第9回 NaRDA ナショナル・レジリエンス・デザインアワードのノミネート作品を発表
2022年10月31日

ノミネート作品

審査員の方々による厳正な審査の結果、合計11作品をノミネートいたしました。

  • ナレッジフュージョン株式会社

    RNNで予測した地震動による橋梁の動的解析
    -防災分野におけるAI技術の適用事例-
    使用プログラム:Engineer’s Studio®

    我が国では南海トラフ地震や首都直下地震などの大規模地震発生の切迫性が指摘されている。未曾有の大地震からインフラを守るには、将来発生する地震動を今まで以上に精度良く予測することが重要である。近年、AI技術が目覚ましい発展を遂げており、AI技術のうち時系列データを扱えるRNNを用いて将来発生する地震動の予測を試みた。その結果、従来の設計地震動では耐震性能を満足するとされた橋梁でも、RNNで予測した地震動では耐震性能を満足しないことを確認した。本作品は、防災分野においてAI技術を適用した一例を示すものである。

 

  • 株式会社屋部土建

    ケーソン基礎温度応力解析によるひび割れ検討及び対策工
    -パイプクーリングによるひび割れ対策検討事例-
    使用プログラム:JCMAC3

    対象構造物は河川内に築造する新設の橋脚ケーソン基礎である。計画ではケーソン基礎躯体部現場打コンクリートの壁厚が1.5m~1.8mのマスコンクリートであり、温度応力によるひび割れの発生が懸念される。そのため、ひび割れが発生する箇所を把握し適切な対応を講じる必要があった。本解析はJCMAC3を使用した対策工なしの逐次弾性温度応力解析及び、ひび割れ発生防止対策工としてパイプクーリングを考慮した同解析を実施し、その効果を検討した事例である。

 

  • 宇部興産コンサルタント株式会社

    アーチ水路橋の耐震性能照査
    -フレーム要素+平板要素を用いた無筋コンクリート橋の解析-
    使用プログラム:Engineer’s Studio®

    通潤橋に代表されるようなアーチ水路橋は農業用水路として建造されたものであるが、現在では景観的価値、土木遺産的価値も高い。本橋は無筋のアーチ水路橋であり、主構造として下部工(柱)とアーチ部と水路部から構成されるが、アーチ部と水路部の間には間詰めコンクリートが存在する。解析モデルとして、間詰めコンクリート部を剛体としてモデル化する方法も考えられるが、できるだけ実構造に近づけるため、フレーム要素および平板要素を用いて無筋アーチ水路橋全体をモデル化し、静的解析および動的解析を行い、レベル2地震動に対する耐震性能照査を実施した。

 

  • 若鈴コンサルタンツ株式会社

    水道管の液状化解析
    -液状化による地盤変形と管路への影響検討-
    使用プログラム:地盤の動的有効応力解析(UWLC)

    本解析対象は、農業用水道管が地震時に液状化する地盤でどのような応答するのか、地震応答解析を行った。解析モデルとしては、3断面とした。通常の埋め戻し、コンクリートボックスで周辺を養生する場合、屈曲部に相当するので外力を別途考慮する場合を検討した。検討した結果、液状化は表層近くに限定的であり、大きな変形が発生しないことがわかった。応答波形について波長算出や間引きなどのデータ処理をした。

 

  • 株式会社地球技研コンサルタント

    既設配水池の現況再解析、補強耐震性能照査
    -常時ケースNG対策と配水機能維持を両立する補強案-
    使用プログラム:Engineer’s Studio®、
    地盤の動的有効応力解析(UWLC)

    既設配水池の耐震性能照査を実施した。現況解析を実施した際、竣工時の設計の荷重の考え方に問題があったため修正して解析したところ、常時でもNGとなるほど照査結果が厳しくなってしまった。また補強においても配水池の機能を妨げないようにすることや、周辺も建物等が隣接し用地が少ないという厳しい制約が生じたが、複数の補強工法を検討してFEM解析を行った結果、制約を満たしつつ耐震性能も満足する補強案を決定することができた。

 

  • 富士コンサルタンツ株式会社

    昭和30年代に造られた鋼単純トラス橋の耐震性能照査
    -大規模地震時に効果を実感できる先人たちの知恵-
    使用プログラム:Engineer’s Studio®

    本橋は、上路式の鋼単純トラス橋である。昭和34年竣工という古い橋梁であることや、重量のある床版がトラス構造の上方にある、いわゆるトップヘビーと言われる構造であることから、大規模地震時に降伏点を超過する箇所が多数出現し、多くの補強を施す必要があることが予想されたが、”先人たちの知恵”によって最小限に抑えられている。ここでは、動的解析によるレベル2地震時の耐震性能照査や検証解析の結果より、”先人たちの知恵”に思いを巡らせることとする。

 

  • 株式会社キタコン

    ボックス構造を有する河川橋梁の耐震性能照査
    -函体と杭を一体とした静的非線形解析-
    使用プログラム:Engineer’s Studio®

    本業務は河川橋の掛替えのため、3連ボックスカルバート構造として設計したものである。旧橋は橋梁構造だったが、橋梁構造では桁下余裕高を確保できないことや、交差点の存在により施工ヤードの確保や用地買収が困難だったため本形式が採用された。3連ボックスカルバートで杭基礎構造となること等の条件から、カルバート工指針が対象とする「従来型ボックスカルバート」の適用範囲を超えるため、道路橋示方書、水門・堰の計算例などを参考に函体と杭を一体構造とした骨組みによる、静的非線形解析を用いて耐震設計を行った。

 

  • 株式会社萩原技研

    橋台新設施工時の温度ひび割れに対する事前検討
    -マスコンクリートのひび割れ制御指針に基づいた解析事例及びその対策例-
    使用プログラム:JCMAC3

    単純桁橋の橋台施工時において、橋台の壁厚さが設計より1.95mのマスコンクリートとなる。そのため、現場コンクリート打設時に温度応力によるひび割れの発生が予想される。設計段階から施工段階となった時にひび割れ解析を実施しその対策が必要とされるため、今回は初期の施工計画に対してマスコンクリートの温度応力解析をJCMAC3にてシミュレーションを行った。また、初期の計画案で予想通りひび割れが発生したため、養生期間や打ち込み温度を変更したシミュレーションも行った。

 

  • 株式会社KRAY

    複合構造橋脚を有する既設跨線橋のレベル2地震時動的非線形解析
    -昭和初期に建設された橋梁の最新地震時荷重による耐震検討-
    使用プログラム:Engineer’s Studio®

    本橋は、昭和初期に建設され、中央の3橋脚は下部をRC構造、上部を7本のラチス柱をトラスで緊結して一枚板とした鋼製トラス脚を有する複合構造として施工された4径間連続鋼鈑桁跨線橋である。建設から80年を経過し、最新の地震時荷重を考慮した場合の耐震性能検証を目的に、レベル2地震時での動的非線形解析を行った。上部構造および鋼製トラス脚部を弾性梁要素、下部構造を非線形梁要素(M-φ要素)とし、柱基部には塑性ヒンジばねを設置してモデル化した。照査の結果、RC部材でのせん断耐力と鋼製トラス脚部材での曲げ圧縮応力度で許容値を超過する部材が見られ、今後の補強検討を行う際の基礎データとして確認された。

 

  • 株式会社山栄設計事務所

    下水道施設近接施工影響検討
    -本体工事を組み入れた掘削による影響軽減検討-
    使用プログラム:Geo Engineer’s Studio

    本地点は、河口部に位置し地盤は地表面から約30mの軟弱層が堆積している。近くに既存の鉄道が走り軌道面から28.5mの位置から掘削深6m、掘削幅27.2mを土留め掘削を計画した。FEM解析では、土留め工の鋼矢板Ⅲ型を21.5mまで打設しても、切梁や中間杭がないオープンな掘削では軌道面に影響が大きいことが判明した。そのため、剛性の高い土留め工として鋼管矢板、地盤改良など種々の検討を経て、部分掘削と本体工事を同時施工することで、本体構造物をカウンターウェイトとして利用することで所要の変位量内に収めることが可能と結論づけた。

 

  • 株式会社エスケイエンジニアリング

    推進管立坑近接施工影響検討
    -鉄道軌道に近接して掘削する立坑施工影響解析-
    使用プログラム:Geo Engineer’s Studio

    既設の鉄道の直下を横断するように推進管を通すため、発進立坑を計画した。掘削幅は8.0m、掘削深さは7.5m、奥行き幅5.6mの大きさとし鋼矢板Ⅳ型で土留めを行い、奥行き方向に2段切梁、掘削幅方向に2段でH400, H500の2本組の腹起しを計画した。掘削中心から軌道面まで20.46mの距離があり、立坑掘削時に影響が懸念された。本対象は地盤改良を掘削領域周囲に施したモデルとし、土留め、腹起しで剛な仮設工が施されているため、梁部材の剛性を奥行き幅1mに換算し2次元FEM解析を実施した。

ノミネート作品審査会の様子

フォーラムエイト東京本社セミナールームにて
ノミネート作品審査会を実施

ノミネート作品審査中の様子

審査員 左から吉川弘道氏(審査委員長)、守田優氏、若井明彦氏

詳しくは、フォーラムエイトのウェブサイトで。

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