熱をネットで交換!大阪市大のサーマルグリッド実験
2012年9月20日

管理人のイエイリです。

送電線網に太陽光や風力発電などの電源を接続し、電力需要のある建物などで使うスマートグリッドという次世代の送配電インフラが電力のピークカットや省エネの手段として注目されています。

これと同じ発想で、余った熱を熱需要がある他の建物に送って使うための実験を、大阪市立大学を中心とした研究チームが行うことになりました。共同研究者には京都大学、大阪府立大学、大阪市、ダン計画研究所、Afesが名を連ねています。

既設熱源・電源を自立・分散型エネルギー化し鉄道網を利用した電力融通エネルギーシステムの開発」という研究の一環として行うもので、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

サーマルグリッド

 

という熱導管のネットワークを作り、熱を「パケット搬送」するという画期的なシステムです。

つまり、温熱や冷熱が余っている事業者は同じ熱導管で冷温水を「送信」し、熱を必要とする需要家は自分に見合った単価の冷温水を選んで「受信」することにより、熱エネルギーを有効に利用しようというシステムです。

熱導管と並行してして情報ネットワークや電力を融通するスマートグリッドの電線も設置し、熱と電力を各施設や機器間で双方向に融通するエネルギーネットワークを構築します。

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従来の熱利用(上段)とサーマルグリッドによる熱利用(下段)(資料・写真:大阪市立大学)

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情報、電力、熱を双方向で交換するイメージ
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この研究が目指すエネルギーの利用スタイル

これらの熱導管や電線は、大阪市交通局南港ポートタウン線のコスモスクエア駅から中ふ頭駅まで鉄道軌道空間を利用して敷設します。沿線にはインテックス大阪や大阪府咲洲庁舎、複合型商業施設「ATC」、コスモスクエア駅などがあり、これらのグリッドで結ばれます。

これら4つの施設には非常用発電機があり、これまで期限切れなどの理由で廃棄していた燃料で発電し、地域に供給することで8000kW、9000kVAの電力をエネルギーとして地域に供給できます。

また、熱を融通することによるCO2排出量削減効果が年間約8000t、スマートコントローラーによるエネルギー消費量削減効果で5%以上のCO2排出量削減効果を見込んでいます。

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熱導管や電力線を敷設する鉄道軌道空間

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鉄道空間に敷設する電力線と熱導管

また、電力供給には、

 

鉄道の電力線も利用

 

して実証研究を行う予定です。

同じ管路を利用して、熱を有効利用するサーマルグリッドという発想はとても斬新ですね。ぜひ、実験が成功し、今後実用化されることを祈ってます。

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