管理人のイエイリです。
屋内の建築現場で、ロボットやMR(複合現実)デバイスを活用するときに問題になるのが、いかにしてWi-Fiによる通信を確保し、位置を測定するかです。
GNSS(全地球測位システム)が使えないため、これまでは自動追尾式のトータルステーションなどを使った例もありましたが、途中に障害物などがあるとすぐにロスト(位置がわからなくなること)してしまいました。
また、工事の進捗(しんちょく)とともに、Wi-Fi機器や測量機器の位置を盛り替える手間もかかっていました。
こうした問題を解決するため大成建設は、インフォキューブLAFLA(本社:横浜市中区)、PicoCELA(本社:福岡市早良区)、西尾レントオールの協力を得て、建築現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)標準基盤「T-BasisX」を構築しました。
半径50m程度をカバーするWi-Fiアクセスポイントに
ナ、ナ、ナ、ナント、
測位用受信機を一体化
することにより、ロボットや作業員などの位置を綿密に把握できるようにしたのです。(大成建設のプレスリリースはこちら)
Wi-Fiアクセスポイントには、自動的に最適な通信ルートを確保する「メッシュWi-Fiアクセスポイント」を使用しました。その結果、屋内の現場全体でインターネットの利用や高精度の位置把握が可能になりました。
また、従来のアクセスポイントに比べて、カバー範囲が大幅に広がったため、工事の進捗に伴う盛り替え作業は、約60%も減りました。
大成建設では、これらの現場無線環境と2018年に開発した「IoT活用見える化システム」を連携させて、さまざまな現場内データを収集・分析して安全・品質管理や生産性向上につなげるとともに、顧客への報告や本支店からの遠隔支援にも活用していきます。
土木現場では、重機の遠隔操作によるテレワークの取り組みが進んでいますが、建築現場でも「左官ロボ」や「耐火被覆吹き付けロボ」などによって施工のテレワークが進むかもしれません。
そして、今後はロボットやAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)活用による
建築生産プロセスのDX
を推進し、さらなる生産性向上に取り組んでいくとのことです。
さらに建物完成後の維持管理フェーズでは、「T-BasisX」に組み込まれた各種システムを、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)と建物の運用管理データを統合「LifeCycleOS」と連携させて、新たなサービスを提供します。
建物の建設段階から始まる測位・データ通信システムを起点に、建設会社のビジネスの幅は完成後まで広がっていきそうですね。