管理人のイエイリです。
山岳トンネルの掘削現場では、掘った穴に火薬を詰める「装薬作業」が欠かせません。
細かい位置合わせや力加減が必要なため、これまでは熟練者が手作業で行ってきました。一方、切羽の真下に人が入るので、常に落石や崩落のリスクと隣り合わせです。
危なくて人手も要る作業というのが、ずっと現場の悩みでした。
そこで、大林組と慶應義塾大学ハプティクス研究センター(所在地:東京都港区)、同大学理工学部の野崎貴裕准教授は、切羽に火薬を装填する「自動火薬装填システム」の開発を着々と続けてきました。(2024年12月3日の当ブログ参照)
このシステムがこのほど、大幅に進化して、
ナ、ナ、ナ、ナント、
火薬の連続装てん
が可能になったのです。(大林組のプレスリリースはこちら)
これまでは火薬(親ダイ)を1本ずつ、慎重に入れていくイメージでしたが、今回の進化で、切羽の穴に次々と連続装填できるようになりました。現場的には、実用化へと一歩近づきました。
このシステムは、装薬孔に火薬を入れる装填ロボットと、複数本の親ダイを送り出す親ダイ供給装置、そして離れた場所にある遠隔操作室からなります。
使い方の流れは、まず装填ロボットを重機で切羽近くに設置します。次に親ダイ供給装置のベルトコンベアに、複数本の親ダイを並べてセットします。オペレーターは切羽から離れた操作室に入り、モニター映像を見ながらロボットを操作します。
ここで効いてくるのが、力触覚技術「リアルハプティクス」です。ロボットが岩盤や孔の壁に当たったときの抵抗感が、そのまま操作室のオペレーターの手元にも伝わります。
ロボットは受け皿から親ダイをつかみ、孔の位置に合わせて挿入します。1本終わると、供給装置から次の親ダイが出てきて、同じ動作を繰り返します。
さらに今回の進化により、
切羽の下の方にも装填
できるようになり、切羽全体をカバーできるようになりました。
これまでの装置は、上向き作業だけに対応していましたが、今回のシステムでは、装填ロボットと親ダイ供給装置の設置向きを工夫することで、下側の孔にも対応できるようになっています。
この技術によって、切羽直下に人が入らずに済むため、切羽崩落などの事故リスクを下げられそうです。
大林組と慶應義塾大学は今後、複数台での装てんや大型重機の自動運転との連携、そして親ダイの雷管に起爆用の電線を取り付ける「脚線結線」の自動化も目指すとのことです。
さらに注目したいのは、「リアルハプティクス」の広がり方です。大林組と慶應義塾大学は、過去に左官作業の遠隔操作や、重機で岩石の硬さを感じ取りながら掘削する研究も行っています。
人間の触覚の優秀さは、なかなかロボットやセンサーではまねできません。リアルハプティクスにより、巨大なものからミクロなものまで、触覚を生かしたベテランの職人芸が拡張できると、現場作業の遠隔化が広がりそうですね。
























