管理人のイエイリです。
建物の断熱工事で発泡ウレタンの吹き付けや、不陸調整のためにコンクリートを増し打ちなどの作業で、設計で確保すべき厚さを計測する作業は今、ほとんど手作業で行っています。
精度確保のためには計測頻度を増やす必要があり、そのたびに作業を中断していると効率的な作業ができませんね。
この計測を効率的に行うため、長谷工コーポレーションは、NHK財団(本部:東京都世田谷区)と共同で、「厚さ計測システム」を開発しました。
施工の前と後、
ナ、ナ、ナ、ナント、
壁面にチェック柄
をプロジェクターで映写し、それをカメラで撮影して厚さを割り出すのです。(長谷工コーポレーションのプレスリリースはこちら)
チェック柄と言えば、あの大ヒットアニメ「鬼滅の刃」の主人公が来ていた羽織や、東京オリンピックの市松模様を思い出します。最新流行の施工管理システムを感じさせますね。
このシステムは、壁の正面に設置したプロジェクターからチェック柄のグリッドを投影し、斜めからデジタルカメラで撮影します。
施工前後、それぞれ同じ位置から投影と撮影を行うのがポイントです。
カメラで撮影した施工前後の画像データをパソコンに取り込み、
グリッド交点の差
を解析して、厚さを自動算出します。
品質管理の用途としては、発泡ウレタンの吹き付け後の厚さ確認やコンクリート打設後の不陸確認、床・壁・天井などの下地の不陸確認などがあります。
このシステムは、両社が「先端映像技術の建築分野への展開」に関する共同研究契約を締結し、NHK財団の高度な画像処理技術による寸法計測技術や建物診断技術を活用した開発の一環として生まれました。
長谷工では今後、現場のさまざまな作業でこのシステムの検証を進め、2024年度中の本格導入を目指しています。
開発が進んで、もし、ウレタンなどの吹き付け作業中に、リアルタイムに厚さ分布が分かるようになると、職人さんの作業効率も上がりそうですね。
一方、粉じんが飛び交う中でのプロジェクターやカメラの防護方法や、施工後にこれらの機器を同じ場所に再設置するなど、“タフな建設DX”ならではの課題克服にも注目したいです。