マシンガイダンスシステム活用事例(3D-MG GNSSショベル 3Dxi)
3次元設計データを利用して設計から施工・検査までを 一元管理
大分県中津市の株式会社川原建設様は、コンクリートで自然岩同様の景観を創り上げる現場打ち擬岩構築工法「岩工房」でNETISや特許を取得するな ど、独創性に富んだ建設会社である。同社は、2015年に大分県初となる情報化施工機器として3次元マシンガイダンスシステム 3D-MG GNSSショベル 3Dxiを導入いただいた。
景観保護のため完成予想模型から作成
「以前、レンタルでしたが水中の掘削整形に3Dxiを使用した経験があり、このシステムの利便性は実感していました」。こうお話いただくのは同社工 務第一課課長の酒井清志(さかいきよし)様。「今回の現場は、複雑な形状を、高い施工精度で仕上げる必要がありました。そこで、3次元設計データを直接施 工に使用できる3Dxiの導入を決めたのです」。 今回3Dxiを活用いただいた現場は、耶馬・日田英彦山国定公園内に位置する河川の護岸・掘削工 事。奇岩が醸し出す情景を損なわないように施工することがテーマであった。そこで同社は、設計データの作成にあたり、ユニークな手法を採用した。完成予想 の模型から制作したのである。 同社工務第二課の長友悠(ながともはるか)様によると、「構造物は、あたかも自然が創り出したかのような形状に仕上 げなくてはなりません。また、見た目だけでなく生態系への配慮も必要でした。そのために、地形や周辺環境、既存構造物だけでなく、自然条件や岩の形状・色 合い・質感など、多岐に渡る綿密な現地調査を行いました。そしてその結果から、PC上で大まかな3次元モデルを作成し、さらに細部を実際の模型として作り 込んでいったのです」。自然を再現した不規則な形状、はたして、どうやって設計データ化したのだろうか。「次に模型をレーザースキャナーでスキャニング し、取得した3D点群データから、3D設計データを作成したのです」。
コスト・作業効率・施工精度・安全性 これら全ての向上を実感!
3Dxiの導入効果について、同社工務第二課主任の元重直彦(もとしげなおひこ)様に伺った。「まず、重機での施工前のコストと時間が大幅に削減さ れました。3次元設計データを直接施工に使えるので、複雑な形状にもかかわらず、少ない丁張設置で済みました。従来工法と比較すると、着工前測量と丁張り 設置に掛かるコストや時間は半減していると思います」。ショベルでの作業効率や施工精度は、大幅に向上したとのこと。同社工務第三課の田元哲也(たもとて つや)様から「3Dxiは、運転席のモニターで、バケットの位置や高さと設計データを、リアルタイムに把握できます。施工途中に行う技術員の確認の手間が 省けますから、重機の稼動も効率的になりました。加えて、施工精度も向上しています」。安全性の向上についても強く実感されているとのこと。お二方は続け る。「ほとんど丁張りが必要なかったことや、測量作業が省略できたことで、稼働中の重機の周囲に作業員がいることがなくなりました。また、オペレーターが 重機から降りて確認する必要がなくなったこともあり、事故の起こりうる確率は格段に下がっています」。
3次元設計データをフル活用 「i-Construction」を実現
また3次元設計データは、GNSS測量機を使って施工の管理にまで利用した。GNSS測量は、同社にとって今回の現場で初となることであったが、3次元の位置情報を簡単に取得できることで、施工管理がしやすかったという。 同社は3Dxiの導入で、設計から施工、管理までを3次元設計データで一元管理する、まさに国土交通省が推進している「i-Construction」を実現し、作業効率を飛躍的に向上させたのである。 最後に酒井課長から、今後についてお話いただいた。「我々はICT施工へとスタートを切りました。これからも、従来のやり方にとらわれることなく、どんどん新しいチャレンジをしていきたいと考えています。例えば、UAVを活用した土量管理なども試してみたいですね」。
ユーザー名:株式会社川原建設
使用機種:3D-MG GNSSショベル 3Dxi 2周波GNSS受信機 HiPerV データコレクタ用アプリケーション 監督さん.V+GNSSオプション
使用技術(NETIS登録技術): KT-990421-V 3次元マシンコントロールシステム 3D-MC KT-060150-VE 3次元設計データを用いた計測及び誘導システム
取材協力:株式会社水上洋行 URL:http://www.mizukami-abroad.co.jp/
詳しくは、トプコンのウェブサイトで。