日本HPの企業向け4K画質VRヘッドマウントディスプレー「HP Reverb G2」と、軽量かつスタイリッシュなVR Ready モバイルワークステーション「Zbook」で、BIMモデルをリアルタイムに確認しながら設計を進めていく新しいワークフローが生まれた。BIMモデルをVR用にリアルタイム変換するユニティテクノロジーズジャパンのクラウドシステム「Unity Reflect」によって可能になったものだ。その実証実験の現場を直撃取材した。
Unityの社屋を高画質VRでリアルタイムに体験
ユニティテクノロジーズジャパンは、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルをリアルタイムにVR(バーチャルリアリティー)用のデータに変換するクラウドシステム「Unity Reflect」を開発した。
このシステムによってRevitのBIMモデルを、4K画質のVRヘッドマウントディスプレー(以下、HMD)で即座に実物大・立体視で確認し、BIMモデルを修正することを繰り返す、新しい設計ワークフローが可能になった。
それではどれだけのリアリティーが再現できるのか。そこで、ユニティテクノロジーズジャパンが「unity Japan Office Project」として公開している自社オフィス内のBIMモデルを「Unity
Reflect」でVRデータに変換し、実物のオフィス風景と比べてクオリティーを比較してみた。
それぞれ、上が実物写真で下が4KVRの映像だが、写真とVRの違いはほとんど分からない。BIMモデルを4KVRに変換し、実物大で立体視することで、まるでタイムマシンに乗って未来の建物にいったかのように、完成後のイメージをリアルに体験できることがわかる。
Revitモデルを4K画質のVRにリアルタイム変換
今回の実証実験ではBIMソフト「Revit」で設計中のノートパソコンと、VRビューワーをインストールした「HP ZBook Create G7」を使った。これらを使ったBIMとVRの連携による設計ワークフローは、次のように変わりそうだ。
4K画質のHMD「HP Reverb G2」を身に着けた施主が「やっぱり、もう少しAのオブジェを手前に出した方が目立つかな」と言うと、設計者はRevitのBIMモデルを操作してオブジェを移動させる。するとHMDに映るオブジェも即座に前進。クライアントは「これでお願いします」と数秒で確認を終える、といったイメージだ。
BIMソフトと高画質VRを連携させた新しい設計ワークフローは、このようなスピード感で進むだろう。
ユニティテクノロジーズジャパンが開発した「Unity Reflect」は、BIMソフトなどに対応したパソコン用のプラグインソフトとクラウドサーバー、そしてマルチデバイス対応の「Reflectビューワー」からなる。
BIMモデルを作成中のパソコンでワンクリックすると、BIMモデルのデータがクラウドに送られてVR用のUnityデータに変換される。それをビューワーが受信してHMDの映像に反映されるという流れだ。
これまではBIMモデルをHMDで見るためにはまず、FBX形式に書き出す→それをゲーム作成用ソフト「Unity」などに読み込む→VR用のデータに書き出す→VRビューワーに読み込むといった手作業が必要だった。
そのため、BIMモデルをVRで見るためにはかなりの手間ひまがかかっていた。しかしUnity Reflectが登場したおかげで、BIMで設計しながらVRで確認する、そしてBIMで修正する、といったことを何度も繰り返して設計を進める新しいワークフローが可能になったのだ。
「HP Reverb G2」で4K画質のVRを体感
Revitモデルを高画質の実物大・立体視するのに使ったのは、日本HPが2020年10月に発売したHMDの新製品「HP Reverb G2」だ。
左右の眼にそれぞれ2160ピクセル幅ずつ、両眼で4Kの解像度なのでリアルで精細なVRを体感できる。VRに映ったスマートフォンの文字さえ、余裕で読めるのが特長だ。
装着した人の頭の位置や向き、手に持ったコントローラーの動きを検知する方法として、「インサイドアウト方式」を採用しているので周囲にビーコンなどを設置しなくてもよい。
本体の前面と側面に4台のカメラが搭載されているため、コントローラーを体の横に動かした時に見失ってしまう「ロスト」を起こしにくい。
この新製品では、長時間装着しても疲れない細かな配慮が行われた。その一つが「IPD調整機能」で、人によって異なる両眼の間隔によってモニターの位置を調整できるようになっている。
HMD自体の重量も500g以下となったほか、顔面と接するフェースクッションも大きくなり、開口部も広がった。そのためメガネをかけたままでも、ゆったりと装着できる。
オーディオは左右の耳にヘッドホンが標準装備されており、後方からの音はやや小さく聞こえる「Spatial Audio(スペーシャル・オーディオ)」に対応している。
耳と密着しすぎない設計になっているため、周囲の音も自然に聞こえる。そのためVR体験中も安心して歩き回ることができる。
このほか、HMDとパソコンをつなぐケーブルも従来の4.5mから6mに延長されたほか、ケーブルも細くなった。より快適にウォークスルーを体感することができる。
4K画質のVRを実現するワークステーション群
VRをストレスなく体感するためには、HMDを装着した人の動きと表示される映像の遅れを最小限に抑える必要がある。そのため通常のパソコンやワークステーションよりも高性能なグラフィックボードを搭載した「VR Ready」なマシンが必要だ。
従来はデスクトップ型のワークステーションに高性能グラフィックボードを積んだものが主流だったが、最近はスリムなワークステーションも登場している。
その代表例が「薄型軽量ハイスペック」を売り物にしたVR Readyな最新モバイル機シリーズだ。
VR専用機として使うなら「NVIDIA GeForce RTX2080Super」を搭載した「HP ZBook Create G7」、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)からVRまでを一大でこなしたいなら「NVIDIA Quadro RTX5000」を搭載した「HP ZBook Studio G7」がおすすめだ。
両機種とも重量は2kgを切るため、気軽に持ち運べる。客先で4Kの高画質VRで建物や構造物などをプレゼンすると、強い印象を与えられることは間違いないだろう。
このほか、日本HPのVR Readyなワークステーションには、超ハイスペックのデスクトップ型から、背負って移動できるバックパック型、モバイル型まで様々な価格や拡張性、パフォーマンスをもった製品が「本気のVRラインアップ」として豊富にそろっている。
VRの使用目的や使う場所、他の業務など、ユーザーのニーズに合わせて最適なワークステーションを選ぶことができるのだ。
また、日本HPはスリムなワークステーションZBook Create G7やZBook Studio G7にそれぞれ、VR用のパワフルなグラフィックボード、NVIDIA GeForce RTX2080やNVIDIA Quadro RTX5000を搭載したモデルを発売する。
Unity Reflectに、日本HPのVR Readyワークステーションと4K画質のヘッドマウントディスプレーを組み合わせたシステムは、リーズナブルな価格や取り回しの容易さという点でこれからBIMをVRで活用されたいと考えている法人の方へおすすめの組み合わせだ。
BIMによる設計と合意形成のワークフローも高速化し、さらなる生産性向上の効果を発揮するに違いない。
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