管理人のイエイリです。
鹿島はロボット建機を使った施工の自動化システム「A4CSEL」の開発を進めています。
その山岳トンネル版「A4CSEL for Tunnel」で、掘削直後のトンネル内面が崩れないようにコンクリートを吹き付けるため、新型の「2ノズル自動吹き付け機」を開発しました。
2本のアームに吹き付けノズルが取り付けられ、1本アームに比べて半分の時間で作業できるのはもちろん、1人のオペレーターが2本のノズルを、
ナ、ナ、ナ、ナント、
“二刀流”で操作
できるのです。(鹿島のプレスリリースはこちら)
この新型吹き付け機は、以前に開発された(1)1ノズルによる自動吹き付けシステムと。(2)エレクター(把持装置)付き2ノズル吹き付け機を融合し、自動化したものです。
吹き付け前に掘削最前面の切羽を3Dスキャンして形状を計測し、平滑な仕上がり面となる最適な吹き付けを自動的に行うことができます。
左右のノズルが、それぞれの吹き付け動作を効率的に行うようにプログラムを改良したほか、自動吹き付け作業中はエレクターや左右ノズルのアーム挙動を監視して、衝突を防いだり、互いに可動速度を調整し合う競合防止機能を備えています。
その結果、1人のオペレーターが2つのノズルを使って、効率的に吹き付け作業が行えるようになりました。自動吹き付け能力は毎時48m3です。
さらに吹き付け作業時間は、従来の1ノズル自動吹き付けと比べて約50%短縮できることが実証されました。オペレーターが半減したことを考えると、労働生産性は約4倍にアップしたわけですね。
このほかコンクリートの吹き付け後、鋼製の支保工をトンネル内壁に建て込む作業を大幅に省力化する「建て込みガイダンスシステム」も開発されました。
支保工をエレクターブームという装置で切羽に取り付けるためには、目標位置までブームの関節角度や伸縮量を調整して動かす必要があります。
このシステムでは、これらの数値を計算してエレクターブームを遠隔操作し、所定の位置に支保工を建て込めるようにしました。
そして支保工には、「ワンタッチジョイント」と「固定用アンカー」をあらかじめ備えたものを開発しました。
これを使うことで、これまでオペレーター2人と切羽近くで作業する技能者3~4人が必要だった支保工建て込み作業を、
オペレーター1人
で行えることを実証したのです。
鹿島が開発を進める「A4CSEL for Tunnel」では、山岳トンネル工事の掘削作業を6つの施工ステップに分け、重機による自動化と一元管理の実現を目指しています。
今回の2ノズル自動吹き付け機と、建て込みガイダンスシステム、専用支保工の開発によって、山岳トンネル工事の生産性と安全性は、大幅に向上したと言えそうです。