管理人のイエイリです。
鹿島は土木工事現場のオートメーション化を目指して、自動化施工システム「A4CSEL」の開発を着々と進めてきました。
2023年には秋田県東成瀬村で同社が施工する成瀬ダム堤体打設工事の現場で、堤体材料の製造からベルトコンベヤーでの運搬、現場での敷きならし、転圧までを完全自動化し、“現場の工場化”までを実現しています。(2023年10月17日の当ブログ参照)
このシステムがさらに進化しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
バックホーとアーティキュレートダンプ
も自動化を実現したのです。(鹿島のプレスリリースはこちら)
今回の開発で、バックホーは土砂の積み込み作業を自動化できるようになりました。車体に搭載したセンサーで周囲の環境を認識したり、土砂が積まれている山の形状をリアルタイムに認識して最適な掘削が行えます。
また、アーティキュレートダンプの停止位置を認識して、最適な量の積み込みも自動的に行います。
一方、アーティキュレートダンプとは、車体の前後が中折れするようになっており、多くの土砂を積載できる一方、小回りが利くのがメリットです。そのため、山岳トンネル工事の坑内でUターンすることも可能です。
後進時は中折れ式特有のハンドル操作が必要となるので、新たに後進操作を最適に行える技術を開発し、以前に開発した最適な経路生成技術と合わせて、敷きならし場所まで最短で効率的に自動運搬できるようにしました。
こうした開発によって、自動バックホーによる積み込みから自動アーティキュレートダンプによる運搬・荷下ろし、自動ブルドーザーによる敷きならし、そして自動振動ローラーによる転圧に至るまで、
一連の盛り土作業を自動化
したのです。
この技術は、神奈川県小田原市にある鹿島西湘実験フィールドで4種類の重機を使って実証実験を行い、有効性を確認しました。
このほか自動ブルドーザーは、AI(人工知能)による土砂形状の認識や、階段状やスロープ状の整形にも対応できるように進化しました。
また自動振動ローラーも、専用の作業計画システムを開発し、複雑な形状や狭いエリアでの作業が可能になりました。
自動化施工は人手不足対策になるだけでなく、有人運転に比べて燃料の消費量を40~50%も削減できるため、地球温暖化対策にも有効です。(2023年6月13日の当ブログ参照)
これまでA4CSELは、巨大なダム現場や造成現場に使用されていましたが、これからは一般の道路や河川工事などでも活用が広がってきそうですね。