2025年4月13日から同10月13日まで、大阪・夢洲で開催されている「2025年大阪・関西万博」は、開幕から1カ月少し経った今、マスコミやSNSなどでは「隠れた見所」が続々と紹介され、関心が高まってきました。
イエイリもこのほど、初めて万博会場を訪れましたが、ちょっと歩いただけでも「建設DX」関連の展示物が随所に見られたのには驚かされました。その一部をご紹介しましょう。
まずはあの落合陽一氏がプロデュースした「null2(ヌルヌル)」というパビリオンです。大きな目玉と鏡のような外装でひときわ目立った建物ですが、周囲に「ドンドン」という重低音が響くと、外装材の膜も波打つように振動し、まるで生きている建物を思わせます。
会場西部のベルギー館の近くには、「森になる建築」という竹中工務店らが出展した半球状の建物があります。
木材を原料とした酢酸セルロース樹脂を材料とし、会期が終わった後は分解して土にかえるというコンセプトの建物ですが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
3Dプリンターで施工
したのです。(詳しくは2024年11月26日の当ブログ参照)
樹脂製の壁やベンチはしっかりとした厚みがあり、ベンチからは冷風が吹き出しています。その風が天井の穴から抜けるため、中で休んでいた人たちは「意外と涼しいね」と話していました。休憩所としても注目されそうです。
このほか会場でたまたま見つけた3Dプリンター建築は、トイレです。重い石をワイヤーで吊って屋根を作ったと話題になった「石のパーゴラ」(休憩所2)の隣にあるトイレの外装や外構にあるベンチには、3Dプリンター特有の層状の線が入っていました。
また、前述の「null2」の隣にあるトイレ(X13)も、3Dプリンターで造形した樹脂製の壁が使われています。
大阪在住で既に万博会場には10回くらい来ているというVR関係者から、隠れた見どころとして教えてもらったのが、トルクメニスタン館です。
外装材や内部の巨大180度スクリーンに、高精細な曲面スクリーンが随所に生かされています。曲面スクリーンを建築に取り入れたい方には大いに参考になりそうです。
また5月1日から6月1日の期間限定ですが、ロボット&モビリティーステーションでは、建設分野のVRシステムで知られるフォーラムエイトが
絶叫VRマシン
を展示し、90分待ちの列ができていました。
国際宇宙ステーション(ISS)の内部をVRゴーグルで立体視しながら、体がぐるぐると回転し、宇宙遊泳しているような体験が味わえるものです。
このほか、地球に比べて重力が6分の1の月面に設定したドライビングシミュレーターで月面レースを行ったり、月面でのバックホーによる施工体験を行ったりするアトラクションなどが人気を集め、2週間ほどで既に3万人以上が体験したそうです。
5月20日の夜、フォーラムエイトは地震や洪水などの防災をテーマにしたトークショーを開催し、タレントのパックンことパトリック・ハーラン氏や東北大学副学長の今村文彦氏、大阪大学大学院教授の福田知弘氏、フォーラムエイト代表取締役の伊藤裕二氏らが登壇しました。
これらの展示やイベントで「大阪・関西万博に建設DXあり」と感じた次第です。まだまだ未発掘の見所も多いと思いますので、皆さん、それぞれのテーマを決めて隠れた見どころを探してみてはいかがでしょうか。