東亜建設工業が高松港工事でデジタルツイン施工管理! KOLC+で3D配筋図、コンクリ温度、AR締固めをクラウド統合(コルク)
2024年5月20日

香川県高松市と京阪神をつなぐ「ジャンボフェリー」が発着する高松港のふ頭で、船舶の大型化に対応するため、新岸壁を築造する工事が行われている。施工を担当する東亜建設工業は、この現場の施工管理にコルクのBIM/CIM共有クラウド「KOLC+(コルクプラス)」を導入した。コンクリート温度や水位などの計測データを一元化した「デジタルツイン遠隔監視」を構築し、配筋図や施工ステップを3D化して現場で活用。岸壁工事経験の浅い若手技術者の施工管理や発注者、協力会社などの工事関係者との情報共有を大幅に効率化している。

現場内に設置されたコンクリート温度計やクラウドカメラなどのデータは、「KOLC+」のデジタルツイン上に計測位置とともに連携され、リアルタイムに確認できる

現場内に設置されたコンクリート温度計やクラウドカメラなどのデータは、「KOLC+」のデジタルツイン上に計測位置とともに連携され、リアルタイムに確認できる

 15枚の配筋図を1つのBIM/CIMにまとめクラウド共有

この工事では、既設岸壁に隣接したエリアに水深7.5mの新しい岸壁を築造する。海中を鋼矢板で締め切り、あらかじめ打設された鋼管杭の上に約1.5m厚の鉄筋コンクリートスラブ構造の上部工を新設するものだ。現場は、毎日何度も発着するフェリーと駐車場に挟まれて陸からアクセスできる場所は、2車線道路ほどの敷地しかない。

新設岸壁の施工現場。左手の陸地とフェリーの間に挟まれている(上)。現場では既設鋼管杭の上に厚さ約1.5mの鉄筋コンクリートスラブなどを施工する(下)

新設岸壁の施工現場。左手の陸地とフェリーの間に挟まれている(上)。現場では既設鋼管杭の上に厚さ約1.5mの鉄筋コンクリートスラブなどを施工する(下)

通常の鉄筋に交じって、青色のエポキシ樹脂塗装鉄筋も使われている

通常の鉄筋に交じって、青色のエポキシ樹脂塗装鉄筋も使われている

厚さ約1.5mの鉄筋コンクリートスラブには、様々な径の鉄筋が密に配置され、岸壁に近い部分には防錆性能の優れたエポキシ樹脂塗装鉄筋も使われている。

「15枚に分かれた配筋図を見比べながら現場全体の配筋を把握するのは、慣れない工種で経験の浅い技術者には大変な手間と労力が必要でした。しかし、今回の現場では配筋図をすべてBIM/CIM化して『KOLC+』で共有したことで、iPadを使って設計と現況をスムーズに見比べることができ、複数の図面にまたがる鉄筋も間違う心配がありませんでした。もし、KOLC+がなければ、施工管理に要する時間は何倍もかかっていたと思います」と、現場代理人の山崎豪大氏(入社7年目)は語る。

15枚の配筋図を1つに組み合わせて作成したスラブ配筋のBIM/CIMモデル。径のサイズや種類に応じて色分けし、現場でもひと目で確認できるようにした

15枚の配筋図を1つに組み合わせて作成したスラブ配筋のBIM/CIMモデル。径のサイズや種類に応じて色分けし、現場でもひと目で確認できるようにした

「鉄筋モデルがかなりの密度になるので、iPadでプレビューできるか心配でしたが、通常のiPad(第9世代)で全く問題なく閲覧できたので大変重宝しました」と、工事担当の二宮雄哉氏(同3年目)は振り返る。

iPadでKOLC+を見ながら現地確認する様子(左)と、その画面(右)

iPadでKOLC+を見ながら現地確認する様子(左)と、その画面(右)

 デジタルツイン上でコンクリート打設の問題点を事前に解決

長年の現場経験がない場合、2D図面だと縮尺から実物の大きさや複数の図面を重ね合わせた状況を理解しにくい。若手技術者で初めての現場となれば、いざ作業本番というときに、思わぬところで手戻りが生じることもある。

例えば、スラブのコンクリートを打設するとき、コンクリートポンプ車を現場脇に止めて、海面上数メートルを橋渡しするようにアームを伸ばし、足場や既設鋼管杭を避ける必要がある。その施工状況をKOLC+上で検討したところ、ポンプ車のアームやホースが届かず、コンクリート配管を設置する必要があることがわかった。

「どの部分をコンクリート配管でカバーする必要があるのかが詳細にわかったので、最小限のコンクリ―ト配管の設置で済みました」と、大阪支店技術部DX推進課の伊藤広稀氏(同7年目)は振り返る。

コンクリートポンプ車のアームが届く範囲をシミュレーションで把握

コンクリートポンプ車のアームが届く範囲をシミュレーションで把握

また、打設場所には既設鋼管杭、杭同士をつなぐ仮設タイブル、壁部の鉛直鉄筋など、多くの支障物があるため、打設順序、配管の切り回しを詳細に計画する必要があった。

「3Dモデルで検討することで、タイブルと鉄筋の高さ間隔は狭いがコンクリート配管の設置は可能であること、コンクリート配管の先端に取り付けるゴム製で柔らかいデリバリーホースの必要な長さなど、事前に検証できました」(伊藤氏)。

コンクリート打設時を想定したステップ図。コンクリート配管(黒色の管)がタイブルの下に設置可能なことを確認。コンクリート配管(青色の管)はKOLC+上で移動可能な「モデル配置ツール」を使用し、現場で操作しながら詳細な施工ステップを確認した

コンクリート打設時を想定したステップ図。コンクリート配管(黒色の管)がタイブルの下に設置可能なことを確認。コンクリート配管(青色の管)はKOLC+上で移動可能な「モデル配置ツール」を使用し、現場で操作しながら詳細な施工ステップを確認した

 様々な計測サービスを連携して「デジタルツイン遠隔監視」を構築

この現場では、フェリー接近や作業状況を確認するためにSafieのクラウドカメラを設置しているほか、気温計や風向風速計、傾斜計、水位計、そしてMomo社が開発したセパレーター内蔵型の温度計で養生中のコンクリート内部の温度変化も計測している。

これらのデータは、KOLC+の外部サービス連携機能によってデジタルツイン上に集約しダッシュボード化している。

高松港工事で構築した「デジタルツイン遠隔監視」の構成イメージ

高松港工事で構築した「デジタルツイン遠隔監視」の構成イメージ

「たくさんのデジタルツールを導入していくと、それぞれのサービスにログインして計測データを確認することになり、管理がどんどん煩雑になり、現場の負担が増えます。今回、KOLC+の外部サービス連携機能で、デジタルツイン上に機器位置も含めて1画面にデータを集約したことで、現場では『KOLC+に行けば全部見られるよ』という状態を構築できました。計測データの一元化は円滑な施工管理をしていく上で大きなメリットがあります」と大阪支店技術部 DX推進課長兼技術課長の髙橋晋一郎氏は説明する。

さらに「コンクリートの品質管理アイテムでKOLC+と連携可能なシステムがなかったのですが、Momo社がPコンPaletteを短期間でKOLC+にシステム連携していただき現場導入しました。PコンPaletteはPコン型のセンサーなので残置物なく型枠内の温度が計測できるのですが、今回は1.5mセンサーを伸ばし内部と表面の両方を計測できるようにした上で塩害対策用Pコンの形状に筐体をカスタマイズし、養生用の湿度センサーも追加して使用しています。急な依頼にも関わらず迅速にご対応していただき、大変感謝しています」と髙橋氏は語る。

型枠に設置するPコンに内蔵されたWi-Fi付温度センサー「PコンPalette」と養生マット下に設置する湿度計でコンクリートの温度や湿度をリアルタイム計測し、KOLC+と連携

型枠に設置するPコンに内蔵されたWi-Fi付温度センサー「PコンPalette」と養生マット下に設置する湿度計でコンクリートの温度や湿度をリアルタイム計測し、KOLC+と連携

 現場端末の管理画面を「Safie Connect」でデジタルツインに連携

今回の現場では、コンクリート打設時にバイブレーターによる締固め状況をAR(拡張現実)技術によってリアルタイムに確認しながら作業できる管理システムを導入した。

「打設面積が広く、鋼管杭、ツバプレート、タイブルといった障害物がある底版コンクリートを確実に締め固める必要がありました。そのため、作業員が手元の端末で締固めに漏れがないか確認しながら作業ができる『AR締固め管理システム』を導入しました。ただ、外部通信機能を持たないシステムであり、現場端末の管理画面を直接クラウドに転送できなかったため、『Safie Connect』を利用してKOLC+のデジタルツインに連携させました」と髙橋氏は説明する。

「Safie Connect」は、PC画面やデジタルデバイスの画面をSafieクラウドに転送して共有できるサービスだ。KOLC+はSafieクラウドとAPI連携しているため、Safie Connectの映像も問題なく連携できた。

「KOLC+に最近実装された『2分割表示』を利用すれば、このような大きい画面は2分割で、数値だけの計測データは小さいバルーン表示で使い分ければ、現場ダッシュボードとして活用の幅が広がりそうです」と伊藤氏は語る。

AR締固め管理システムの管理画面(Windowsアプリ)をSafie Connectを介してKOLC+に連携した

AR締固め管理システムの管理画面(Windowsアプリ)をSafie Connectを介してKOLC+に連携した

バイブレーターによるコンクリート締固め時間と位置を可視化するイクシスの「AR締固め管理システム」(左)と、HDMI出力をクラウドに転送できる「Safie Connect」の通信端末(右)

バイブレーターによるコンクリート締固め時間と位置を可視化するイクシスの「AR締固め管理システム」(左)と、HDMI出力をクラウドに転送できる「Safie Connect」の通信端末(右)

発注者の国土交通省 四国地方整備局 高松港湾・空港整備事務所でも、必要に応じてKOLC+のデジタルツインを閲覧できるようになっている。

「計測データの一元化は発注者にも大変好評です。今までは荒天時の現場状況や温度、潮位などはわざわざ現場に出向かなければ確認できませんでしたが、デジタルツイン上に一元化して24時間遠隔監視できるようになり、現場管理の省力化につながっていると思います。特に外部と水位差が3.5mほどある仮締め切り内の海水を数台のポンプで抜いていくとき、水位の変動を把握するのにとても役立ちました」と、監理技術者(兼作業所長)の大塚真太郎氏は説明する。

遠隔で計測データとデジタルツインを確認する大塚氏

遠隔で計測データとデジタルツインを確認する大塚氏

 BIM/CIMモデル作成は「タスク管理ツール」を活用

これだけのBIM/CIMモデルをどのように用意したのだろうか。この工事は国土交通省から「BIM/CIM活用工事」の指定を受けていたため、設計者や前年度工事の施工者が作成したBIM/CIMモデルを引き継いだ。そのデータをもとに、支店で今回の工事で必要なモデル(鉄筋や通路など)や施工ステップを作成したという。

「現場事務所ではBIM/CIMモデルを作らず、支店のBIM/CIM担当者が作成してKOLC+で共有する運用にしました。その際、モデル作成依頼をメールや電話でやり取りすると作業依頼や進捗確認が非常に煩雑になるため、『direct』というチャットツールに搭載されているタスク管理機能を使って全員が依頼状況や作業進捗を確認できる仕組みを導入しました」と伊藤氏は説明する。

その効果について現場代理人の山崎氏は「宛先を気にせず追加できるので作成依頼がとても気軽になりました。カンバン方式で作業進捗を一目で確認できるのも非常に分かりやすいです」と語る。

高松港工事でのBIM/CIMモデル作成フローと現場活用例

高松港工事でのBIM/CIMモデル作成フローと現場活用例

現場事務所でBIM/CIMモデルを作っていると大変な時間が取られてしまい、本来の施工管理業務にも影響してしまう。そこで、モデルの作成は支店で行い、そのデータを現場関係者全員で活用し、施工管理業務の時短や生産性向上を実現している。

「モデルは支店で作ってもらいますが、現場事務所でもKOLC+のモデル配置ツールを使って作業員や重機モデルの位置を変えながら、施工計画の手順や問題点の洗い出し、安全確認などの検討を行っています」と二宮氏は説明する。

現場事務所ではKOLC+の「モデル配置ツール」で作業員や重機モデルの位置を変えながら施工計画の検討を行っている

現場事務所ではKOLC+の「モデル配置ツール」で作業員や重機モデルの位置を変えながら施工計画の検討を行っている

施工ステップはKOLC+のビュー機能(画面左側)に保存してワンクリックで表示できるように工夫した。施工が進んだら初期表示ビューを更新することでデジタルツインと現場状況を一致させている

施工ステップはKOLC+のビュー機能(画面左側)に保存してワンクリックで表示できるように工夫した。施工が進んだら初期表示ビューを更新することでデジタルツインと現場状況を一致させている

KOLC+のウォークスルー機能を使って現場での作業性をVR風に確認している

KOLC+のウォークスルー機能を使って現場での作業性をVR風に確認している

BIM/CIMモデルで作業内容を説明する工事担当の吉田遥夏氏(同3年目)

BIM/CIMモデルで作業内容を説明する工事担当の吉田遥夏氏(同3年目)

今後、現場ではスラブの施工後も、護岸上部のプレキャストブロックの設置や壁部のコンクリート打設、裏込め材の投入、アスファルト舗装などが続く。

大塚氏は「2D図面では取り合い部の詳細な位置は把握しにくく、3Dで確認する方が早いです。BIM/CIMの利用価値はとても上がってきたと感じています」と語った。

現場情報がいつでもどこでもワンストップでわかるKOLC+のデジタルツインは、今後も工事関係者の業務を支えていくとともに、工事終了後は施工過程を3Dで記録した貴重な技術資料としても活用されそうだ。

東亜建設工業の工事関係者たち。左から工事担当の二宮雄哉氏、現場代理人の山崎豪大氏、監理技術者の大塚真太郎氏、DX推進課長の髙橋晋一郎氏、DX推進課の伊藤広稀氏

東亜建設工業の工事関係者たち。左から工事担当の二宮雄哉氏、現場代理人の山崎豪大氏、監理技術者の大塚真太郎氏、DX推進課長の髙橋晋一郎氏、DX推進課の伊藤広稀氏

 【問い合わせ】

株式会社コルク

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-11-1 メトロポリタンプラザビル14階
ウェブサイト https://kolcx.com/
問い合わせ https://kolcx.com/support/contact/

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