ArchiCAD BIM事例レポート 吉田建築設計・計画事務所
2014年7月28日

吉田建築設計・計画事務所

小さい事務所ほど3次元の導入効果は大きい 実施設計からチャレンジした初めてのBIM

盛岡市の吉田建築設計・計画事務所(以下 吉田建築設計)は、一級建築士の吉田宏民氏が主宰する設計事務所である。設立こそ2009年と新しいが、代表の吉田氏は建築設計者として東京・盛岡で25年余のキャリアを持つベテラン建築家だ。独立前は2次元CADユーザだった吉田氏は、事務所設立を機にArchiCADを導入し、本格的な3次元設計への展開を開始した。設立5年目となる現在では、すでに基本計画から実施設計に至るBIMを実践しているという。その背景と狙いについて、吉田氏にうかがった。

自分で建物を施工する感覚に近い3次元設計

吉田宏民 氏

有限会社 吉田建築設計・計画事務所 取締役所長 吉田宏民 氏

一般にコンピュータ機器に慣れた若い世代に比べると、キャリア豊富な設計者ほど3次元やBIMの導入に慎重な傾向があるようだ。当然といえば当然だろう。長年使い慣れた2次元CADや手描きを捨て、忙しい仕事の合間を縫って新しい世界を学ぶとなれば、誰でもハードルを意識せずにはいられない。しかし中には、使ったこともなかった3次元CADを主力ツールに選び、思いきって実務に投入していくベテラン設計者もいる。吉田建築設計の代表、吉田宏民氏もその1人である。

「3次元CADを意識したのは、5年前に独立した時のことです。新事務所にCADを導入する必要があり、“今どんなソフトがあるのか?”と興味を持ったのがきっかけでした。BIMもその時知ったんです」。それまで吉田氏は、勤務先に導入されたある汎用CADを6~7年ほど使い続けていた。当然、新事務所にも同じCADを、というのが現実的な選択肢だろう。実はその汎用CADにも疑似的な3次元機能が付いていたが、吉田氏自身はまったく使っていなかった。当時、若手の同僚がその3D機能で作図しているのを見て「ハードルが高い」と感じ、手を出せなかったのである。

「だから3Dについては“こんなのもあるのか”という興味本位でした。もし使えれば儲け物くらいの気持で、BIM対応の2製品の体験版をダウンロードしたんです。その1つがArchiCADでした」。しかし、この体験版ArchiCADが、吉田氏の3次元CADに対するイメージを一変させる。

「こんなに簡単にできるのか!と、とにかく驚きました。他社CADとはいえ以前はあんなにシビアで煩雑に見えた3D入力が、すごく簡単に、良い意味で曖昧に進められるんです。何というか、本当に自分で建物を施工している感覚に近いものがあったんですね。実際、ガイドに沿って進めていったら、本当にすぐバーチャル建築ができてしまって、“これは使える!”と思ったのです」。

比較した他社の体験版と異なり、ArchiCADのそれが30日間は保存や出力が自由だったことも大きかった、と吉田氏は笑う。事務所を開設したばかりで時間に余裕があった吉田氏は、試用版をじっくり試し、さらにタイミングよく仙台で開催されたグラフィソフト主催のユーザセミナーにも参加してパワーユーザの話を聞き、デモンストレーションを見た上で導入を決定。そして、受注した物件の実施設計段階から、早くもその本格運用を開始したのである。

クリニック全景パース

クリニック全景パース

クリニックの内観写真(受付・待合室)
クリニックの内観パース(受付・待合室)

続きは、グラフィソフトジャパンのウェブサイトで。

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