メタバースとは結局何なのか?VRアプリエンジニアが解説
2022年3月14日

こんにちは。
エム・ソフトの新卒1年目エンジニア(もうすぐ2年目)のinoueです。

今回初めてブログを書かせていただくことになりました。
どうぞよろしくお願い致します。

はじめにー最近注目のメタバースについて勉強

私は普段、VRやARアプリの開発に携わっています。

日々業務を行う中で、VR・ARについて勉強しているのですが、
その中で最近よく目にするようになったのが「メタバース」というワードです。

昨年、Facebookが社名を「Meta(メタ)」に変更したこともあり、メタバースという言葉や技術が大きな注目を浴びました。

↓日本経済新聞
Facebook、社名を「メタ」に変更 仮想空間に注力

最近ではNFT(非代替性トークン)と関連する技術としても、よく聞く言葉になっていますよね。

このように、これからの動向が期待されているメタバースですが、

「結局のところ、メタバースって何だろう?」
「自分たちの生活や仕事にどう影響するの?」

といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
特に、「仕事やビジネスにどう活かせるか?」といった点では、多くの方が気になるところではないかと思います。

そこで今回は、新人エンジニアの私inoueが「メタバースとは何か」というテーマでブログを書かせていただきます。
専門的な用語や技術的な内容には深く踏み込みませんので、メタバースについて全く分からない初心者でもわかるような内容になっていると思います。

ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

メタバースとは?

まず最初に、メタバースとは「メタ(超越した)」と「ユニバース(宇宙)」を掛け合わせた造語です。
元は米国のSF作家ニール・スティーヴンスン氏が1992年に発表した「スノウ・クラッシュ」という小説から生まれた言葉と言われています。

メタバースとは「ネットワーク内に構築された、現実世界とは異なる三次元の仮想空間またはそのサービス」を指します。
もう少し簡単に言うと「インターネット上でユーザが活動できる仮想空間」のことです。

VRのような新しい技術を用いたものをメタバースと呼ぶことが多いですが、「あつまれ どうぶつの森」のようなインターネットに接続してプレイできるゲームも、広い意味ではメタバースの一種と解釈されることもあります。

昨今では、以下の7つの条件を満たす仮想空間のことを「メタバース」として定義されることが多くなりました。
この7つの条件は投資家のMatthew Ball氏によって定義されたものです。

  • 永続的:停止することなくずっと存在する
  • 同時性&ライブ性:いつでも同じ空間に同期できる
  • 同時参加人数無制限:何人参加しても大丈夫
  • 完全に機能した経済:空間の中でモノの売買などが可能
  • 実社会との垣根がない:現実空間と仮想空間で情報や体験が行き来できる
  • 相互運用性:他のメタバース同士が連動する
  • あふれるコンテンツと体験:個人や企業などが大量のコンテンツや体験を提供する

 

少々難しい話にも思えますが、ものすごく簡単に言うと「現実の空間と同じくらい自由な仮想空間」のようなイメージで問題ないと思います。

メタバースの例、歴史

実はメタバース自体はそれほど最近の技術ではなく、20年ほど前からある技術です。
有名なのは、2003年ごろに制作された「Second Life」という仮想空間です。

Second Life 公式HP
https://secondlife.com/?lang=ja-JP

日本で言えば、2009年にサイバーエージェント社がリリースした「アメーバピグ」なども有名ですね。

メタバースはこのころからとても話題になっていましたが、2000年代はまだPCの処理性能が低くインターネット速度も遅かったため、これらのシステムをスムーズに使えるユーザが非常に限られていました。
そういった事情もあり、当時はユーザが増えずブームが起きることはありませんでした。

そこから数年がたち、PC等の性能が向上されてくると「VRChat (2014年〜)」や「Cluster (2017年〜)」など、仮想空間上でユーザ同士のコミュニケーションができるツールが出始めました。
参入ハードルも下がってきている為、一般人のユーザが現在進行形で増え続けています。


出典:VRChat

メタバースが流行している理由

ではなぜ、最近になってメタバースというワードが注目されているのでしょうか?
色々な理由がありますが、大きく分けると以下のような背景が挙げられます。

VR機器の実用化

2010年代から、ゲームや教育などの分野で、VRの活用が拡大しています。これに伴い、Oculus Quest(オキュラスクエスト)のようなVR機器の発達・普及によって、これらの活用手段としてメタバースが注目されています。

コミュニケーションの進化

インターネットやコンピュータが発達したことによって、ネット上でのコミュニケーションも日々進化を続けています。

SNS上でのチャットやオンライン会議など、様々なコミュニケーションの形が生まれていますが、
その一つとして「メタバース上でのコミュニケーション」という新しい動きが活発化しつつあります。

新型コロナウイルスの感染防止対策

昨今の新型コロナウイルスの影響によって、「人と会うこと」が制限されるようになりました。
この為、対面でのコミュニケーションの代わりの手段としてメタバースの活用が注目されています。

先述のようなVRChat やCluster等のツールを用いた会話もこれから一般化してくるかもしれません。

NFTや仮想通貨などの実用化

メタバースは、NFTや仮想通貨などの技術と組み合わせることで、より実用性が高まります。

例えば、メタバース上でNFT(コンテンツやアイテム等)を制作・販売したり、所有していたメタバース上の土地を売買するなど、様々なビジネスチャンスがある為注目が高まっています。

Facebook→Metaの社名変更

冒頭にあげたFacebookが社名を「Meta(メタ)」に変更し、メタバースに本格参入を始めたということも非常に大きな理由です。
このニュースによってメタバースの名前を知った方も多いのではないでしょうか。

「あのFacebookが力を入れ始めたメタバースとは…?」というニュースもよく見かけるようになりましたよね。
このような大手企業が本格参入を宣言したことによって、様々な業界からメタバースが注目されるようになったと思います。

メタバースの活用例

このように注目が高まっているメタバースですが、結局のところ、どのような活用例があるのか気になる方も多いかと思います。

色々なアイディアが考えられると思いますが、今回は一般的な活用例をご紹介します。

バーチャルイベント

この1、2年で、オンライン上で開催されるイベントが増えてきました。
しかし、オンラインイベントはWebページや動画、ライブ配信を見ているだけのものになりがちで「参加している感覚」をあまり味わえない、といった課題も多いかと思います。

それに対して、メタバースを活用したバーチャルイベントであれば、従来のオンラインイベントに比べ、圧倒的な臨場感を演出することができます。

メタバース上で作られた会場にアバターとして参加することで、イベント主催者の話を目の前で聞いているような感覚を得ることができたり、目の前にあるバーチャル上の人や物体を現実のもののように見ることができます。

現実でのイベントに近い体験を与えることができるので、より濃い情報を参加者に伝えることができたり、新しい体験を与えることができます。

事例としては以下のようなバーチャルイベントなどが開催されています。

〇開催されたメタバース内のイベントの例 (VRChat)

  • NISSAN CROSSING
    • 日産自動車株式会社のバーチャルギャラリー。
    • 新車も展示されている
  • バーチャルマーケット
    • 3Dモデルの展示会
    • 202112月に開催された際には約80社の企業と600サークルが出店した(セブンイレブンやローソン等)
  • VRC技術市
    • VRChat内での技術本等の販売会
    • Unityでの技術本なども販売されている


出典:バーチャルマーケット

バーチャルオフィス

新型コロナウイルスの影響で、リモートワークに移行した企業も多いかと思います。
が、リモートワークは従来のような対面での会話ではなく、メールやPCの画面上での会話が主体となる為、メンバー間のコミュニケーション不足、それに伴う仕事の効率性低下、などの課題もあります。

こういった課題を解消する為に、メタバースを活用した「バーチャルオフィス」の注目が高まっています。

メタバースのバーチャルオフィスでは、資料・画面の共有を容易に行うことができますし、同じ空間(仮想空間)で周辺の状況を共有しながら会話をすることができます。

これにより、従来のオンラインコミュニケーションに比べてより一層自然な会話ができるようになり、コミュニケーション不足による業務課題を大きく改善できるのではないかと期待が高まっています。

まとめ:今後メタバースはどうなっていくか

以上、メタバースの概要を説明しました。

今後は、メタバースという言葉が広がるとともに、企業の参入などもどんどん進んで行くでしょう。

たとえば、先述のようにVR上でのイベント、例えば製品・アプリの展示会なども一般的になるのではないでしょうか。
数年後には現実のイベント以上に活発化していることも十分ありうると思います。

また、私たちの働き方や仕事そのものがメタバース上で置き換えられていく、という動きも進んでいくことになると思います。
近い将来、バーチャルオフィスなどが普及し、VR空間上で一緒に作業するということが当たり前になっているかもしれません。

加えて、今後はメタバース内で新たなビジネスチャンスがどんどん生まれていくでしょう。
これについては、また別の記事で改めて深堀りしていきたいと考えています。

私たちエム・ソフトもどのような形でメタバースと関わることができるか、日々考えながら仕事をしています。
そちらについての報告やお知らせも随時発信していこうと思います。

エム・ソフトでは、iOSのVR、ARアプリ製品の開発、ソリューション提供等を行っています。
これらの技術を活用したアプリケーション開発のご相談や、各種デモ・事例紹介のご依頼など、お気軽にご相談下さい。

詳しくは、エム・ソフトのウェブサイトで

(Visited 1 times, 1 visits today)
関連記事
Translate »