管理人のイエイリです。
建築設計の初期段階って、意外と“重い作業”が多いですよね。頭の中には空間のイメージがあるのに、それをBIMに起こすにはパソコンを開き、マウスで部材を選び、コマンドを追いかけて、やっと形になる。
しかも、打ち合わせの場で「ここを少し変えたい」と言われても、その場では直せず、事務所に戻ってから修正、という流れになりがちです。
施主や発注者に説明する時も同じです。パースを見せても、「もう少し明るい感じで」「ここに緑がほしい」と要望が出て、また持ち帰って作業する。建築設計者は、設計そのものだけでなく、こうした“伝えるための手間”にもずいぶん時間を取られてきました。
そんなお困りごとも、これからは昔話になるかもしれません。
株式会社ACIMUS(本社:神奈川県川崎市)が、生成AIとの対話でBIMモデルを作成・編集できるクラウドサービス「ACIMUS」のモバイル機能を進化させ、
ナ、ナ、ナ、ナント、
“電車内BIM”
もできそうな世界に踏み込んできたのです。(ACIMUSのプレスリリースはこちら)
スマホやタブレットとAIでBIMモデルの作成が可能になったアプリ「ACIMUS」(以下の資料:株式会社ACIMUS)●
2025年に発表された「ACIMUS(アキムス)」は、「AIでBIMが作れるのか」と話題になりました。(2025年6月25日の当ブログ参照)
今回の進化で、これまでパソコン中心だったBIMモデルの作成や編集作業を、スマートフォンやタブレットのWebブラウザでも行えるようになりました。専用ソフトのインストールは不要です。スマートフォンを縦に持てば3Dキャンバス中心の画面、横にすればPCに近いレイアウトに自動で切り替わります。
面白いのは、スマホで細かい操作を無理に頑張る発想ではないことです。「この壁に窓を付けて」「リビングに椅子を置いて」と日本語で指示すると、生成AIがそれを解釈し、BIMモデルをリアルタイムに作成・編集してくれます。
モバイルBIMの操作画面(左)とスマホ画面上でウオークスルーできるジョイスティック操作(右)●
つまり、マウスやコマンド選びの代わりに、言葉でBIMに指示するわけです。小さな画面でも、細かい操作をAIとの対話で補えるのがミソですね。
株式会社ACIMUSは、これを「ChatBIM」と位置付けています。企画から基本設計に当たるLOD100~300の前工程にフォーカスしているのも特徴です。作成したモデルはIFC形式(2×3/4/4.3)でエクスポートでき、Autodesk RevitやGraphisoft Archicadなど既存のBIMソフトとも連携可能です。
今回のバージョンアップでは、「AIペンスケッチ」も加わりました。生成済みの建築パース画像や、モバイル端末で撮影した現地写真の上に、指やスタイラスペンで直接書き込み、その内容をもとにAIが新たなパースを再生成する機能です。
「壁を白に」「窓の外に緑を追加」など、言葉とスケッチで修正指示を与えると、数十秒で新たなパースが出てくるのです。BIMモデル作成からパース生成、修正までをワンストップで回そうという考え方が見えてきます。
「AIペンスケッチ」機能。細かいマウス操作の代わりに朱書きと言葉で変更内容を指示する●
もう一つの見どころは、住所を入れるだけで
街並みパース
が作れる新機能「3Dマップ」です。
設計中の建物の周辺にある実在の建物や街並み、地形を、フォトリアリスティックな3D背景として表示できます。その中に設計中の建物のBIMモデルを置き、見たい方向へカメラを振って「建築パース生成AI機能」を実行すると、周辺環境を含んだ外観パースが数十秒で生成されます。昼景も夜景も想定されていて、「ここに建つとこう見える」をその場で見せられるわけです。
住所を入れるだけで街並みパースが作れる「3Dマップ」機能●
夜景のパースも自動作成できる●
しかも、パースを見た施主から「ここを少し変えたい」と注文が出たら、スマートフォンやタブレットを見せながら、その場でパースに反映し、確認してもらうこともできます。この“建築マジック”は、施主との打ち合わせを盛り上げてくれそうですね。提案のスピードや、合意形成のテンポも変わってきそうです。
人手不足と時間短縮が大きな課題になっている建設業界では、こうした“軽くて速いBIM”は、設計者の働き方改革を支える道具として期待できそうで、今後がちょっと楽しみですね。

















