プレゼンテーション用にArchiCADで作成したパース
基本&実施設計から各種シミュレーションへ 設計者による設計者のためのBIM活用進化論
都市環境設計は、公共建築物を中心に設計、監理からコンサルテーションまで幅広く展開する組織設計事務所である。2010年、同社は全社統一BIMソフトとしてArchiCADを選択、本格的な運用を開始した。3年後の現在、既に計画段階やプレゼンテーション段階でのArchiCAD活用手法を確立し、お客様への分かりやすい説明やコンペ・プロポーザルでの競争力向上など確かな実績を蓄積。実施設計への展開も開始している。着実にステップアップし続ける同社の取組みの詳細について、同社設計部の皆様にお話を伺った。
取締役 設計部長 木村孝一郎 氏
取締役 設計部 次長 大久保誠悟 氏
設計部 企画課 課長 藤田 寛 氏
設計部 設計課 課長 杉浦康彦 氏
設計部 設計課 課長 後藤仁志 氏
設計部 企画課 主任 近藤雅彦 氏
コンペ・プロポーザルの競争力アップから総合設計力の手法開拓ために
「当社のお客様は官公庁が中心で、多くが国や自治体、地方整備局などの発注になる公共建築物の設計監理の仕事となっています。当然これらは競争で業者が選定されますが、近年その競争が非常に厳しさを増しているのです」。そう語るのは、同社設計部長の木村孝一郎氏である。同氏によれば、特にプロポーザルが主体となってから、発注者から求められる検討事項が詳細多岐に渡るようになり、環境に関わる検討など内容もきわめてシビアになったのだという。木村部長の言葉を受けて、企画課の藤田氏も語る。
「そうした流れのなか、当社としてはプロポーザルでの競争力を上げていかなければなりません。つまり設計者にもプレゼン力向上が求められているのです。特に質の高いビジュアライゼーション活用は欠かせないものとなり、うちの設計者も多彩な3次元ツールを使うようになりました」。
当初、このような3次元化への対応は設計者個々の取組みに任され、設計者たちはそれぞれ思い思いの3Dツールを選んで使っていた。しかし、2010年に国交省がBIM採用を条件とする試行案件への取り組みを発表し状況は大きく変化。公共建築をフィールドとしていた同社も、BIM化を目指す流れへと大きく舵を切ったのである。
「むろん以前からBIMのことは耳にしていましたし、情報収集も行っていたので戸惑いはありませんでした。とにかく、まずは全社で統一的に使うためのBIMツール選定を行ったのです」(藤田氏)。候補に上がったのはArchiCADともう1本の外国製3次元CADだった。実はこの他社製BIMソフトは、BIMツールとしてのシェアも高く、当初社内ではデータ連携の観点からもこちらが望ましいのではないか、という声があった。しかし、藤田氏らが比較検討を進めるうちに形勢は大きく変わっていった。
「実際、設計者に使わせ使用感を確かめてもらったんです。すると皆がArchiCADを支持するんですね。自分で使ってみて理由はすぐ分りました。使い勝手が格段に良く、設計者が“触っていて気持ち良い”ツールなんです。つまり敷居が低く取っつきやすい。普及を進める上でも大きなメリットがあるわけです」(藤田氏)。
こうして同社はArchiCADの採用を決定。約1年かけて社内への普及活動を行い、設計者たちは徐々に実務での活用を開始したのである。
建物全景の外観パース
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