管理人のイエイリです。
軽量の鋼製部材で枠を作り、天井板をはめ込むシステム天井は、軽量天井(軽天)と呼ばれ、施工が簡単なのでコストダウンや工期短縮、そしてメンテナンスの省力化のため、多くの建物で採用されています。
その施工には、フロア全面に足場を設置し、施工後は撤去するという手間がかかっていました。
その施工を合理化するため、テムザック(本社:京都市上京区)と鹿島は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
世界初の天井施工ロボ
を開発したのです。(テムザックのプレスリリースはこちら)
ロボットは6台からなり、(1)吊りボルト、(2)メインTバー、(3)サブTバー、(4)天井ボードと、4つの施工を分担します。
まず(1)吊りボルト施工ロボットは、ビルの躯体に埋め込まれているナットに、天井枠となるTバーを吊り下げるためのボルトを設置するものです。
天井には設備やケーブルが既に取り付けられているため、これらを認識しながら作業の可否を判断し、正確にボルトを挿入します。
天井枠は格子状になっているので、部材には“勝ち負け”があります。このうち長い「勝ち側」のTバー部材を取り付けるのが、(2)のメインTバー施工ロボットで3台がチームになって共同作業を行います。
1台はTバーの運搬と、吊りボルトとTバーを金物で固定する作業を行います。もう1台は長いTバー同士を長手方向に連結、固定します。最後の1台はTバーと残りの吊りボルトを固定します。
長いTバー同士を連結する時は、3台のロボット同士が自分の位置やTバーの位置の情報などを共有して共同作業を行います。その制御には、各ロボットに搭載されたエッジAI(人工知能)も使っています。
その後、「負け側」のサブTバーを、(3)のサブTバー施工ロボットによって取り付けます。既に施工されたメインTバーに当たらないように、短いサブTバーを斜めに持ち上げ、その後取り付け方向に回転させて取り付けます。
そして最後の工程は、(4)天井ボード施工ロボットによる作業です。メインとサブのTバーが格子状に組み上がった間から、天井板を上に持ち上げ、Tバーの上に下ろすという難易度の高い作業を担います。
いったい、どのようにして天井板を枠の上に持ち上げるのかと思いきや、
上下、水平方向に傾けて
枠を斜めに通過したのです。
こうした軽量天井の工事は、Tバーの端部の金具を穴に通したり、カシメたりといった細かい位置決めや作業がありますが、よくぞ、ここまで実現したものだと感心しました。
もちろん、工程の一部や端部は人間による施工が必要ですが、将来、これらのロボットは軽天屋さんの“子分”として一緒に作業することになるかもしれませんね。