管理人のイエイリです。
電線を地中に移設する無電柱化など、地中設備の工事は狭い道路や歩道で行われることが多く、土砂やコンクリートの運搬には、「ねこ車」と呼ばれる一輪車がよく使われます。
しかし、1度の運搬で約70kgもの資材を積み、何度もトラックから施工場所まで往復するのは、大変な重労働です。特に建設業で働く人々は、他産業に比べて高齢化が進んでおり、作業の軽減化が課題になっていました。
そこで、東京電力パワーグリッド(本社:東京都千代田区)は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ねこ車を電動化
することで、運搬スピードの大幅アップに成功したのです。(CuboRexのプレスリリースはこちら)
同社は2023年12月13日、電動化キットのメーカーであるCuboRex(本社:東京都葛飾区)と共同で、東京・渋谷区鉢山町の無電柱化工事現場で、ねこ車の電動化による施工効率について実証実験を行いました。
ねこ車の電動化に使ったのは、CuboRexが開発した一輪車電動化キット「E-cat kit2」です。普通のねこ車のタイヤをモーター内蔵のオフロード仕様のタイヤに交換し、アクセルやブレーキ、バッテリーなどを取り付けるものです。
ねこ車の機動力はそのままで、登坂角度25度、100kgの荷物も楽に運搬できるようになります。(詳しくは、2022年1月11日の当ブログ記事を参照)
今回の実証実験では、アスファルト舗装の道路で、5m3の土砂を1回、約70kgずつ運搬しました。
その結果、特にねこ車の動き出しの労力が軽減され楽になったほか、狭い現場でのクランクや曲がり角など通常はきついと感じる部分もスムーズに通行できました。
また、掘削溝の縁にねこ車を止めて土砂を埋め戻す際には、ブレーキによって安心して作業ができたとのことです。
実証実験の結果、通常の人力に比べて、電動化されたねこ車は運搬作業時間が平均30秒から18秒へと40%近く短縮され、
作業効率が1.65倍
に向上したことが明らかになりました。
つまり、ねこ車の電動化によって人間の運搬能力が“超人化”されることが、データとして実証されたわけですね。
通常の工程表では「埋め戻し・転圧」などと1つにまとめて表記される工程を、「運搬」→「転圧」→「測定」に分けて分析することで、運搬の部分を電動ねこ車で時短するというアイデアも生まれてきます。
こうした繰り返し作業では、工程の細分化によって、ミクロな時短のターゲットを見つけて、生産性向上を図ることも有効ですね。