建築設備の試運転調整といえば、現場の施工管理者が各部屋を回り、風量や温度、湿度、照度などを1つずつ測定していく、地味ながらも手間のかかる作業でした。
最近では空調の給排一体型制気口が増えており、風量計測だけでも対応が難しくなっています。さらに現場の人手不足もあり、照度や湿度など室内環境の計測を自動化したいという要望が高まっています。
こうした空調工事現場のお困りごとに応えて、三機工業(本社:東京都中央区)は「複合機能計測ロボット」を開発しました。
風量計測と室内環境計測を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
1台のロボットでこなせる
のです。(三機工業のプレスリリースはこちら)
同社は2020年に風量計測ロボットを開発・運用してきましたが、今回、その機能を拡張し、風量から温度、湿度、照度までを1台で自動計測できるロボットを完成させました。
施工図面から計測ポイント情報を自動で読み取り、現場を自律走行しながら各測定に順次移動し、計測を行います。
風量、風速、温度、湿度、照度といったデータはリアルタイムでクラウドに送信され、設計者や現場管理者が同時に確認可能。さらに、計測データは帳票として自動生成されるため、従来のような手作業による集計や報告の手間が不要となりました。
まさに、建築設備の試運転業務を一気に省力化するロボットです。
今回の開発で、空調の吹き出し口と吸い込み口が一体化された制気口にも対応できるようになりました。
その精密な位置決めには、
カメラで制気口を自動認識
し、移動テーブル制御と組み合わせて位置を位置を微調整する機構を採用しました。
三機工業では、2025年度中にこのロボットの試験運用を開始する予定です。
これからも建設現場には様々なロボットが導入されていきそうですが、単機能ロボットが増えると、置き場所や稼働率の低下といった新たな課題も生じます。
風量と環境計測という「1台2役」をこなすこのロボットは、一人の人間が複数の業務を器用にこなすような存在。今後の建設ロボットは、人間のような“多機能”を目指す方向に進化していくのかも


















