住宅からフルBIMまでをカバーするArchiCAD
グラフィソフトの業務を支えるHPのワークステーション(日本HP)
2013年3月22日

「日本ヒューレット・パッカードのワークステーションには、ArchiCADのユーザーが使いたいと感じるマシンがそろっていますね」―――代表的な意匠設計用BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフト、ArchiCADなどの導入支援やトレーニングを担当するグラフィソフトジャパンの桐木理考氏はこう語った。一般的な住宅の意匠設計から20万m2級ビルの「フルBIM」までを扱えるArchiCADのユーザーに、日本ヒューレット・パッカードのワークステーションが認められる理由は何なのだろうか。

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愛用のHP EliteBook 8540wモバイルワークステーション(左)とHP Z220SFFワークステーション(右)を前に、日本ヒューレット・パッカードのワークステーションの感想を語るグラフィソフトジャパンの桐木理考氏

   10GBを超える巨大モデルも扱うArchiCAD

グラフィソフトジャパン(以下、グラフィソフト)と言えば、日本で大きなシェアを誇る意匠設計用BIMソフト「ArchiCAD」や、BIMモデルデータの整合性などをチェックする「Solibri Model Checker」などの開発・販売で知られるBIMソフトベンダーだ。

使いやすさで定評のあるArchiCADは、BIMという言葉が存在しなかった1996年に日本語版が発売された。以前は住宅や小規模のビルなどの設計に使われることが多かったが、2010年に64ビット版の「ArchiCAD 14」が発売されて以降、大型の建築プロジェクトにも盛んに使われている。現在の最新版は「ArchiCAD 16」だ。

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ArchiCADは2010年に64ビット版が発売されて以来、大規模な建築プロジェクトでも盛んに使われている

「例えば、20万m2級ビルで『フルBIM』を行ったプロジェクトでは、意匠、構造、設備を1つのBIMモデルに統合し、干渉チェックや検証を行いました。そのプロジェクトをチームワークとして使用した場合の総データ量は10GBを超えるほどです」と、グラフィソフトでプロダクトマーケティングを担当する桐木理考氏は説明する。

「これだけ大きなBIMモデルになると、データの扱いは高性能のCPUやグラフィックボード、そして大容量のメモリーを搭載したワークステーションでないと難しくなります」(桐木氏)。

桐木氏が業務で使っているのは、日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)のHP Z220SFFワークステーション(以下、Z220SFF)だ。コンパクトなボディーにもかかわらず、CPUにはインテル® Xeon® プロセッサーE3-1225 v2 3.2GHz(Quad Core)、グラフィックボードにはNVIDIA® Quadro® 600(1GB)、8GBのメモリーを搭載。OSは64ビット版のWindows 7をインストールしている。

「20万m2級ビルのフルBIMモデルの場合、16GBのメモリーを積んだマシンで扱いました」と桐木氏は言う。最大32GBまでメモリーを増設できるZ220SFFの拡張性はさらに大きなBIMモデルにも対応できる余裕を残している。

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HP Z220SFFはArchiCADで大規模建物を「フルBIM」で扱っても十分な拡張性を持っている

  3年前のノート型ワークステーションも大活躍

一方、住宅を手がける設計者がArchiCADに求めるものは「ビジュアライゼーション」だ。つまり、設計中の建物をBIMモデルを使ったウォークスルーやCGパースなどで施主にプレゼンテーションしたり、BIMソフトを施主の前で操作しながら設計変更や確認を行ったりという使い方だ。

こうした用途には、ArchiCADの設計環境をそのまま持ち運べるノート型ワークステーションが向いている。桐木氏が3年前から愛用しているのは「HP 8540w」という機種で、現在の「HP 8570w」の前身だ。

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桐木氏が3年前から愛用しているノート型ワークステーション「HP 8540w」。住宅設計者はこうして施主の目の前でプレゼンし、設計を修正することも多い

「発売から約3年がたっていますが、BIMの仕事にも長く現役で使えています」と桐木氏は言う。このマシンはOSには64ビット版のWindows7、CPUにはインテル®i5 M540® プロセッサー(2.53GHz)、グラフィックボードにはQuadro600、そして8GBのメモリーを積んでいる。

「ハードが頑丈なのも長持ちする理由です。これまで落としたことも何度かあり、出張時にはキャリーバッグに入れて移動しますが、故障したことはありません」(桐木氏)。

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ノート型ワークステーションなら、どこにでもArchiCADの設計環境を持ち歩ける

それもそのはず、日本HPのノート型ワークステーションは、軍用レベルの過酷なテストをクリアしているからだ。例えば酷暑や酷寒での使用や衝撃、キーボードにコーヒーをこぼすなどにも壊れないような設計とテストが行われている。

  Open BIM戦略の拠点を支えるワークステーション

グラフィソフトは「Open BIM」というBIM戦略をとっており、「IFC形式」というBIMデータ交換標準を積極的に採用。ほかのBIMソフトベンダーが提供する企画や詳細構造設計、設備設計などのソフトとの間で、データ交換をスムーズに行えるように日々、開発を進めている。

桐木氏の仕事は、まさにこの「Open BIM」戦略を支えるものだ。パートナー企業と連携して日本向けツールの開発や、他社ソフトとのIFC形式によるデータ交換機能の向上を担当するほか、ArchiCADなどのユーザーに対するトレーニングや導入支援を行っている。

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ユーザーの環境を再現するため、グラフィソフトでは様々なパソコンやワークステーションが稼働している

ArchiCADはグラフィソフトの本社のあるハンガリーで開発されている。しかし日本向けの機能を開発したり、日本の建築設計の実務に合わせてカスタマイズを行ったりするのは桐木氏ら、日本のスタッフが担当している。

「日本の建築基準法に基づいた斜線制限の検討ツールなどを開発する時は、建築設計実務者の声を聞きながら、製品に反映していく必要があります」と桐木氏は言う。ユーザーにとって使い勝手のよいツールを開発するためには、建築実務を知っていることが必要だ。グラフィソフトでは、社員の約4分の1が建築出身者だという。

桐木氏自身は、京都工芸繊維大学で建築情報を専門とする研究室で学んだ。在学中には遠隔地にいる複数の設計者がコラボレーションしながら設計するために必要な情報について研究したり、ArchiCADの入門テキストである「ArchiCADMagic」を執筆したりした。グラフィソフトに入社したのは2006年だ。BIMが日本で知られるようになるずっと前から、実質的にBIMと同じような設計のワークフローや方法論を追求していたことになる。

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日本の建築実務者の声を聞きながら、カスタマイズを行う

  日本HPにはArchiCADユーザーが使いたいマシンがある

グラフィソフトは2012年、様々なBIMソフトで作られた建物のモデルデータを同時に読み込み、BIMモデルデータが正しく作られているかどうかをチェックする「Solibri Model Checker」というソフトを発売した。ArchiCADのオリジナルデータのほか、IFC形式で様々なBIMソフトと連携する。Open BIM戦略を実践するグラフィソフトらしい製品だ。

「例えば、車イスの人が通路や開口部を通過できるようになっているか、トイレなどに洗面台や便器などの機器が必要な数だけそろっているか、オフィスの従業員1人当たりの床面積はどうか、といった様々な空間的なチェックを行うことができます」と桐木氏は説明する。

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Solibri Model CheckerによるBIMモデルのチェック

ArchiCADはもともとMac版が最初に開発され、後にWindows版が開発された。そのため、今も多くのユーザーがMac版を愛用する。その伝統を反映して、Windows版のユーザーもパソコンやワークステーションのデザインにこだわる人は多い。

「日本HPが2012年に発売した一体型ワークステーション『HP Z1』は、Mac版ユーザーから見ても受け入れられるデザインです。Windows版を使うArchiCADユーザーも、Mac版ユーザーと同じように洗練されたデザインのハードウエアを好む傾向があります。その点、日本HPのワークステーションには、ArchiCADのユーザーが使いたいと思わせるマシンがそろっていますね」と桐木氏はデザイン面でも評価する。

「何かトラブルがあった場合でも、日本HPは問い合わせにすぐ答えてくれ、修理が必要な時も翌日に来てくれます。また、新しいワークステーションを発注する時も、納期が早いのですぐに使えるのが助かります。デスクトップ型、ノート型を問わず、日本HPのワークステーションは安心して使えますね」と桐木氏は締めくくった。

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歴代のArchiCADパッケージと
 
【問い合わせ】
 日本ヒューレット・パッカード株式会社
 東京都江東区大島2-2-1
 オンラインストア HP Directplus
 TEL : 03-6416-6161
 ホームページ : http://www.hp.com/jp/directplus/

 HPワークステーション総合サイト

 

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