福島第一3号機の炉内をドローン空撮! 東京電力HDが執念の調査
2026年3月25日

管理人のイエイリです。

福島第一原子力発電所では、将来の燃料デブリ取り出しに向けて、様々なプロジェクトが進んでいます。

しかし、相手はメルトダウンを起こした原子炉です。放射線量が高く、内部の状況確認だけでも容易ではありません。

そんな中、東京電力ホールディングス(本社:東京都千代田区)は、3号機の原子炉格納容器(PCV)の内部を詳細に調べる新たな調査に乗り出しました。

3号機の原子炉圧力容器(左)と、今回、撮影が行われたPCV下部のエリア(右)(以下の写真、資料:東京電力ホールディングス)

3号機の原子炉圧力容器(左)と、今回、撮影が行われたPCV下部のエリア(右)(以下の写真、資料:東京電力ホールディングス)

格納容器の内外を分けるペデスタル壁と開口部

格納容器の内外を分けるペデスタル壁と開口部

ペデスタル壁の内部。メルトダウンによって溶け落ちた原子炉部材が見える

ペデスタル壁の内部。メルトダウンによって溶け落ちた原子炉部材が見える

これまで見たくてもなかなか見られなかった内部の撮影に成功した方法とは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

マイクロドローン

による空撮だったのです。(東京電力ホールディングスのプレスリリースはこちら

原子炉格納容器内の撮影に使われたマイクロドローン

原子炉格納容器内の撮影に使われたマイクロドローン

3月5日に行われたドローンの遠隔操作室での準備作業

3月5日に行われたドローンの遠隔操作室での準備作業

3号機の内部調査は2026年3月5日から19日にかけて行われました。使われたマイクロドローンは、130×120×40mm、重量95gという手のひらサイズです。2.7KカメラとLED照明を備え、無線通信で飛行し、約13分飛べる仕様です。

このドローンを遠隔操作し、メルトダウンによって内部に落下物や付着物が残る原子炉格納容器内を空撮したのです。

しかも、ちょっと中をのぞいた程度ではありません。格納容器内のペデスタル外、ペデスタル内と段階的に調査し、原子炉圧力容器(RPV)内から落下したとみられる構造物や付着物、さらにRPV底部とみられる構造物まで確認したとのこと。

今後、取得した映像の点群化も進めるとのことです。

3号機ペデスタル内の映像

3号機ペデスタル内の映像

ペデスタル内の下部の映像

ペデスタル内の下部の映像

公開されている動画の例(画像をクリックすると動画サイトに飛びます)

公開されている動画の例(画像をクリックすると動画サイトに飛びます)

狭い、暗い、電波も届きにくいという条件を、マイクロドローンで突破したのは見事です。 これらの動画や詳細な資料は、同社の「動画アーカイブ」や「燃料デブリポータルサイト」で一般にも公開されています。

しかし、格納容器の隔離状態を保つ必要があるため、外から簡単に新しい開口を設けるわけにはいきませんん。

そう思いつつ、3月12日に撮影された動画を見ていて、最後に出てきたのがさび付いたパイプから突き出したカラフルな装置でした。マイクロドローンが、ここに着陸する様子も捉えられています。

動画の最後に登場するカラフルな装置

動画の最後に登場するカラフルな装置

この装置は、直径130mmという

“超小型ドローン基地”

とも言える「インストール装置」なのでした。

インストール装置のモックアップ。2台のマイクロドローンを搭載した部分が格納容器内に突き出し、ドローンを離発着させるのに使われる

インストール装置のモックアップ。2台のマイクロドローンを搭載した部分が格納容器内に突き出し、ドローンを離発着させるのに使われる

このインストール装置は、格納容器の内外を貫通する「X-53ペネ」という管から容器内に突き出すように設置され、先端には2台のドローンが離発着できるスペースが設けられています。

そして外部にはシールボックスが取り付けられ、その中からインストール装置がクローラで前進します。装置は隔離弁などを通って格納容器内へ進み、先端の離発着台からドローンを飛ばします。

これらの装置が完成するまでには、X-53ペネを模した管での走行試験や改良を繰り返し行い、過酷な現場でも支障なく通過できるようにしたそうです。

インストール装置を格納容器内に送り込む仕組み

インストール装置を格納容器内に送り込む仕組み

空を飛ぶ先端技術でありながら、最後はこうした“現場で通すための執念”がものを言う。ここが実に現場に密着した技術です。

今回の成果は、3号機原子炉格納容器内部の気中部を映像で把握し、今後はその映像の点群化まで進めるというところにあります。つまり、「見えなかった空間」が、次の計画に使える情報へ変わり始めたわけです。

建設の現場でも、狭い、暗い、危ない、入れない場所の調査はますます増えそうです。今回の挑戦は、“入れない場所をどう見るか”という建設DXの宿題に、かなり効いてきそうです。

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