エイテックが2次元CAD「JDraf」を全面導入
変わらない操作性で保守コストは10分の1に(ジェイドラフ)
2014年10月14日

東京・渋谷区の建設コンサルタント、エイテックは2014年春、ジェイドラフ社の2次元CADソフト「JDraf」を全面的に導入、本社や関東支社の技術者約20人が、道路・河川の構造物や、造成などの設計に活用している。従来は土木業界で普及している3次元版のCADを使っていたが、図面作成の業務にはJDrafがコスト、性能、サポート面で適していると判断し、導入を決めた。果たして使い勝手はどうなのか、エイテックの土木技術者を直撃した。

JDrafを活用するエイテックの土木技術者

JDrafを活用するエイテックの土木技術者

   40本のネットワークライセンスを導入

エイテックは設計・施工管理、交通データ計測・解析、地理空間情報構築を専門とする建設コンサルタントだ。設計部門は橋梁、開削トンネルなどの道路構造物や、造成に伴う擁壁などの構造設計を強みとし、東京外環道や横浜環状北線などの有名構造物も多く手がけている。同社は2014年春、設計に使用するCADソフトとしてジェイドラフ社の2次元CAD「JDraf」を40本導入した。

「それまでは建設業界で普及している3次元CADやその2次元版を使っていましたが、年間保守コストが高いことや、ライセンス管理に手間がかかることが課題でした。日常の設計業務では2次元機能しか使わないので、JDrafへの転換を決めました」とエイテック上席理事の石川清氏は説明する。

エイテックの本社オフィス。約20人の技術者がジェイドラフ社の2次元CAD「JDraf」を活用し、道路や河川などの構造物設計を行っている

エイテックの本社オフィス。約20人の技術者がジェイドラフ社の2次元CAD「JDraf」を活用し、道路や河川などの構造物設計を行っている

JDrafの画面。以前の標準的CADと同じような操作感覚で使えるように配慮されている

JDrafの画面。以前の標準的CADと同じような操作感覚で使えるように配慮されている

「DWG互換の2次元CADソフトは数社から発売されている。数種類のCADソフトを社内で比較検討した結果、性能や価格はもちろん、発売元のジェイドラフ社にはCADに強いスタッフが多く、サポート体制がしっかりしていることなどを評価してJDrafを選びました。役員会でも了解が得られ、全面導入となりました」(石川氏)。

その結果、初期導入費は従来使っていたCADの3分の1以下となり、2年目以降の年間サポート料金も約10分の1になる見込みだ。

「もちろん、CIMで行う設計業務のために、従来の3次元CADソフトも3ライセンスは残してあります。しかし、CADにかかる費用がかなりコストダウンできました」(石川氏)。

   従来のCADと変わらない操作感覚

同社の技術者は早速、JDrafを実務に使い始めた。「メニューの構成などは、従来のCADとほとんど同じ感覚で使えるように配慮されていましたので、スムーズに使うことができました。DWG形式のCADファイルも問題なく開くことができ、図面の再現性もほとんど問題ありません」と関東支社構造保全部技術主査の角祐樹氏は説明する。

JDrafで作成した図面を検証するエイテック関東支社の土木技術者

JDrafで作成した図面を検証するエイテック関東支社の土木技術者

JDrafの導入を機に、同社では毎月1回、CAD活用に関する会議を開催し、JDrafで設計の生産性を高めるための情報交換を行っている。

「他のCADソフトで作成したDWGファイルをうまく表示できないといった問題もまれにあります。こんな場合には、ジェイドラフ社に報告して原因究明とソフトの改善を依頼しています。先日、楕円のオブジェクトが表示されないことがありましたが、調べてみると楕円が1周半回っていることがわかりました。ジェイドラフ社ではJDrafをカスタマイズしてこんなデータでも再現できるようにしてくれました」(角氏)。

ソフトの根幹的な部分で改造が必要な場合には、JDrafのCADエンジンを開発しているドイツ・Graebert社とジェイドラフ社が連携し、改良を進める。

JDrafのDWG入出力機能は、「Open Design Alliance」(旧OpenDWG Alliance)という国際組織で継続的に開発が行われている。DWG形式は毎年、少しずつバージョンアップされるため、JDrafのDWG入出力機能は最新版から1年遅れて追いかける形になる。

「しかし、建設業界では数バージョン前のCADを使っている企業が多いため、設計業では旧バージョンのDWG形式を指定して業務を行うことがほとんどです。そのためJDrafでも実用上の問題は感じません」と関東支社構造保全部の技師、富樫一秀氏は言う。

JDrafで描いた道路の図面。細い線や文字も従来のCADと同様に再現できる

JDrafで描いた道路の図面。細い線や文字も従来のCADと同様に再現できる

   出張に便利な“切り離せる”ネットワークライセンス

エイテックでは、JDrafのネットワークライセンス版を導入し、インターネット上のサーバーで管理している。そのため東北支店や関西、中国の各支社でもライセンスを有効利用できる。

「出張先などではインターネットに接続しにくい場合もあります。そんなときは、1本だけネットワークライセンスから切り離し、スタンドアロン版と同様に使うこともできます。誰がライセンスを持ち出しているのかもわかるので、面倒なライセンス管理から解放されます」と関東支社構造保全部の技師、前田政俊氏は語る。

エイテックは今後、スタッフの増員があれば、JDrafのライセンス数を柔軟に増やしていくという。何かあったときにベテランCAD技術者がすぐに対応してくれるジェイドラフ社ならではの安心感もある。JDrafをさらに日本の建設業界のニーズに合ったものにするため、ジェイドラフ社はエイテックの技術者の声に耳を傾け、今後も改善を続けていく方針だ。

JDrafを活用するエイテックの技術者たち。左から角祐樹氏、石川清氏、富樫一秀氏、前田政俊氏

JDrafを活用するエイテックの技術者たち。左から角祐樹氏、石川清氏、富樫一秀氏、前田政俊氏

 

20141014-JD07
【問い合わせ】

株式会社ジェイドラフ
〒160-0008 東京都新宿区三栄町9番地18号
TEL:03-5312-8250, FAX:03-5312-8251
ホームページ http://www.jdraf.com/

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