管理人のイエイリです。
ブームの旋回や上下といった回転運動を組み合わせて、吊り荷を移動させるジブクライミングクレーンは、自由自在に運転できるようになるためには相当な熟練が必要です。
しかし、貴重な存在の熟練オペレーターは高齢化によって減少しており、経験の少ないオペレーターもベテラン並みの操作が求められるようになってきました。
こうした課題を解決するため、IHI運搬機械(本社:東京都中央区)はクレーン操作の安全性と効率性を飛躍的に向上させる運転支援システムを開発しました。
このシステムを使うと、クレーン運転に必要な4つの操作がぐっと簡単に行えます。
例えば、吊り荷を移動させるとき、
ナ、ナ、ナ、ナント、
通り芯と平行に直線移動
させることが簡単にできるのです。(IHIのプレスリリースはこちら)
また、繰り返し輸送を行える「宛先指定簡易自動機能」は、運転席のタッチパネルで起点や終点の位置を登録・指定すると、その位置にブームを移動させ、振れ止め制御も自動的に行います。
細かい上下動が必要な時は「微速巻き上げ・巻き下げ機能」があり、専用レバーで1段階(ノッチ)以下の微速運転が可能です。水平直交操作機能と組み合わせて細かい位置合わせが簡単に行えます。
そして注意しなければいけないのは、現場に複数のクレーンがある時の衝突事故です。
自分のクレーンの作業に集中していると、つい他のクレーンの動きを確認するのを忘れてしまいがちですからね。
そこでこのシステムには、「衝突防止機能」も付いており、画面上で他のクレーンの動きを確認できるほか、接近すると
自動減速、停止
も行ってくれるので、安心です。
このシステムはクレーンレンタル会社、産業リーシング(本社:東京都千代田区)の協力により、IHI運搬機械の安浦工場で検証を行っています。
今後、このシステムはIHI運搬機械が販売するジブクライミングクレーンに標準搭載する予定で、さらに造船や風力発電などの業界で使われる様々なタイプのクレーンにも適用を検討しているとのことです。
ヒューマンエラーによるクレーン事故防止に、大いに貢献しそうなシステムですね。