測量機器とBIMを連携させた「建築DX時代」の施工法を実習! 見て触って理解する「BuildTech」を開設(トプコン)
2022年1月5日

3Dレーザースキャナーやトータルステーションなどの3次元測量機器と、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を連携させた施工管理法を実習形式で学べるトプコン建築施工ソリューションセンター「BuildTech(ビルドテック)」が、東京・板橋区のトプコン本社内にオープンした。「建築DX時代」の実践的な施工管理ノウハウを学べる日本でも初めての施設だ。

トプコン本社構内にオープンした「BuildTech」。建屋の一角に屋外現場(手前側)と屋内現場(奥側)が再現され、測量機器とBIMを連携させた様々な施工管理法を実習できる

   最先端の測量機器とBIMソフトを連携

東京・板橋区にあるトプコン本社の一角に2021年9月にオープンしたトプコン建築施工ソリューションセンター「BuildTech」は、建築DX(デジタル・トランスフォーメーション)時代を支える最新の測量機器やBIMソフトがそろっている。

例えば、最新の3次元測量機器には、トプコンの墨出し用測量器「楽位置(らくいち)」や3Dレーザースキャナー「GLS-2200」、レーザースキャナー搭載型トータルステーション「GTL-1000」がある。

また、BIM関連のソフトとしては、3D点群処理ソフト「MAGNET Collage」、点群からBIMモデルを作成する「EdgeWise」や点群で品質管理を行う「Verity」「Rithm」、そしてオートデスクのBIMソフト「Revit」、「Navisworks」、測量機器と連携する、福井コンピュータアーキテクトの「GLOOBE」などだ。

BuildTechでの実習に使われる最先端の3D測量機器

測量機器で活用するデータは、BIMソフト「Revit」などから取り出す

これまで測量機器とBIMソフトのユーザーは別々のことが多かったが、BIMモデルを使って現場での作業や施工管理を行う「施工BIM」の普及と共に、測量とBIMを連携させた活用が求められるようになってきた。

そのニーズに応えて、建築DX時代の実習施設として日本で初めて開設されたのが、BuildTechなのだ。

   ハンズオン形式で建築DXを学ぶ

トプコン本社の構内の一角には、2階建てのビルがすっぽり入る建物がある。その半分は屋外、半分は屋内の現場を模している。

このスペースを使って、建物が現場で施工される手順に従って、測量機器やBIMソフトの使い方を実習できるのだ。

例えば、現場での測量の起点となる基準点の設置から始まり、杭基礎施工時の芯出しや杭施工後の芯ずれの計測、土間コンクリートの平たん性確認や耐火被覆の厚さ確認まで、合計14種類の施工シーンを想定した体験ができるのだ。

代表的な作業と実習シーンを紹介しよう。

茶色の床部分が「屋外」、コンクリート床部分が「屋内」を模している

天井部分には施工中の配管やスリーブなどをリアルに再現

【実習シーン1】 「楽位置」による1人墨出し

芯出しや墨出しなどには、墨出し用測量器「楽位置」を使って1人で作業を行う。現場には基準点や基準線、既知点が用意されており、実習はこれらを使って「楽位置」の設置位置を割り出すところから始まる。

その後、プリズムやスマートフォンを持って、「楽位置」から送られてくるナビ情報を元に移動しながら、最終的にはミリ精度で墨出しを行うのだ。

墨出し用測量器「楽位置」を使用し、1人で墨出しを行う作業

手元のスマートフォンに表示されるナビゲーション情報を見ながら墨出し位置まで移動する

墨出し位置に近づくと、ミリ単位の表示画面に切り替わる

BIMモデルのデータを現場に落とし込む墨出しの瞬間

【実習シーン2】 杭の芯出しと杭芯ずれの計測

杭の芯出しは、墨出しと同じ要領で、「楽位置」の誘導によって杭を打設する中心位置に印を付ける。その時の座標値は、「楽位置」側でも記録しておく。

その後、杭を打設したことをイメージして、杭頭を模した円盤をその上に置く。円盤の中心座標を「楽位置」で計測し、墨出し時の座標値と比較することで、杭芯ずれの量をXY座標で計測できる。

「楽位置」の誘導で杭芯位置まで移動する

杭芯の位置を現場に落とし込み、「楽位置」でその座標値を記録しておく

杭を打設したイメージで円盤を杭芯付近に置く

円盤の中心を杭芯に見立てて、その位置を「楽位置」で計測。打設前の芯出し位置の座標と比較することで杭芯ずれを計測できる

【実習シーン3】 床の平たん性解析

床や梁、柱、設備などが取り付けられた内部ゾーンのところどころには、一見、わかりにくいがわざと“施工不良”の部分を設けた部分がある。

黒い目地で囲まれたコンクリート床部分や、内壁に吹き付けられた耐火被覆などだ。これらは微妙に厚さの不均一や凹凸ができるように仕上げられている。

黒い目地内のコンクリート床(左)や壁面に吹き付けられた耐火被覆(右)は微妙に厚さの不均一や凹凸が付けられている

目視ではなかなかわからないこれらの施工不良を発見するのが、3Dレーザースキャナーだ。GLS-2200やGTL-1000で床面や壁面を3D点群計測し、ソフトに読み込んで解析することで、微妙な凹凸を発見することができる。

3Dレーザースキャナー付きトータルステーション「GTL-1000」で内部ゾーンの床や壁面を3D点群計測する

Magnet Collageで3D点群データをモデル化し、Navisworksに読み込んで凹凸を見える化した例。左側が黒い目地で囲まれた部分で凹凸がはっきりとわかる

壁面の点群データをソフトに読み込んで、断熱材の厚さなどを見える化した例

   14種類のデモンストレーション実習が可能に

上記の実習シーンは、ごく一部だ。現在は外部ゾーン、内部ゾーンそれぞれ7種類ずつ、合計14種類の実習体験が行える。今後も拡大予定だ。

外部ゾーン、内部ゾーン合わせて14種類の実習体験が行える

BuildTechでの実習の運営に携わるトプコンスマートインフラ営業部 シニアエキスパートの今泉潤氏は「見て、触って、理解するのがこの施設のコンセプトです」と説明する。

「座学で学ぶだけでなく、実際に3D測量機器やBIMソフトを触って、データ交換を行いながら、現場での活用方法を身に着けてもらいます」(今泉氏)という。

BuildTechでの実習の運営に携わるトプコンスマートインフラ営業部 シニアエキスパートの今泉潤氏

建築DX時代には実物の現場をバーチャル化した「デジタルツイン」(デジタルの双子)による設計や施工がますます広がり、手戻り防止の「フロントローディング」や「テレワーク」によって生産性向上が図られる方向にある。

その時、実際の現場とデジタルツインとしてのBIMモデルを双方向でつなぐのは、トプコンの測量機器の役目だ。BIMと測量機器の連携を教える「BuildTech」は、建築DX時代に現場で活躍するデジタル人材を育てる学びの場として、ますます重要な拠点になりそうだ。

 【問い合わせ】
株式会社トプコン
スマートインフラ事業本部
スマートインフラ営業部 バーティカル・コンストラクション事業推進課

TEL: 03-3558-2527
ウェブサイト: https://www.topcon.co.jp/topics/BuildTech.html
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