飛島建設がドローンと衛星ネットを連携! 非GNSS、非モバイル通信地域でも遠隔監視に成功
2024年6月7日

管理人のイエイリです。

飛島建設KDDIスマートドローン(本社:東京都港区)は、山間部にある土木インフラの維持管理を、全自動ドローン(無人機)によって行うため、山形県米沢市にある米沢大平小水力発電所で実証実験を行いました。

使用したドローンは、橋梁やダムなどの構造物の維持管理によく使われている「Skydio X2」という機種で、現場には充電や格納などのためにドローン基地局「Skydio Dock for X2」も設置しました。

現場に設置されたドローン基地局付近を遠隔自動運用で飛行する全自動型ドローン「X2」(以下の写真、資料:飛島建設)

現場に設置されたドローン基地局付近を遠隔自動運用で飛行する全自動型ドローン「X2」(以下の写真、資料:飛島建設)

ドローン基地局を離陸したドローンは、山間部にある水力発電所の取水部や水路施設などを撮影。その空撮映像データをクラウド経由で送ってきました。

山間部の取水口付近を飛行するドローン

山間部の取水口付近を飛行するドローン

ドローンが自動撮影し、送ってきた現場の写真

ドローンが自動撮影し、送ってきた現場の写真

しかし、驚くべきことに、この現場はGNSS(全地球測位システム)や携帯回線が使えず、ドローンによる自律飛行や遠隔制御には全く向いていない場所にあるのです。

ドローンで撮影した画像データをクラウドに送るのに使ったのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

衛星ブロードバンド

回線による「Starlink」だったのです。(飛島建設のプレスリリースはこちら

現場に設置されたリモート管制システムや各種センサー。これらのデータはStarlinkを通じてクラウドに送信される

現場に設置されたリモート管制システムや各種センサー。これらのデータはStarlinkを通じてクラウドに送信される

Starlinkを使って施設を遠隔管理する仕組み

Starlinkを使って施設を遠隔管理する仕組み

今回、開発したインフラ遠隔自動点検システムは、あらゆる場所でドローンの自律飛行や、遠隔・リアルタイムな飛行制御、そして映像配信や空撮データの一元管理が行えるものです。

システムは「ドローン部」「ネットワークインフラ部」「エッジ部」「クラウド部」から構成されています。

ドローン部に採用したSkydioのドローン機体「X2」は、GNSSが使えない場所でも、現場の映像を手かがりに3D地図を作りながら位置を把握し、障害物を避けて飛行できます。

ネットワークインフラ部には、SpaceX社が開発し、KDDIが法人向けに提供する衛星ブロードバンドインターネット「STARLINK BUSINESS」と、防水防じん性能「IP65」のメッシュWi-Fiアクセスポイントを採用しました。

またエッジ部は、遠隔管制を目的として、離着陸時に警告灯をつけたり、基地局周辺の気象データや映像データを取得したりする「リモート管制システム」を開発しました。

これらのデータは、クラウド部に集約され、ダッシュボード画面で遠隔地にいる管理者などが見られます。

クラウドに集約された各種データは、ダッシュボード画面で見られる

クラウドに集約された各種データは、ダッシュボード画面で見られる

そして、クラウド部には遠隔管理を楽にできるように、ドローンなどのリアルタイム映像から、

人物や車両をAIで検知

し、管理者にプッシュ通知する機能も搭載されました。

夜間にドローン基地局に近づく人物を自動検知した例

夜間にドローン基地局に近づく人物を自動検知した例

ドローンのリアルタイム配信映像からAIが人物を検出し、プッシュ通知で送ってきた例。左が日中用のカラーカメラ、右が夜間用の赤外線カメラ映像

ドローンのリアルタイム配信映像からAIが人物を検出し、プッシュ通知で送ってきた例。左が日中用のカラーカメラ、右が夜間用の赤外線カメラ映像

このほか、クラウド部では撮影時期が違う写真を比べて、経年劣化した部分を自動抽出する機能も備えています。

クラウド部で過去の画像(左)と比較し、経年劣化した部分を自動抽出した例(右)

クラウド部で過去の画像(左)と比較し、経年劣化した部分を自動抽出した例(右)

ネット回線がなく、携帯の電波も届かない山間部でも、Starlinkによって、ドローンによる自律監視や、デジタルツイン施工管理が行えるようになってきました。

もともと人間が行きにくかった現場の生産性向上や働き方改革が大きく前進しそうですね。

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