土木のBIMを活用!岩手県大槌町の震災復興計画を3D化
2012年3月5日

管理人のイエイリです。

三陸海岸に面する岩手県大槌町は、東日本大震災による巨大津波の被害を受け、中心部が壊滅的な被害を受けました。町長や町の幹部職員をはじめ800人以上が亡くなり、400人以上が行方不明となり、3700棟以上の家屋が半壊・全壊しました。

一時、機能不全に陥った町役場ですが、震災後は大槌小学校の校庭にプレハブ建物を建設して業務を再開し、町の復興計画作成に取り組んでいます。

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壊滅的な被害を受けた大槌町の市街地(左)。小学校の校庭に建設された町役場(右)(写真:家入龍太。以下、同じ)

ただ、地図上に避難道路や住宅地、防潮堤などのインフラ施設を描いただけでは、「町から海が見えるのか」など、復興後の町がどんなイメージになるのかが一般の人には分かりにくい面がありました。

そこで、復興計画案を分かりやすくするため、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

復興計画案を3D化

 

したのです。

使用ソフトは、オートデスクが昨年11月に「土木インフラ用のBIMソフト」として発売した、「Autodesk Infrastructure Modeler 2012」です。(どんなソフトなのかは、当コーナーで以前掲載した記事に詳しく紹介してありますのでご覧ください)

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現在の市街地

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復興計画を3D化し、同じ角度から見たもの。防潮堤を建設しても市街地から海が見えることが分かる

2月初旬に、3Dモデルを使った復興計画案の検討作業に同席させてもらいましたが、計画を3D化することで、紙の図面や地図では分からなかった課題がすぐに分かります。

例えば、山地に計画した道路の勾配が大きくなりすぎてクルマが通れそうにないこと、高地を平らに造成して住宅地を作ると残った斜面が急になりすぎることなどです。勾配や高低差については計算するまでもなく、視覚的に一発で問題点が分かるのが強みです。

3Dモデルは町長や町の職員にも好評で、地元のテレビや新聞などにも取り上げられています。

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大槌町役場での3Dモデルを使った検討

復興計画案を3Dモデル化したのは「いわてデジタルエンジニア育成センター」(岩手県北上市)です。もともとは

 

製造業向けの3D技術者

 

を養成する公的機関ですが、3D技術で被災地を支援しようと、機械技術者がInfrastructure ModelerやAutoCAD Civil 3Dなどの建設用ソフトを特訓し、短期間で町内全体の計画を3D化しました。

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いわてデジタルエンジニア育成センターが入居する建物(左)。オフィスには3Dプリンターや3Dプロッター、3Dスキャナーなどの設備がいっぱい(右)

今回、製造業系の技術者が建設コンサルタントに先んじて、復興計画案を3D化したことはある意味、ショックな出来事と言えるでしょう。土木技術者も3DやBIMの活用を進めて行きたいですね。

【参考記事】
岩手県大槌町の震災復興計画を3Dでモデル化、Autodesk Infrastructure Modelerで被災地を支援

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