズにできる新しいツールを探していました」と竹中工務店デジタル室プロジェクトプロセスデジタル化グループの緒方広樹氏は振り返る。

竹中工務店デジタル室プロジェクトプロセスデジタル化グループの緒方広樹氏

竹中工務店デジタル室プロジェクトプロセスデジタル化グループの緒方広樹氏

そこで注目されたのが、DWG形式と完全互換のARES Commanderだった。従来の図面資産を無駄にせず、ユーザーインターフェースも親しみやすいため、スムーズな移行が可能だったのだ。

また、ARES CommanderはBIMとの連携も視野に入れており、将来的な業務の3D対応にも対応できる柔軟性を備えていた。この点が、2DとBIMの橋渡しという過渡期にある同社のニーズにマッチした。

   高騰するCADコストへの明確な解決策

ARES Commanderの採用には、コスト面の理由も大きかった。長年使用してきたAutoCADは年々ライセンス費用が高騰しており、特に全社規模での導入には多大な予算が必要となっていた。

その点、ARESは比較的安価でありながら、CADに求められる基本機能を網羅している。

例えば「DWGとの完全互換」は、過去の設計資産をそのまま活用できることを意味しており、設計変更や過去図面の再利用といった日常業務において極めて重要である。また、2DとBIMの橋渡しという点でも、ARES Commanderは、2D図面を効率よく扱いながら、将来的なBIMとのデータ統合にも備えられる柔軟なCAD環境を提供している。

ARESには、現場の設計者が慣れた操作体系で2D図面を作成しつつ、設計プロセスの中でBIMモデルとの整合性を意識できる環境が整っており、プロジェクト初期段階の2D図面作業から実施設計段階のBIM連携まで、スムーズな移行が可能になっている。

「コストを抑えながらも業務品質を維持できる」という点が、高く評価されたのだ。2025年現在、竹中工務店でのARES Commanderのインストール数は8600台に達している。

   ARES TrinityとARES Kudoでクラウド対応

竹中工務店は2021年より、社内の図面管理を含むプロジェクト関連データの一元化と利活用を目的に、「建設デジタルプラットフォーム」の運用を開始し、図面データの保存・管理を自社運営のファイルサーバーからクラウドストレージに移行した。

「これにより、セキュリティを確保しつつ、いつでもどこでも、必要な時に必要な人が図面やプロジェクトデータを活用できるようになりました」と竹中工務店デジタル室プロジェクトプロセスデジタル化グループのシニアチーフソリューションクリエイター、片倉潤也氏は説明する。

竹中工務店デジタル室プロジェクトプロセスデジタル化グループのシニアチーフソリューションクリエイター、片倉潤也氏

竹中工務店デジタル室プロジェクトプロセスデジタル化グループのシニアチーフソリューションクリエイター、片倉潤也氏

その中で重要な役割を果たしているのが、クラウド連携型のARES TrinityとオンラインCADのARES Kudoである。

ARES Trinityは、ARES Commanderで作成した図面をクラウド上で共有・管理する仕組みを提供し、複数の関係者によるコラボレーションやバージョン管理を可能にする。

特に、複数人が同時に図面を編集する大規模プロジェクトにおいては、変更履歴のトラッキングやリアルタイムの通知機能により、図面の食い違いや重複作業を防ぎ、業務効率を大幅に改善した。

ARES Trinityは大規模プロジェクトでもバージョン管理がスムーズに行える点を評価し、導入した

ARES Trinityは大規模プロジェクトでもバージョン管理がスムーズに行える点を評価し、導入した

また、ARES Kudoは、ブラウザベースで動作するオンラインCADであり、オフィス以外の現場や出張先でも図面確認・軽微な修正が可能となる。インストール不要で、どこからでもアクセスできる柔軟性は、働き方改革の実現にも有効だ。

さらに、ARES Trinityを介して常に最新の図面が共有されていることで、関係者間のリアルタイムな状況把握が可能となり、作業スピードと意思決定の迅速化につながっている。

   DX時代にふさわしいCAD環境の構築

ARESシリーズの導入は、単なるCADソフトの切り替えにとどまらない。竹中工務店が推進する建設DXの一環として、業務プロセスの見直しやクラウド環境の整備といった全体的な変革と深く連動している。

BIMや建設DXを推進する竹中工務店での導入効果は社内にとどまらず、同様の課題を抱える他の建設企業にも広く波及していきそうだ。

建設DXの推進と2D CADの活用を両立させるARESシリーズ

建設DXの推進と2D CADの活用を両立させるARESシリーズ


第2部: ARESはここまで進化した、「ARES Kudo」もさらに高機能に

竹中工務店が全社的に導入した「ARESシリーズ」は、導入時のコストパフォーマンスやDWG互換性に加え、クラウド連携やBIM対応の柔軟性が高く評価されてきた。そして、導入後もその選択が正しかったと感じさせるのは、シリーズが毎年確実に進化し続けている点にある。

2025年時点での最新版ARESシリーズの進化はどこまで進んだのか。竹中工務店が評価した視点に沿って見てみよう。

   Trinity × Kudoで「現場とクラウドを一体化」

クラウド環境での図面共有・バージョン管理を可能にする「ARES Trinity」と、ブラウザで動作する「ARES Kudo」は、竹中工務店が評価した重要な要素の一つだ。今年のアップデートでは、このクラウド連携がさらに実用レベルで強化されている。

例えば、ARES Kudoでは図面の「変更履歴」が詳細に記録されるようになり、誰がいつ、どこを変更したかを簡単に確認できるようになった。これにより、社内外の複数メンバーによる編集時のトラブルを未然に防ぎ、コミュニケーションの透明性が大きく向上している。

また、過去の図面バージョンとの「並列表示」や「復元機能」も加わり、修正の影響範囲を即座に把握できるようになった。これらの機能により、クラウド上でもデスクトップ同様の安心感と操作性が実現されたといえる。

ARES Kudoでも図面のバージョン管理が可能になった

ARES Kudoでも図面のバージョン管理が可能になった

ARES Kudoでもカスタムブロックを使用して効率的な作図が可能になった

ARES Kudoでもカスタムブロックを使用して効率的な作図が可能になった

さらに、ブロックライブラリのクラウド共有も進化。ARES Kudoでも、ARES Commandersと同様にダイナミックブロックやカスタムブロックが使用できるようになり、チーム単位でのブロック資産の一元管理が容易になった。

従来はファイルサーバー経由でやり取りしていたパーツ図や記号なども、クラウド上のライブラリに格納することで、設計担当者間の作業の連携スピードが大きく向上している。

   深夜に図面を自動処理、「時間資源」を最大活用

今年の目玉の一つが、ARES Kudoで提供される「図面自動化ジョブ」機能だ。これは、クラウド上で処理が実行される仕組みで、例えば複数の図面ファイルの一括変換などね指定された操作を自動で実行することができる。

業務への具体的な貢献は明確だ。たとえば、前日の夕方にジョブをスケジュール設定すれば、翌朝出社時には処理が完了しており、手作業で数時間かかっていた作業が“ゼロ時間”で済んでしまう。これは現場設計者にとって非常に実用的で、「人間がやらなくていい作業」をシステムに任せるという生産性向上の象徴ともいえる。

現在は月間数ファイル程度であれば無料で試せる環境も整備されており、将来的にはカスタムジョブの構築も可能。大規模プロジェクトを抱える建設会社にとって、業務ごとの自動化テンプレートを設けることでさらなる効率化が期待できる。

   2DとBIMをつなぐARES Commanderの深化

ARES Commanderは、従来の2D図面作成を主軸としながらも、BIMモデルとの連携を意識した「ハイブリッドな設計環境」を提供してきた。竹中工務店が導入に踏み切った背景にも、この柔軟性が大きく影響していたが、2025年の最新版ではBIM連携機能がさらに進化している。

具体的には、BIMソフト「Revit」のRVT形式やIFC形式のファイルを読み込み、そこから平面図、断面図、立面図といった2D図面をDWG形式で自動生成できるようになっている。さらに、BIMモデルが更新された場合、該当図面の変更点を自動で反映できるような仕組みの構築が進んでいる。

BIMモデルをARES Commanderに読み込み、表示した例

BIMモデルをARES Commanderに読み込み、表示した例

BIMモデルから2D図面を作成し、さらに家具を書き加えた例

BIMモデルから2D図面を作成し、さらに家具を書き加えた例

この「BIMからの図面自動生成・更新」は、BIMと2D CADを並行運用する現場において、作業の重複や整合性チェックにかかる手間を大きく削減する。BIM設計の進捗と連動して2Dの図面管理ができるため、従来の「BIMとCADの分断」を埋める実務的な機能として注目されている。

また、今年のバージョンでは日本語の通り心にも対応するなど、日本市場への最適化も着実に進んでいる。

   AIアシスタント「A3」の進化と普及

昨年登場したAIアシスタント「A3(エースリー)」は、今年のアップデートで機能が大幅に拡張された。当初は操作方法のガイド役だったが、現在は入力補助、翻訳、スペルチェック、スマート選択など、作業そのもののサポートに踏み込んでいる。

特筆すべきは、このAIがデスクトップ版ARES Commanderだけでなく、ARES Kudoにも搭載された点だ。これにより、クラウド上でもA3が設計者を支援し、CAD経験の浅い社員や設計補助者でもスムーズに操作を進めることができるようになった。

A3で特定の条件に合う図形を自動選択し、レイヤーを移動させた例

A3で特定の条件に合う図形を自動選択し、レイヤーを移動させた例

「CADが使える人」だけでなく、「CADを使ってみたい人」でも安心して導入できる――ARESシリーズが現場の裾野を広げるツールとして位置づけられるようになった背景には、こうしたAI支援機能の着実な進化がある。

ARESシリーズは、AutoCADの単なる“代替”では終わらない。クラウド、BIM、AIといった時代のテーマに正面から向き合い、毎年確実に進化を重ねている。竹中工務店がその価値を認めたのは、単なる価格や機能の問題ではなく、これからの建設DXにも対応できる「進化する力」に対する信頼だったのかもしれない。

今後も建設業界全体が抱える課題に応えるソリューションとして、ARESシリーズの存在感はますます高まっていきそうだ。

このほか、ARES Commander 2026とARES Kudoの新機能についての、YouTube動画シリーズはこちらも併せてご覧ください。

 【問い合わせ】
Graebert Japan 合同会社

〒160-0023
東京都新宿区西新宿 1-20-3 西新宿高木ビル 8F
ウェブサイト:https://www.graebert.com/ja/

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