管理人のイエイリです。
前田建設工業は、2018年にオープンイノベーション施設「ICI総合センター ICIラボ」(茨城県取手市)に開設して以来、「工事用の3Dプリンター」(2019年1月23日の当ブログ記事参照)や「現場内の資材自動搬送システム」(2019年2月20日の当ブログ記事参照)など、ICT(情報通信技術)を駆使した新工法を続々と発表しています。
そして今度は、クレーン作業で画期的な技術開発に成功したことを発表しました。
移動式クレーンによる鉄骨組み立て作業をパソコン上で4Dシミュレーションし、その動きに
ナ、ナ、ナ、ナント、
実物のクレーンを連動
させることにより、無人で自動的に鉄骨の梁や床スラブを設置する実証実験を行ったのです。(前田建設工業のプレスリリースはこちら) ※4D:3Dに時間軸を加えて、3D空間上での動きを表すこと。
日本初となるこの実証実験は、ICIラボで前田建設工業と国内最大手クレーンメーカーのタダノ、千葉大学大学院工学研究科の平沢研究室が共同で行ったものです。
ICIラボの屋外フィールドに1層、1×2スパンの実物大鉄骨架構を設置し、4Dシミュレーションに従って移動式のラフテレーンクレーンを自動操作させました。
クレーンが旋回してアームが部材ヤード上にくると、フックの近くに取り付けたカメラが部材に張り付けた部材番号をAI(人工知能)による画像認識で読み取り、自動フックが吊り金具を自動的につかみます。
そしてフックの荷重計で吊り荷がかかっていることを確認した後、巻き上げて鉄骨架構上に旋回し、所定の位置に吊り下ろします。
このとき、吊り荷の位置はカメラで測定しクレーンの動きを補正するほか、吊り荷の回転はジャイロ機構により遠隔操作で制御します。
梁や床スラブを落とし込むだけで正確な位置に設置できるように、部材には
独自のガイド機構
が取り付けられています。
また床スラブは合成デッキスラブを用いたプレキャスト床版を工場で製作しました。床スラブ同士の隙間は、後で高流動モルタルを流し込んで一体化させます。
施工BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の世界では、クレーン作業の4Dシミュレーションがよく行われていますが、シミュレーションした結果を現場で実際に行うのは人間のオペレーターや作業員でした。
4Dシミュレーション通りにクレーンが自動的に運転できることは、バーチャルなBIMモデルの結果をリアルな現場に直接、リアルな現場にフィードバックできることを意味します。
つまり、クレーン作業のIoT(モノのインターネット)化へ一歩近づいたことになりますね。