管理人のイエイリです。
人手不足やコロナ禍への対策として、現場業務のテレワーク化が進みつつあります。
大成建設はこのほど、TechShare(本社:東京と江東区)と協働で四足歩行ロボットを使った現場の遠隔巡視システム「T-iRemote Inspection」を開発しました。
段差や階段などを自由に乗り越えて進める四足歩行ロボットに、360°パノラマカメラやズームレンズ付きカメラ、マイクなどを搭載して現場内を走行させ、送られてきた映像や音などを、現場事務所にいながら見られるようにしたものです。
これらの写真をパッと見て、「大成建設も、ボストンダイナミクス社のSPOTを導入したんだろうな」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
SPOTの価格は800万円くらいすると言われていますので、クルマに例えると高級外車レベルです。ところが、ここで使われている四つ足歩行ロボットの価格は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
軽乗用車レベル
と、ぐっとリーズナブルなのです。(大成建設のプレスリリースはこちら)
大成建設が導入したのは、中国企業のUnitreeRoboticsが開発した「Unitree A1」と「AlienGo」という2種類のロボットです。
「A1」は重量12kgの“中型犬サイズ”で、5kgまでの荷物を搭載できます。お値段はスタンダード版が128万円(税別。以下同じ)、Explorer版が174万円となっています。
一方「AlienGo」は重量が19kgと、A1よりひとまわり大きいので18cm高までの段差を乗り越えられ、不整地での走破能力はワンランク上になります。しかし、ボストンダイナミクス社のSPOTは30kgくらいあるので、それよりも小型です。
お値段は公表されていないようですが、「500万円くらい」という情報もあります。
大成建設は、これらのロボットと現場用広域Wi-Fi環境「T-BasisX」(詳しくは、2021年4月21日付けの当ブログ記事を参照)を連携させ、携帯の電波が届かない地下や高層でも、ロボットが安全に歩行できるようにしました。
そして搭載した360°カメラで現場内の映像記録、定点写真撮影、工程進捗管理など遠隔巡視による現場管理が行えるようにしました。
面白いのは、ロボットにはカメラのほか、マイクやスピーカーも搭載されているため、
現場の作業員と遠隔会話
ができることです。
施工管理をテレワーク化するシステムでは、チャットやメールなどの文字情報で改善指示などを送るのが一般的ですが、肉声で直接、指示内容とともに「お疲れさまです」などとねぎらいの言葉をかけることで、より確実に気持ちよく、作業が行えそうですね。
大成建設では、小さい方の「A1」に“ハチ”、大きい方の「AlienGo」に“ラッシー”と愛称を付けてかわいがっているようです。
「おいハチ、ちょっと現場回って、写真撮ってこい」なんていう働き方改革が、実現しました。