管理人のイエイリです。
5月に北海道電力泊原子力発電所が定期検査に入ると、日本で稼働している原発は「ゼロ」になることが話題になっています。となると、限られた電力を少しでも有効に利用するとともに、ピーク電力を下げることが電力ユーザー側の課題にもなってきますね。
そこで、三菱自動車名古屋製作所では、生産本館という建物で使用する電力を平準化する実験を行うために、スマートグリッド実証実験装置「M-tech Labo」が完成し、このほど稼働を開始しました。
電力消費のピーク時などに、建物に電力を供給するために太陽光発電のほか、
ナ、ナ、ナ、ナント、
EV(電気自動車)
と、古いEVから回収された「リユース蓄電池」を使っているのです。
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「M-tech Labo」の建屋外観(写真・資料:三菱商事、三菱自動車工業、三菱電機。以下同じ) |
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EVとの電気のやりとりを行う「充放電ガンスタンド」(左)とリユース蓄電池(右) |
この実験は三菱商事、三菱自動車工業と三菱電機が、「けいはんなエコシティ次世代エネルギー・社会システム実証プロジェクト」の一環として、東京工業大学の指導を受けながら行っているものです。
実験に使用する5台のEVと、5台のリユース蓄電池からは、それぞれ3kW、合計30kWの放電ができます。また、建物の屋根に設置した太陽光パネルは20kWの発電量があり、生産本館に対して最大50kWを給電できます。
生産本館の使用電力の変動幅は180kWで、このうち33%を「M-tech Labo」からの電力で低減させるのが目標です。
EVを電源に使うというと、クルマを使いたいときに電気がなくなってしまうのではないかと、心配な方もおられるでしょう。そこで、この実験では、EVとしての使用に
支障を与えない範囲で
EV蓄電池の利用可能な放電容量や時間帯を統合するシステム「EIS(EV統合システム)」を導入します。また、生産本館には「EMS(エネルギー管理システム)」を設置し、電力需要のピークカットやピークシフトを行います。
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実証実験システム全体の構成図 |
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システム稼働状況のイメージ。太陽光発電パネルやEV、リユース蓄電池の電力が見える化されている |
EVも普及が進み、今後、買い換えによってリユース蓄電池も大量に発生することが予想されます。その受け皿としてスマートグリッドで利用は、大いに地球環境保護に貢献しそうですね。