吊り足場の設計時間を半分に! オフィスケイワンとIHIインフラシステムが仮設CIM「CIM-FLOOR」を共同開発
2025年11月5日

管理人のイエイリです。

橋梁の補修や塗装などで使用される「パネル式吊り足場」は、空中に設置されるため、安全性と精度が何より求められます。

その設計では、橋桁の形状や荷重条件、取り付け位置、周囲の構造などを膨大な設計資料一つひとつ確認しながら、複雑な検討と計算を行う必要があり、熟練の設計者でも多くの時間を要していました。

そこで、オフィスケイワン(本社:大阪市西区)とIHIインフラシステム(本社:大阪府堺市=旧・IHIインフラ建設)は、仮設CIMシステム「CIM-FLOOR」を共同開発しました。

仮設CIMシステム「CIM-FLOOR」で設計したパネル式吊り足場のイメージ(以下の資料:オフィスケイワン)

仮設CIMシステム「CIM-FLOOR」で設計したパネル式吊り足場のイメージ(以下の資料:オフィスケイワン)

橋梁上部工の吊り足場や昇降足場の設計を支援するシステムで、設計工数は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

従来比で最大50%削減

できるのです。(オフィスケイワンのプレスリリースはこちら

「CIM-FLOOR」のシステムフロー図

「CIM-FLOOR」のシステムフロー図

このシステムは、設計者向けに吊り足場と昇降足場の数量算出を行う概略設計機能と、施工者向けにパネル足場の割付けや設計照査を行う詳細設計機能を備えています。

面倒だった設計用のデータ入力をワンタッチで行えるようにするため、複数の足場メーカーの製品の諸元データを集めた「製品マスター」を備えています。

施工者が採用する足場製品を選択するだけで、各部材の長さや質量のデータが入力されるので、これまでのように多くの資料を参照する必要はありません。

概略設計機能(上)と詳細設計機能(下)

概略設計機能(上)と詳細設計機能(下)

設計データの入力をワンタッチで行える製品マスターの例

設計データの入力をワンタッチで行える製品マスターの例

設計条件を入力すると、プログラム化された設計ルールに基づいて最適な割付けや構造計算を自動で行い、結果を2D図面や3Dモデルとして出力するほか

設計計算書を自動作成

できるのが特徴です。

自動作成された2D図面。横断勾配が付いている部分の正確な吊り材の寸法もわかりやすい

自動作成された2D図面。横断勾配が付いている部分の正確な吊り材の寸法もわかりやすい

吊り足場のパネルを割り付けた3Dモデル

吊り足場のパネルを割り付けた3Dモデル

計算書も自動作成

計算書も自動作成

このほか、吊り足場を取り付ける橋桁や橋脚の3Dモデルは、オフィスケイワンの鋼橋CIMシステム「CIM-GIRDER」から取り込むことも可能です。

CIM-GIRDERとCIM-FLOOR間のデータ連携機能

CIM-GIRDERとCIM-FLOOR間のデータ連携機能

このシステムの開発に当たっては、パネル式吊り足場や昇降足場の割り付け作業、設計照査仕様に足場メーカー、タカミヤ(大阪本社:大阪市北区)の知見が生かされています。

このシステムにより吊り足場の設計がオートメーション化され、若手設計者でも設計が可能になります。また、設計と施工の情報共有がスムーズになり、技能継承にも効果を発揮しそうです。

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