鉄建建設が建物の遮音検討をBIM化! 騒音のパーツ化、表計算との連携で生産性10倍以上に
2024年7月29日

管理人のイエイリです。

集合住宅やホテルの設計では、室内の静かさを確保するために、建物の外周壁に含まれる窓や換気口の遮音仕様を決めるための検討作業があり、いまだに結構な手間ひまがかかっています。

例えば、遮音検討の「入力データ」として、各部屋の外周壁の外側に、外部の道路などからどれくらいのレベルで騒音が伝わってくるのかを計算する作業があります。

これまでは、建設予定地の様々な高さにマイクを設置して、外部騒音を測定していました。さらに表計算ソフトで、遮音性能の計算を行う時は窓の面積などを、設計者が図面から読み取ってデータ入力する必要もありました。

建設予定地での騒音測定作業の例。様々な高さにマイク(赤丸内)を吊し、騒音レベルなどを計測(左下の機器)する作業

建設予定地での騒音測定作業の例。様々な高さにマイク(赤丸内)を吊し、騒音レベルなどを計測(左下の機器)する作業

そこで鉄建建設は、建物外周壁開口部の遮音検討作業をスピーディーに行うため、

ナ、ナ、ナ、ナント、

BIMアドインツール

を開発したのです。(鉄建建設のプレスリリースはこちら

各部屋の外周壁に届く外部騒音は、建物や道路などのBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデル上に、騒音発生源の「音源パーツ」や、騒音到達点の「測定点パーツ」を配置するコマンドを用意し、BIMソフト上で自動計算できるようにしました。

BIMモデルによって各部屋の外周壁に届く騒音を自動計算するイメージ

BIMモデルによって各部屋の外周壁に届く騒音を自動計算するイメージ

また、各部屋の用途や外周壁開口部の遮音仕様の設定、室内騒音レベルの目標値、計算結果の判定までを、表計算とBIMソフトが連携できるようにすることで、遮音仕様の検討をBIMソフト上で行えるようにしました。

その結果、これまでのように図面と表計算ソフトを見比べながら手入力する面倒な作業はなくなりました。

計算の結果、室内騒音が目標値を超えた場合には、目標値を満足する遮音性能が定まるまで繰り返し行い、Excelファイルで計算結果の保存や計算過程の一覧を表示できるようにしました。

BIMアドインツールのフローチャート。遮音仕様の検討に必要な作業は、BIMソフト上で行えるようになった

BIMアドインツールのフローチャート。遮音仕様の検討に必要な作業は、BIMソフト上で行えるようになった

計算結果の表示例。室内騒音の計算結果が目標値を超えた場合は下のように赤地で表示され、遮音仕様が決まるまで計算を繰り返し行う

計算結果の表示例。室内騒音の計算結果が目標値を超えた場合は下のように赤地で表示され、遮音仕様が決まるまで計算を繰り返し行う

このアドインツールによる予測計算精度は、従来の表計算による場合と同等であることが確認されました。

そして、予測検討要する作業時間は、従来の比べて

10分の1以下に短縮

されたのです。

つまり、設計者の労働生産性は10倍以上に向上したことになりますね。こうしたちょっとした手作業をアドオンツールなどで自動化していくことが、BIMならではの生産性向上の原動力になりそうです。

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