東京・目黒区に本社を置くデジタルビジョン(以下、DVI)は、2012年、沖縄県うるま市に沖縄オフィスを設立。以来、東京本社とインターネットを介したVPNネットワークで連携しながら大手のゼネコンやハウスメーカー、住宅設備メーカーなどの生産設計業務を担う実戦BIM、CAD部隊として拡大を続けている。その実務を支えるのが、日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)の高性能ワークステーションと大判プリンターだ。
DVIは2012年に沖縄県うるま市に沖縄CADセンターと沖縄BIMセンターを相次いで設立し、前者はミサワホームなどの大手ハウスメーカーやLIXILなどの住宅設備機器メーカー、後者は鹿島建設など大手建設会社の生産設計を担う“実戦BIM部隊”として年々、規模を拡大してきた。
DVI代表取締役の吉田敬一郎氏は、「失業率が日本で一番高い沖縄県の就職事情をBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)によって改善できないかと考えた。沖縄県の全面的な支援を受けながら、沖縄県在住者を対象に1年をかけてBIMやCADの教育を行い、終了後は自社スタッフとして雇用した」と語る。こうした取り組みは、現在も続いている。
DVI沖縄オフィスが入居する沖縄IT津梁パーク内のビル(左)と建物のBIMモデル(右)● |
日本HPのワークステーションを全面導入
DVIでは東京本社、沖縄ともに日本HP製のワークステーションを全面的に導入している。沖縄ではZ820、Z620、Z420各クラスを計30台ほど使用している。また、東京本社にいる管理者はメモリー容量が16GBでグラフィックボードにQuadroK4000といった高性能のZ820を使用している。
日本HP製のワークステーションを選んだのは、壊れにくさと耐久性の高さ、東京・昭島工場での“東京生産”による品質の高さ、そしてトラブル時の迅速な対応を評価してのことだ。また、日本HP製のマシンにそろえることで、メンテナンスもしやすくなる。
設計効率を上げるため、全員が2台の液晶ディスプレーを使い、キーボードの配列も統一されている。そのため、オフィスのどのワークステーションを使っても同じような操作感覚で使える。
万が一、納品前にスタッフが休んでも、代わりのスタッフが自由自在に席を替えて「フリーアドレス」的に業務を常にフォローできるように運用をしている。ワークステーションの機種や設定の統一は重要なのだ。
大判スキャナーの導入で大幅な効率化
DVIでは東京本社に日本HPのA1判の大判プリンター「T520」を1台、沖縄のオフィスに2台導入している。
「T520で図面を印刷するとき、チェック時は最速モードで、仕上げ時は通常モードを使っているが、通常モードでもとてもスピーディーに印刷できる」とDVI沖縄支店長の坂下慎二氏は語る。
沖縄、東京ともに日本HPの大判プリンターに搭載されている「HP Designjet ePrint & Share」のリモートプリント機能を使って、T520で印刷すると同時にPDF化された図面をデータ共有クラウドサービスに自動送信している。そのため、最新の図面情報を常に沖縄と東京で共有できるのだ。
最近、東京本社に日本HPが複合機セットとして推奨するContex社のA1判スキャナーが加わったことで沖縄と東京の連携作業がさらに効率化された。
以前はA3複合機のスキャナー機能を用いていたため、沖縄で作成したA1図面のデータを送り、東京本社のT520でプリントアウトした図面に朱書きチェックし、その紙をA3サイズに4分割してスキャンして沖縄にデータで返送していた。
沖縄オフィスでは届いたA3チェック図を印刷して張り合わせ、A1図面に“復元”するという作業を行っていた。このA1→A3→A1の分割と復元の作業によって、図面1枚当たり約1時間の作業ロスが発生していた。
この作業を効率化するため、東京本社にA1判のカラースキャナーを導入した。結果、朱書きを入れたA1図面をそのままスキャンし、沖縄に送るとA1サイズのまますぐに出力できるようになったのだ。
1物件当たり100~150枚の図面を作成するので、約4~6人・日もの人件費が節約できた。
プリントアウトされた朱書きチェック入りの図面を見る沖縄オフィスのスタッフ(左)。スキャンとは思えない、まるで直接手書きしたような鮮明さだ(右) |
RGSによるワークステーションの遠隔操作も
DVIの東京本社は、顧客である大手ゼネコンやハウスメーカー、住宅設備メーカーとの打ち合わせに基づき、沖縄オフィスに作図作業を依頼する役目を担う。
BIMを使った業務の打ち合わせには、モバイルワークステーションを持参することが多いが、ときには高性能のワークステーションを使ったプレゼンテーションも必要だ。
そこで現在、テストしているのが、インターネットを使ってワークステーションを遠隔操作する「HP RGS(リモート・グラフィックス・ソフトウェア)」というシステムだ。
日本HPのワークステーションに標準搭載されているもので、Windows版のタブレットパソコンやモバイルパソコンなどから、オフィスに置いた高性能ワークステーションを使えるのだ。
今回、HP社がラインナップしている最新のWindows版のタブレットパソコン「ElitePad 」と組み合わせてテストを行った。
ElitePad自身の解像度も1900 x 1200と高解像度だが、アダプターによる外部出力にも対応しているため、液晶モニターを用いた大画面でのプレゼンも可能だ。
「顧客のオフィスでのプレゼンテーションでは、リアルタイムにBIMモデルを操作して見せた方が合意形成をとりやすい。高性能なノートパソコンを持ち歩かなくとも、4G LTE通信に対応したHP ElitePadを用いて、訪問先からRGSで社内のワークステーションの遠隔操作を行うスマートなスタイルに切り替えていきたい。」とBIM推進支援部長の崔烈浩氏は語る。
DVIの吉田社長は、常に最先端のテクノロジーで業務効率を改善していきたいという考えを持っている。その要望に、日本HPは、高性能ワークステーションや大判プリンター、を統合したソリューションでこれからも応え続けていく。
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