ArchiCAD BIM事例レポート 株式会社ixrea
2015年5月18日

ARCHICADで作成したパース(住宅外観)                 ARCHICADで作成したパース(住宅外観)

建築設計の全てで生産性とクオリティを向上 ARCHICAD を核に「勝つため」のBIM 設計を

鹿児島市に本社を置くixrea は、新進気鋭の建築士 吉田浩司氏が主宰する一級建築士事務所である。2013年に設立された若いアトリエだが、所長以下2名という少数精鋭ながら、すでに集合住宅を中心に数十 棟の建築設計を手がけるなど、傑出した生産性の高さとクオリティで地元の注目を集めている。そして、そんな同社の原動力の1つが、設立当初より導入・活用 しているARCHICAD によるBIM 設計の展開である。BIM導入の背景と具体的な活用法について、同社代表の吉田浩司氏にお話を伺った。

 株式会社ixrea  代表取締役/一級建築士/一級建築施工管理技士  吉田浩司 氏

株式会社ixrea 代表取締役/一級建築士/一級建築施工管理技士 吉田浩司 氏

品質と早さで明確な他社差別化を図る

「個人住宅や店舗事務所も設計しますが、特に力を入れているのは賃貸住宅です。現在のように住宅着工数が減っていく中でも住む所はやはり必要ですよね。た だし、現今の社会や経済の状況を考えると、賃貸という選択肢が最も現実的だと思うのです」。そう語るのは、代表として同社を率いる吉田浩司氏である。吉田 氏は、現在の賃貸住宅は収益性が優先される傾向が強く、建築としての魅力に乏しいことが大きな問題だと考えている。

「いかにコンパクトに、スタンダードなプランに収めて窓を取り、それをいかに効率的に配置して敷地の中で戸数を稼ぐか、と。もちろんそれも大切ですが、そ ればかりではつまらないでしょう? 私は賃貸というスタイルの中で、今までと違う価値観を提供できる住まいを作りたいんです」たとえばそれは、デザインであり、住みやすさや使いやすさだ、と 吉田氏は言う。従来の集合住宅では後回しにされがちだったこれらの要素は、実は吉田氏自身のビジネスにとっても重要なポイントとなっている。

「発注にあたっては施主も多くの設計事務所に声をかけるので、結果は各社の提案勝負です。収支の問題やプランの良さは大前提として“プラスアルファは何な の?”となった時、モノを言うのがデザインです。特に建築は“かっこいいね、これ!”で決まることが多いんですよ」。しかしプロ同士の高いレベルの勝負の 場において、“デザインの良さ”は図面など2次元表現だけではアピールしきれず、差別化も容易ではない。そこで威力を発揮するのがARCHICAD によるBIM 設計だ。

「3次元で提案すると、やはり“おお、凄いね”と言ってもらえます。実際それが受注に繋がることも多く、非常に競争力が高いんです。これは住む人に対して も同様で、近年は施主もそれを意識するようになりましたね」。つまり、自身が貸主となった時の一般消費者へのアピールのしやすさを、施主が意識し始めたの である。“住みやすさ”は消費者に実際にモデルルームへ来てもらわないと伝えにくいが、デザインなら伝えられる。印象的なビジュアルで見せられれば、ネッ ト経由でも十二分にアピール可能なのである。

「今では、鹿児島でも CG パースを出してくるライバル会社が出てきましたが、ほとんどがわざわざ2D とは別に3D モデルを立ち上げ、レンダリングしてパースを作っています。ARCHICADのBIM モデルで作る私たちは提案までのスピードが圧倒的に短く、早さとクオリティで強力な他社差別化を図ることができたんです」

 

住宅内観(パース)
住宅内観(パース)
スタッフとの打合せ
スタッフとの打合せ
共同住宅矩計図
共同住宅矩計図

 

お客様の反応が劇的に変化

「ARCHICAD の導入はixrea の設立と同時です。以前は別のCAD で図面を描き、3D はフリーのモデラーを使っていましたが、あるとき他社の3DCAD を触ったらすごく良くて……独立したら3DCAD を入れてBIMで設計しようと決めたんです」。このような3次元化の流れならそのまま他社CAD を導入するのが普通だが、吉田氏は慎重だった。改めて4つもの3DCAD 製品を比較した上でARCHICAD を選んだのである。

「新事務所のメインツールになるのですからこの選択は重要です。事務所にとって安い買物ではないし、今後何十年も使っていくものですからね。けっこう厳し く比べましたが、直感的な操作性のARCHICAD の使いやすさはずば抜けていました。それにMac 版があったことも大きい。比べると、OS もやはり圧倒的にMac の方が使いやすいですから」。そういって笑う吉田氏だが、それでも当初は忙しさもあってなかなかARCHICAD へは移行できなかったと言う。仕事に追われるまま、2D CAD で2D 図面を描いていたのである。

「忙しくて操作を勉強するのが億劫で、そのままにしていたんです。でも、3カ月ほど経った頃、新案件でパースが必要になったんですよ。そこでこの際、 ARCHICAD でガッツリやろうと使い始めたら……めちゃめちゃ簡単じゃないですか!もう即座に100%移行してしまいましたよ」。

こうして確立されたixrea のBIM 設計手法は、徐々に同社の業務スタイルを根本から変え、業績に影響するほどのインパクトをもたらした。まず1番の変革は提案のクオリティとスピードの圧倒 的な向上だ。従来は1週間かけて基準階のプランを出すのが精一杯だったが、爾後は同じタイミングで平・立・断面図に多彩なパース、3D モデルまで見せられるようになったのだ。

「当然、お客様の反応も劇的に変わりました。“この段階でこんなモノが見られるのか!”と驚かれ、“ここまでやってくれる所はありません”と関心されるん です。しかも引渡しでまた驚かれる。“3D モデルのまんまに出来てます!”って」。だが、BIM 設計への移行による影響はそれだけではない。吉田氏自身に、建築家として大きな変化が起こっていたのである。

共同住宅内観(パース)
共同住宅内観(パース)
共同住宅外観(パース)
共同住宅外観(パース)
共同住宅外観(完成写真)
共同住宅外観(完成写真)

続きは、グラフィソフトジャパンのウェブサイトで。

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