管理人のイエイリです。
大阪のベッドタウンとして高度成長期に開発された千里ニュータウンは、1962年の「まちびらき式」から50年が経過しています。
当然、建物の老朽化や人口減、居住者の高齢化も進んでいます。一方、昔の団地なので容積率などに余裕があるというメリットもあります。
そこで大和ハウス工業と住友商事は1965年に建設された「藤白台B団地」と1964年に建設された「千里丘陵G団地」の合計6万4000を集約し、高層化して建て替え、その結果生まれた余剰地など約2万7000m2の敷地に「(仮称)北千里プロジェクト」(総戸数539戸)という巨大なマンションを建設することになりました。
「(仮称)北千里プロジェクト」のA棟とB棟(資料・写真:大和ハウス工業) |
この新しいマンションは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
スマートマンション仕様
となっているのです。
大和ハウス工業が独自に開発した住宅用エネルギー管理システム「D-HEMS」を国内のマンションとしては初めて導入し、各戸の回路別・時間帯別の電力使用量を見える化するほか、スマートメーターを設置して電力の需要を制御するためNTTファシリティーズのデマンドレスポンスサービス「EnneVision」を導入します。
約30kWの太陽光発電システムを導入し、共用部の照明や非常用コンセントの電力として活用します。また共用部にはEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)用の充電コンセントも設置します。
デマンドレスポンスサービス「EnneVision」のイメージ |
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iPadをモニターとして使用する「D-HEMS」(左)とエントランス用の地中熱利用換気システム(右) | |
各戸に設置される高効率給湯器「エコジョーズ」(左)とLED照明(右) |
マンションの建物や施設もエネルギー使用を少なくできるように「パッシブデザイン」が施されています。例えば各戸には外出時に自然換気で熱気を放出する換気ユニット窓や断熱性の高い複層ガラス、節水便器、お湯が冷めにくい断熱浴槽などが導入されます。照明にはLED照明、潜熱を生かしエネルギーが約95%という高効率給湯器「エコジョーズ」を採用しました。
敷地内の歩道などには「透水性ブロック」、コミュニティー広場にはミストシャワーを導入してヒートアイランド現象を緩和するほか、雨水貯留タンクを設置して植栽への散水などに活用します。共用エントランスには地中熱を利用した換気システムを採用し、夏は涼しく、冬は暖かい空気を供給します。
また、災害にも打たれ強い対策が用意されています。共用のEVには24kWhの蓄電池が搭載した車種が使われており、停電時には
EVを非常用電源
として活用します。
このほか、敷地内には炊き出し用のかまどになる「かまどベンチ」や、停電時には自動点灯して足元を照らし、取り外すと懐中電灯として使えるLED保安灯も設置されます。
このほか、マンション内の防災倉庫には、組み立て式の簡易トイレ「非常用マンホールトイレ」、自家発電機、仮設照明、煮炊きレンジなどの災害用備品が用意されています。
停電時には共用のEVを非常用電源として使える(左)。かまどベンチや非常用マンホールトイレのイメージ(右) |
最新のスマートマンションが建設されると、千里ニュータウンも新しい時代を迎えそうですね。老朽化が進む全国各地の団地でも、こうした再開発は参考になりそうです。