管理人のイエイリです。
大規模な建築工事になると、現場が複数階にわたるため、工事の進ちょくや安全・品質管理を行うための情報収集だけでも、現場を歩き回る必要があるので大変な苦労です。
さらに、目視で収集した情報を現場外の人に伝えるとなると、アナログな方法が多く、相当な手間ひまがかかります。
この施工管理業務を効率化するため、大成建設はソラコム(本社:東京都港区)と協働で、WEBカメラシステム(愛称:BulidEYE)を開発しました。
驚くべきことは、現場に設置したカメラの台数です。これまでは一つの現場に数台というのが常識でしたが、このシステムは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
数十台から数百台
もの高性能Wi-Fiカメラの映像情報を活用して、現場の映像を漏らさず収集できるのです。(ソラコムのプレスリリースはこちら)
現場に設置するのは、ソラコムの高性能Wi-Fiカメラ「ATOM Cam Swing」です。このカメラは解像度が1920×1080ピクセルのハイビジョン画質で、遠隔操作で水平360°、垂直180°旋回させて、現場を見ることができます。
その映像情報は、クラウド上でリアルタイムに見られるほか、長期間のクラウド録画や音や動的検知機能、自動追跡機能など、現場管理に必要な多種多様な機能によって活用できます。
そのため、現場の進ちょく状況などを知りたい工事関係者は、現場担当者に聞いたり、報告を待ったりすることなく、自分でクラウドにアクセスし、必要な情報を取りに行けばよいので、遠隔による施工管理を効率よく行えます。
ただ、ソラコムが提供する生の「ソラカメ」サービスは、数台のカメラを対象とした汎用的な使用を想定して開発されたため、数百台レベルの台数に対応する仕様ではありませんでした。
そこで、大成建設は、ソラカメに搭載された外部システムとの接続用API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の機能を使い、
自社の「T-BasisX」
システムに連携させることで、大量台数の現場カメラシステムを構築したのです。
T-BasisXシステムは、建築現場で各種ロボットやAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)機器を活用するためのデジタル情報基盤として、大成建設が2020年に開発したものです。(2021年4月21日、2021年5月24日の当ブログ参照)
現場の隅々までを、どこからでも、いつでも見られるこのシステムは、現場状況を映像でリアルタイムに伝える「デジタルツイン」と言えるものです。
進ちょく管理や安全管理などの業務を、大幅に遠隔化できるだけでなく、夜間の盗難防止などセキュリティー管理にも大いに役立ちそうですね。