3Dプリンター建築から曲面スクリーン、絶叫VRマシンまで! 大阪・関西万博の会場で見た建設DX
2025年5月22日

2025年4月13日から同10月13日まで、大阪・夢洲で開催されている「2025年大阪・関西万博」は、開幕から1カ月少し経った今、マスコミやSNSなどでは「隠れた見所」が続々と紹介され、関心が高まってきました。

イエイリもこのほど、初めて万博会場を訪れましたが、ちょっと歩いただけでも「建設DX」関連の展示物が随所に見られたのには驚かされました。その一部をご紹介しましょう。

まずはあの落合陽一氏がプロデュースした「null2(ヌルヌル)」というパビリオンです。大きな目玉と鏡のような外装でひときわ目立った建物ですが、周囲に「ドンドン」という重低音が響くと、外装材の膜も波打つように振動し、まるで生きている建物を思わせます。

「ヌルヌル」パビリオンの外観(以下の写真:家入龍太)

「ヌルヌル」パビリオンの外観(以下の写真:家入龍太)

会場西部のベルギー館の近くには、「森になる建築」という竹中工務店らが出展した半球状の建物があります。

森になる建築の内部。3Dプリンターで造形した壁とベンチがある

森になる建築の内部。3Dプリンターで造形した壁とベンチがある

木材を原料とした酢酸セルロース樹脂を材料とし、会期が終わった後は分解して土にかえるというコンセプトの建物ですが、

ナ、ナ、ナ、ナント、

3Dプリンターで施工

したのです。(詳しくは2024年11月26日の当ブログ参照)

森になる建築の内部。3Dプリンターで造形した壁とベンチがある

森になる建築の内部。3Dプリンターで造形した壁とベンチがある

樹脂製の壁やベンチはしっかりとした厚みがあり、ベンチからは冷風が吹き出しています。その風が天井の穴から抜けるため、中で休んでいた人たちは「意外と涼しいね」と話していました。休憩所としても注目されそうです。

このほか会場でたまたま見つけた3Dプリンター建築は、トイレです。重い石をワイヤーで吊って屋根を作ったと話題になった「石のパーゴラ」(休憩所2)の隣にあるトイレの外装や外構にあるベンチには、3Dプリンター特有の層状の線が入っていました。

また、前述の「null2」の隣にあるトイレ(X13)も、3Dプリンターで造形した樹脂製の壁が使われています。

石のパーゴラの隣にあるトイレや付近のベンチは3Dプリンターで製作されている

石のパーゴラの隣にあるトイレや付近のベンチは3Dプリンターで製作されている

「ヌルヌル」パビリオンとウオーターフロントの間にあるトイレは外装材が3Dプリンターで作られた

「ヌルヌル」パビリオンとウオーターフロントの間にあるトイレは外装材が3Dプリンターで作られた

大阪在住で既に万博会場には10回くらい来ているというVR関係者から、隠れた見どころとして教えてもらったのが、トルクメニスタン館です。

外装材や内部の巨大180度スクリーンに、高精細な曲面スクリーンが随所に生かされています。曲面スクリーンを建築に取り入れたい方には大いに参考になりそうです。

トルクメニスタン館の外観。外装材にも曲面スクリーンを採用し、日本愛あふれるビデオが上映されている

トルクメニスタン館の外観。外装材にも曲面スクリーンを採用し、日本愛あふれるビデオが上映されている

内部には巨大な180度スクリーンが。床に座って鑑賞するので、ひと時の休憩にもなる

内部には巨大な180度スクリーンが。床に座って鑑賞するので、ひと時の休憩にもなる

また5月1日から6月1日の期間限定ですが、ロボット&モビリティーステーションでは、建設分野のVRシステムで知られるフォーラムエイト

絶叫VRマシン

を展示し、90分待ちの列ができていました。

ロボット&モビリティーステーションの外観と内部。絶叫マシンを体験するため、長蛇の列ができていた

ロボット&モビリティーステーションの外観と内部。絶叫マシンを体験するため、長蛇の列ができていた

ISSの内部をVRゴーグルで見ながら、天地がひっくり返る過激な体験が人気を集めていた

ISSの内部をVRゴーグルで見ながら、天地がひっくり返る過激な体験が人気を集めていた

国際宇宙ステーション(ISS)の内部をVRゴーグルで立体視しながら、体がぐるぐると回転し、宇宙遊泳しているような体験が味わえるものです。

このほか、地球に比べて重力が6分の1の月面に設定したドライビングシミュレーターで月面レースを行ったり、月面でのバックホーによる施工体験を行ったりするアトラクションなどが人気を集め、2週間ほどで既に3万人以上が体験したそうです。

重力が地球の6分の1という環境で行う月面レース。よくジャンプする

重力が地球の6分の1という環境で行う月面レース。よくジャンプする

月面での施工体験

月面での施工体験

5月20日の夜、フォーラムエイトは地震や洪水などの防災をテーマにしたトークショーを開催し、タレントのパックンことパトリック・ハーラン氏や東北大学副学長の今村文彦氏、大阪大学大学院教授の福田知弘氏、フォーラムエイト代表取締役の伊藤裕二氏らが登壇しました。

5月20日の夜、開催された地震や洪水などの防災をテーマにしたトークショー

5月20日の夜、開催された地震や洪水などの防災をテーマにしたトークショー

これらの展示やイベントで「大阪・関西万博に建設DXあり」と感じた次第です。まだまだ未発掘の見所も多いと思いますので、皆さん、それぞれのテーマを決めて隠れた見どころを探してみてはいかがでしょうか。

(Visited 1 times, 2 visits today)

Translate »