風車107基、6カ所の風力発電所建設をリモート管理
発注者、ユーラスエナジーHDのeYACHO活用術(MetaMoJi)
2021年5月11日

北海道の北部で、107基の風力発電機と送電網を建設するビッグプロジェクトが進んでいる。発注者、ユーラスエナジーホールディングスのプロジェクト管理者はオフィスにいながら、毎日、iPadやパソコンを開くだけで、6カ所に分かれた現場の状況をリアルタイムに把握できるようにした。そのシステムこそ、MetaMoJiのデジタル野帳「eYACHO」なのだ。

パソコン版「eYACHO」の画面に表示された6現場の状況

  6カ所の現場状況をリアルタイムに把握

ユーラスエナジーホールディングス 佐野 和文 氏

「毎日、iPadやパソコンでeYACHOの画面を開くだけで、ここ札幌から200キロメートル以上離れた6現場の天気や工事進捗状況から、検査依頼の有無、そして土・日の稼働予定までがひと目で分かるので、とても便利です」と語るのは、世界各地で風力発電と太陽光発電事業を手がける株式会社ユーラスエナジーホールディングス(本社:東京都港区、以下「ユーラスエナジー」)の佐野和文氏だ。

同社は現在、北海道北部の稚内・豊富町・幌延町に、6カ所の風力発電所を建設中で、風力発電機は合計107基にも及ぶ。タワーは地上から風車の中心までが85m、風車の直径は最大130mにもおよび、1基当たりの出力は4200kW~4300kW。合計出力は457.3MWという巨大なものだ。

建設中の風力発電の仕様。大きいものでは最高到達点は地上150mにもなる

6カ所の発電所の規模と位置図

「壮大なプロジェクトの現場管理に選んだのは、MetaMoJiが開発・販売するデジタル野帳システム『eYACHO』。eYACHOの中に現場連絡事項という帳票を作って6カ所の現場と各現場状況を共有。「それぞれの現場を担当する受注者が毎日、情報を書き込んでくれます。」と、佐野氏は説明する。

eYACHOと言えば、これまでの紙の野帳に代わってiPad上に手書きのメモや図、施工管理結果などを書き込むことで、工事現場内でのペーパーレス化や書類作成の自動化を図るツールとして使われてきた。

そのツールが、広域に散らばる複数の現場状況を把握するという、発注者の業務にも使われているとは驚きだ。

現場の状況をiPad版の「eYACHO」に書き込む施工管理者ら

  eYACHOを発注者のプロジェクト管理で活用

ユーラスエナジーとeYACHOの出会いは各発電所の設計段階だった2019年にさかのぼる。

「2019年6月ごろ風力発電所の設計業務の受注者のうち、既にeYACHOを導入していた受注者から、eYACHOのことを紹介されました。さらに2019年の9月ごろ、MetaMoJiが定期的に開催しているeYACHO活用セミナーに参加して話を聞いて、発注者としてのプロジェクト管理に使えそうだと思いました」と佐野氏は振り返る。

主な用途は、日報や立会検査書類など、これまで紙やスキャナーで画像化したファイルでやりとりしていた書類のeYACHO版を作り、クラウド上で受発注者が共有するという使い方だ。

「複数現場との連携も、そんなに難しいことはやっていません。eYACHO用のクラウドサーバーに現場ごとのフォルダーを作り、本棚のようにeYACHO版の書類を入れておくだけです。あとはユーザーごとにフォルダーへのアクセス制限を設定しておけば大丈夫です」(佐野氏)

ある現場用に設けたフォルダー。中にはチェックシートや工事日報などを入れておくフォルダーなどがある

eYACHO版の書類テンプレートは、従来の紙の書類をスキャナーで画像化してからeYACHO用に加工することもできる。そのため、ある現場だけ使われている紙の書類も、手軽にeYACHOで扱えるようになるのだ。

eYACHO用に作られた様々な電子版書類。6つの現場で統一した書式を使っている

  書類作成も迅速に、「移動のムダ」も削減

これまでのプロジェクト管理は、品質管理や安全管理関連の書類や工事写真などをPCや表計算ソフト、写真管理ソフトなど複数のソフトを使って処理し、チェックシートや報告書にまとめていた。

写真データをカメラからパソコンに移動したり、紙の野帳に書いたデータを表計算ソフトに転記したりと、いろいろなハード・ソフトを使って作業するので、時間がかかっていた。

「その点、eYACHOで書類のテンプレートを作っておくと、文書や数値、写真、そして手書きのメモなどのすべてを、iPadとeYACHOだけで処理できます。報告書などの作成はより簡単かつスピーディーになり、現場での作業時に行えるので、夕方、事務所に戻ってからの作業も少なくなったと工事の請負会社の方々からも聞いています。」と佐野氏は言う。

写真や文書、数値などをiPadとeYACHOだけで扱えるので、現場作業の合間にどんどん書類を作成できる

出来形管理帳票の遠隔確認も可能

「eYACHOを導入するきっかけは、拠点とする札幌、稚内と点在する6つの現場の一元管管理を迫られたことでした。当社の拠点がある札幌からは300km以上、稚内からも40km程度あります。eYACHOならリアルタイムに現場の状況を把握でき、何かトラブルなどが発生した場合でも迅速に手を打てると思いました」(佐野氏)

「eYACHOのおかげで、『現場野帳からの転記による書類作成時間や手間』、『書類のやり取りにかかる時間、手間』が大幅に減りました。また、発電所ごとに業者が異なり、これらの書類は各社の書式がバラバラでしたが、eYACHO用に書式を作ったことで、6つの現場からの報告をすべて同じ書式で見られるようになり、わかりやすくなりました」と佐野氏は思わぬ効果についても語った。

  コロナ禍でのテレワークや遠隔臨場も

ユーラスエナジーが6つの現場管理にeYACHO導入を構想したのは前述の通り2年近く前になるが、ここ1年間は新型コロナウイルスの感染予防策としても有効に機能している。

「私たち自身、作業員の感染防止、ならびに工事地域へのウイルス持ち込みリスクの低減のため、現場への行き来は最小限にとどめる必要があります。今回、eYACHOによって可能になった現場情報や帳票などのリアルタイム共有のおかげで、現場管理業務の一部(出来形チェックや進捗状況確認等)をテレワークで実施することも可能です」(佐野氏)。

eYACHOのクラウドサーバーに現場の情報を集約し、共有することで、現場管理業務のテレワーク化も簡単だ

eYACHOのオンライン会議システムを使えば、iPadを持った技術者が鉄筋の配筋状態や法面の掘削状況などを現場から“生中継”しながら発注者の指示に従って立会検査を受ける「遠隔臨場」も可能になる。

「移動のムダ」削減による現場業務の生産性向上と、3密防止によるコロナ禍対策を両立できるeYACHOは、今後、発注者の現場管理ツールとしても活用が広がっていきそうだ。

 【問い合わせ】
 株式会社 MetaMoJi
〒106-0032 東京都港区六本木1-7-27 全特六本木ビル E4階
TEL:03-5114-2525
WEB: http://product.metamoji.com/gemba/eyacho/
Facebookページ:https://www.facebook.com/metamojieyacho/
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