小中学生がバーチャルリアリティー(VR)でテーマパークを作るフォーラムエイト主催の「ジュニア・ソフトウェア・セミナー」が1月5日と6日、開催された。その道具は、プロ用のVRソフト「UC-win/Road」だ。参加した小中学生は、わずか2日間でジェットコースターや巨大ビルが立ち並ぶ、スケールの大きな街や遊園地を見事に完成させた。
街を駆け抜ける全長15kmのジェットコースター
日ごろはビジネスマンや技術者の研修会が行われる東京・品川のフォーラムエイト東京本社のセミナールームに、黄色のトレーナーを着た小中学生と若手社員が集まり、パソコンの画面とにらめっこで作品作りに取り組んだ。
冬休みもそろそろ終わりという1月5日と6日、フォーラムエイトが小中学生を対象としたジュニア・ソフトウェア・セミナー「バーチャルな3次元空間を作ろう!」を開催した。
子ども向けセミナーとはいえ、使うツールはプロ用のVRソフト「UC-win/Road」だ。このソフトを子ども自身が使い、リアルなスケールで、テーマパークや街並みなどを作るという。
いったい、どんなテーマパークを作っているのだろうか。興味津々でパソコンの画面を1つずつ、のぞいてみた。すると驚くべき作品の数々が作られていたのだ。
ある小学生が作ったのは、ナント、全長15kmものジェットコースターだ。
乗客から見た走行シミュレーションの画面を見せてもらうと、それは遊園地でよく見かけるものではなかった。ビルが立ち並ぶリアルな街並みを猛スピードで通り抜けるものだった。
隣の中学生の作品もジェットコースターのあるテーマパークを作っていた。魚が泳ぐ水中に突っ込んだり、岩山をぐるりと1周したりという、前代未聞の巨大プロジェクトだ。
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魚が泳ぐ水中や岩山をぐるりと1周するジェットコースター | |
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ツインタワー化された東京スカイツリー(左)。タワーの向きも入念に調整中(右) | |
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レンガ塀の3Dモデルをていねいに配置する女の子 |
電車の運転でVRの基礎を学ぶ
今回は1日目の午後、UC-win/Roadの基礎知識と基本操作を学んだあと、街並みの中を走る線路のVRを使って電車の運転に挑戦した。その後、駅前広場に花屋や本屋、花壇などを置いて街並みを作った。
さらに線路を延ばしてトンネルや鉄橋を配置したり、湖や樹木を置いたり、線路や道路に高低をつけたりと、UC-win/Roadを使ってテーマパークを作るための基本的な操作方法を学んだ。
プロが使うソフトだけに、操作も難しいと思われがちだが、ソフトで使うメニューは専門用語が並んだままだ。そこでモニター画面の上にはふりがな付きのメニューを張り付けたほか、ふりがな付きの教材もこの日のために特別に用意された。
しかし、子どもたちは数回、マウスを使って試しただけで、すぐに操作を覚えてしまうので、資料にはほとんど目を通していないようだった。
テレビ会議を通じて全国8カ所で受講
フォーラムエイトは2014年8月に、小中学生を対象とした「ジュニア・ソフトウェア・セミナー」を初めて開催して以来、学校の休み期間に開催を続け、今回で5回目となる。
テーマは「道路」「海辺」「鉄道」、そして「テーマパーク」と変えている。プロ用のVRソフトを使ったセミナーにもかかわらず、小中学生の人気は高く毎回、参加者が増え続けている。
実は今回のセミナーは、テレビ会議システムを使って東京以外に札幌、仙台、名古屋、金沢、大阪、福岡、宮崎の全国8拠点で開催された。東京会場での講師の説明を聞きながら全国で約40人がVRによるテーマパーク作りに挑戦していたのだ。
東京会場には、時々、各地の会場からの質問が舞い込んでくる。例えば名古屋ショールームからは「環状につながった道路に角を作りたいのですが、どうしたらできますか」という質問が寄せられた。
東京会場の講師は、すかさず画面上に道路を作りながら「角の部分に交差点を置き、角の外側2本にある道路の長さをゼロにすれば、簡単に角が作れますよ」と回答した。
講師の1人、辰己正芳さんは「本当はもっと別のやり方があるのですが、子どもたちがやりやすいようにあえて簡単な方法を使いました」と説明する。
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東京会場の講師は道路上に交差点を設けた(左)。飛び出た2本の道路の長さをゼロにすると角が出来上がった(右) |
その後、名古屋からは「ちゃんと角ができました」と報告が入った。こうしたやりとりは、各会場の参加者やアテンドするフォームラムエイトの社員も聞いている。まさに、全国8カ所の会場が1つにまとまったセミナーだ。
また、東京会場の参加者は、昼休みなどの休憩時間にショールームにあるドライビングシミュレーターで運転体験を行ったり、受付横に置かれたパーソナルロボット「ペッパー」との会話を楽しんだりと、退屈するひまもない様子だった。
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休憩時間にドライビングシミュレーター(左)やパーソナルロボット「ペッパー」で遊ぶ参加者たち● |
各会場から力作の数々を報告
セミナーの最後は、テレビ会議システムを使った作品のプレゼンテーションだ。各会場から代表的な作品ずつが発表された。
●各会場から報告された作品
発表が終わると、各会場の参加者はモニター前に整列し、記念撮影を行って解散した。2016年は春休みは3月29日~30日、夏休みは8月4日~5日に開催される予定だ。
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各会場の参会者がそろって記念撮影を行い、解散した |
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