管理人のイエイリです。
山岳トンネル工事で使われる坑内の換気設備やベルトコンベヤーは、施工中は「オン」の状態で動いている現場が多いのではないでしょうか。
これらの設備は、発破直後に必要な最大の換気量や運土量に合わせて設計されるため、それ以外の時には設備が過剰になり、消費電力がもったいないこともよくあります。
こうした電力のムダを解決しようと、大成建設は山岳トンネル工事で使われる換気設備やベルトコンベヤー運転を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
作業に合わせて最適運転
できるようにしたのです。（大成建設のプレスリリースはこちら）
切羽での作業内容（左）に応じて換気設備の風量を自動制御するイメージ（右）（以下の資料：大成建設）
トンネル現場で行われる削孔→爆薬装填→発破→ずり出し→こそく（岩片や浮石を落下させる作業）→吹き付け→支保工の建て込み→ロックボルト打設という一連作業の施工サイクルと、粉じん量に基づいて、工事設備と換気設備を連携できるようにしました。
その方法は、現場の施工状況をカメラやセンサーなどのデータによってデジタルツイン化して、リアルタイムに共有し、換気設備やベルトコンベヤーを最適な強度で自動運転するものです。
山岳トンネル現場をデジタルツイン化し、換気設備などを自動制御するイメージ
換気設備の稼働実績を比較したところ、自動運転制御を導入した現場では、未導入の現場に比べて、
消費電力量を48%削減
できることを確認しました。
CO2排出量に換算すると、月間約17tに相当します。
また、吹き付けコンクリート施工時には、ベルトコンベヤーを低速運転することで、現場全体の電力消費量を抑え、契約電力量を超えないように制御することも可能です。
こそく作業と吹き付けコンクリート作業が重なる時は、ベルトコンベヤーを低速運転することで、全体の電力を抑えられる
この山岳トンネル設備の最適制御機能は、大成建設が「生産プロセスのDX（デジタル・トランスフォーメーション）」の一環として、2020年に開発した統合プラットフォーム「T-iDigital Field」に追加されました。
設備をこまめにオンオフしたり、運転スピードを変えたりするのは大変ですが、デジタルツインによる自動制御だと楽に省エネが実現できますね。
